革命のメッセンジャー

スタニスラフ・シャルノフ氏=写真提供:Press Photo

スタニスラフ・シャルノフ氏=写真提供:Press Photo

抗議活動で香港の学生たちによって使用されている FireChat アプリの開発者スタニスラフ・シャルノフ氏が、ロシアNOWとのインタビューに応じた。

 ロシア人数学者のスタニスラフ・シャルノフ氏によって開発された FireChat メッセンジャーは、台湾、イラクや香港の抗議活動家によって使用された。彼はロシアNOWに対し、このアプリはコミュニケーションの改善に役立てるために作成されたのであって、革命を組織するためではないと語った。 

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 香港で近日繰り広げられている大規模な抗議活動では、学生たちが、インターネットとモバイルネットワークへの接続がなくても機能する FireChat メッセンジャーを利用していた。このアプリケーションは、モスクワ国立大学卒でサンフランシスコを拠点とする新興企業、オープンガーデン社の最高技術責任者(CTO)でもあるロシア人プログラマーのスタニスラフ・シャルノフ氏によって開発された。シャルノフ氏はまた、インターネットの全トラフィックの13〜20%を占める BitTorrent に用いられている LEDBAT アルゴリズムを発明したことでも知られている。 

 FireChat メッセンジャーのダウンロード数は1日だけでも10万件を超え、香港の Google Play および Apple の App Store の両方で初めて第1位の座を獲得した。しかし、世界中の見出しに革命的アプリケーションが登場したのは今回が初めてではない。このアプリケーションが2014年3月にリリースされた直後、FireChat は台湾の抗議家によって使用された。後には、インターネットアクセスが政府によって制限されているイラクでかなりの人気になった。

 

FireChat が機能する仕組みは? 

 このアプリは、インターネットを介さずに近くにあるデバイスに接続するのに Bluetooth と Wi-Fi 接続を使用します。このプロトコルは、2台の携帯電話の間でメッセージを伝達する機能をサポートするのです。条件によっては接続可能な範囲は40〜70メートルにおよびますが、それぞれの携帯電話は他の携帯電話にとってのハブとして機能できるため、かなりの領域がカバーされることになります。

 

―あなたの目標は何ですか? 

 私たちの目標は、世界の人々にコミュニケーションを提供することです。私たちの目標は、現在、経済的余裕がないためインターネットにアクセスできない50億人もの人々にコミュニケーション能力を提供することにあります。また、インターネットに接続する経済的余裕があるものの、ネットワーク妨害を経験している人々のコミュニケーションを改善することも目的の一つです。こうした妨害のほとんどは革命とは何の関係もありません。携帯電話のインフラによって生じる場合もあれば、群衆の中にいる場合に人々が通信の支障を経験する場合もあります。

 

―各ノードがネットワークのデータを中継し、すべてのノードが共同でデータの転送を行う形式の、他のメッシュ(網の目状)ネットワークと FireChat の主な違いは何ですか? 

 そうですね、私たちが行っていることを人々に理解していただくために「メッシュネットワーク」という言葉を使うことがありますが、アーキテクチャとテクノロジーのレベルという観点から言えば、それは従来行われてきたこととは非常に異なります。私たちのネットワークは、どのメッシュネットワークに対しても異種のネットワークとして機能します。すべてがアプリ内で処理されるため、ネットワークの障害回復力がより高くなります。現実には、オープンガーデン社のテクノロジー以前のメッシュネットワークは単なるプロトタイプにすぎず、何らの重要な成功も収めていませんでした。これまでに実装されたメッシュネットワークをすべて一緒にまとめて、香港で1日間に記録された FireChat のダウンロード数と比較してみれば、それらがどれほど些細なものかお分かりいただけると思います。

 

―どのように収益化を図っているのですか?FireChat は商業的に実現可能な製品といえますか? 

 私たちは製品を成長させることに焦点を当てているので、短期間で利益を上げることには注力していません。新興企業である私たちは、より速く成長するか、なるべく早く収益化を図るかのどちらかを選択しなければなりません。

 

BitTorrent での経験は今回役に立ちましたか? 

 もちろんです。複雑な分散型システムを構築した経験を持っていることは役に立ちます。FireChat アプリは、ピアツーピア型アプリケーションを成功させたのと同じタイプの技法を数多く採用し、同様の障害回復性の高い機能を多く備えている。

 

FireChat のアイデアはいつ思いついたのですか? 

 最初に着想したのは、大学の高速ネットワークを構築するために インターネット 2 という米国の研究コンソーシアムで働いてきたときのことでした。私は、大型ハドロン衝突型加速器から出力される膨大な量のデータを移動するために必要な転送プロトコルを彼らが開発する取り組みに関与してきました。でも、私がモスクワ国立大学で受けた教育が、その基礎として役立ちました。数学を学んでおくと役に立つものです。