ヨタ・デバイシズ社のヴラド・マルトィノフ最高経営責任者=タス通信撮影
その日、モスクワの現代芸術センター「ガレージ」で、ヨタ・デバイシズ社のヴラド・マルトィノフ最高経営責任者(CEO)は、すでに独自の特性と機能で全世界のITマニアの関心を呼んでいる同機種をメディアに紹介した。ヨタフォンには、通常の液晶画面のほか、電子ペーパー(E-ink)技術で処理されたもう一つのディスプレイが搭載されている。
読書好きの目に優しいスマホ
開発者らは、オペレーティングシステムAndroid 4.2.2で作動するスマートフォンのために、外国語の単語やフレーズを記憶させるアプリ「Teach me」やソーシャルネットワークとRSSのフィードを併せもつ「InternetHub」を含む、一連のユニークなプログラムを用意した。
設計者らの構想によれば、同機の背面にある白黒画面には、カレンダーや天気予報やSMSといったすべてのユーザーにとくに必要な情報が表示され、画面上のすべての情報は、リアルタイムで更新され、バッテリーの放電後もアクセスできる(この場合はもちろん更新はなし)。ヨタ・デバイシズ社は、そうしたテクノロジーは自分のスマートフォンを絶えずチェックする習慣からユーザーを解放すると期待している。
読書好きにとって、ロシアのガジェットは、電子書籍に取って代わるものとなりえる。読書モードは、一回の充電で最低50時間もち、センサーを二度タッチすれば、文中の気に入った個所をソーシャルネットワークで友人と共有できる。
海外でも高い評価
ロシアのスマートフォンの最初のプロトタイプが発表されたときから一年が過ぎたが、この間に、ヨタフォンは、国外でも話題となり、ラスベガスでの国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)の「最優秀製品」賞や国際クリエイティビティ・フェスティバル「カンヌ・ライオンズ」の「イノベーション」部門の「金獅子」を獲得した。
マルトィノフ氏によれば、ヨタ・デバイシズ社は活発な宣伝キャンペーンを行ってこなかっただけに、そうした評価は嬉しいサプライズとなった。
また同社は、良質な完成品に至らしめて量産することを目標に掲げ、若干のイノベーショナルな機能を犠牲にした。たとえば、開発者たちは、仕上げの過程で、無線充電テクノロジーを断念し、スタンダードなマイクロUSBコネクタを採用した。
アジアや中東の市場へも参入
CESでは、一部のメディアが、ヨタフォンを「ロシア版iPhone」と形容したが、マルトィノフCEOは、「ロシアNOW」へのインタビューで、アップルのコピーであるとの非難が氏を喜ばせていると述べた。
「アップルはすばらしい会社で、私たちは彼らを手本にしています。何か良いものを作ることのできる人たちに学び、その後で、彼らより良いものを作るべきではないでしょうか」
米国のバイヤーサイドからの熱い視線にもかかわらず、第一世代のスマートフォンのアメリカ市場への進出は予定されておらず、主な輸出先はとりあえずヨーロッパであり、ロシア製品に意外と強い関心を示した中東やアジアの市場へも参入するという。
ヨタフォンの最初の販売台数がどの程度になるかは予想がつかないが、インターネット経由の予約の数はおよそ1万台であるという。
価格は約6万円
価格は、先に予想されていたものより低く、ロシアでは19990ルーブル(約6万円)、欧州では499ユーロとなる。一部の専門家は、このセグメントの他の機種と比べて価格の差が比較的小さいため、ユニークな第二画面を備えてはいても、おそらくヒット商品にはならない、とみている。
J'son & Partners Consulting(ジェイソン・アンド・パートナーズ・コンサルティング)社のモバイル通信デジタル機器部門を統括するエヴゲニー・アリミノフ氏は、こう語る。「ヨタフォンにはさほど大きな需要は期待できないでしょう。同じ価格でもっと効率的なモデルが十分見つかりますから」
ヨタ・デバイシズ社は、早くも来年末までに革命的な機器の第二世代を世に送り出す、と発表している。しかし、実際にスマートフォン市場で革命が起こったかどうかの最終的な判断を下すのは、ようやくロシア製品を自らテストする機会に恵まれた一般のユーザーだ。
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