ロシアのウラジーミル・プーチンとウズベキスタンのイスラム・カリモフ=AP通信
タシケントでの会談で、ロシアのウラジーミル・プーチンとウズベキスタンのイスラム・カリモフの両大統領は、1990年代半ばから存在してきた財政面の問題を解決した。ロシアは、ウズベキスタンに対し、同国がルーブル圏を脱したもののロシアの商品や技術を特恵的に輸入しつづけてきた過程で生じた8億6500万ドルの債務を、帳消しにした。また、会談では、ルクオイル社が2039年までエネルギー・プロジェクトへ約50億ドルを投資することを主な柱とする、ロシアのウズベキスタンの石油ガス部門への投資の内容が、具体化された。さらに、両大統領は、ロシアからウズベキスタンへの武器輸出の増大や、ロシアがユーラシア経済連合(EAEU)においてウズベキスタンを含む自由貿易ゾーンの創設を働きかけることに関しても、合意した。
専門家らの評価によれば、会談の「経済的な部分」は、ロシア側からの深い「理解」を手に入れたウズベキスタンに大きな利益をもたらした。一方、ウズベキスタンは、西側との対立が続くなかでロシアにとって重要な農産物の輸出拡大の可能性を検討することを約束した。専門家らは、ロシアが財政問題において譲歩する背景には、国際社会の偏極化が強まるなかでパートナー国との関係を強化したい思惑がある、とみている。
ロシアとウズベキスタンを接近させるアフガンの脅威
両首脳は、アフガニスタンにおける状況に特別の注意を割いた。プーチン大統領は、ロシアとウズベキスタンの協力は、今日、中央アジアにおける安定の保障にとって極めて重要なものとなりつつある、と述べ、カリモフ大統領は、かねてからアフガニスタンからの脅威に懸念を抱いており、すでにカザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領や中国の習近平国家主席といった近隣諸国の首脳らとこのテーマを詳細に協議している。
中央アジアと中東の専門家であるアレクサンドル・クニャーゼフ氏は、こう語る。「アフガン問題に照らしてプーチンとカリモフの両氏が上海協力機構(SCO)に訴えたことは、注目に値します。これは、たしかに軍事組織ではありませんが、SCOの地域反テロ機構の本部は、まさにタシケントに置かれています。アフガニスタンからの脅威の阻止という面でのロシアとウズベキスタンの協力は、先ず第一に反テロ対策という文脈において捉えるべきでしょう」
同氏は、さらにこう述べる。「プーチンとカリモフの両氏がロシアとウズベキスタンのパートナーシップの基本的方向をすみやかに規定したことには、何の不思議もありません。両国の軍事・技術協力は、つねに特別の場所を占め、ウズベキスタンの軍や治安機関は、けっしてNATOの規格へ移行してはとの誘いに乗らず、ソ連(ロシア)の武器を用いてきました。アフガン問題に照らした安全保障の問題は、つねに、関係がやや冷え込んだ時期でさえ、両国を一つにしてきました」
モスクワ国立国際関係大学・分析センターのアンドレイ・カザンツェフ所長は、ウラジーミル・プーチン氏とイスラム・カリモフ氏の実り多い会談は、アフガニスタンから派生する両国にとっての脅威がはっきりと認識されていたことに起因しています。両首脳は、テロリズムと麻薬の不法取引を脅威に含め、カリモフ氏は、アフガニスタンがイラクの二の舞になることを危惧している、とさえ発言しました。明らかに、同大統領は、テロ組織「イスラム国」を念頭に置いていました。こうした文脈において、両首脳は、アフガニスタンの過激主義組織とイラクおよびシリアの過激主義組織の間の関係に注意を向けました。こうした脅威に対抗するために、ロシアとウズベキスタンは、軍事・技術協力を拡大する意向です」
カザンツェフ氏は、また、ウズベキスタンでの来る選挙においてカリモフ氏にはロシアの支援が必要である点に注意を向け、こう語った。「ウズベキスタンの指導者は高齢のため後継者を指名する可能性があり、政権移譲のためにはロシアの理解もしくはせめて中立的な立場が必要であるといった話は、根拠薄弱なものに思えますが、ロシアの好意的な姿勢は、どのような状況においても邪魔にはなりません。EAEUとの関係を自由貿易ゾーンの創設に限定するというウズベキスタンの決定は、やや期待外れなものに思われますが、ウズベキスタンのEAEUへの加盟の問題は、それが内政外交における自主独立を掲げるカリモフ政権の基本方針に矛盾するものであるだけに、原則において解決できないものである、ということを考慮しなくてはなりません」
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