セルゲイ・クズネツォフ撮影/ロシア通信
ルーブルはここ2ヶ月で、対ドル、対ユーロで50%ほど下落した。その結果、ロシア人の購買力が低下し、また貧困者(最低限の生活費よりも収入が低い人)の数が、ここ4年で最大の11.7%に達すると、経済発展省は予測している。
ロシアの投資会社「UFS」の主任アナリスト、アレクセイ・コズロフ氏はこう話す。「ルーブル安で多くの人が、貨幣価値下落の予防策をとろうとしている。長期使用可能な高額な商品、特にロシア製の代替品がないような高級品を買っている。これを背景として、消費活動が活発になっている」。これは一時的な現象で、インフレ圧の強まり、消費市場の収縮、借り入れコストの高まりなどを含む、一連のルーブル安の影響、それによる経済成長の鈍化が予期されるという。
最初の影響
ロシアの投資会社「フィナム・マネジメント」のアナリストであるマクシム・クリャギン氏はこう話す。「消費部門への圧力は依然として強く、生活水準が低下している。消費者はマンションや自動車などの大物商品、また不要な商品やサービスへの支出を減らしている」。実質賃金は今年9月、2008~2009年の金融危機以来となる、前年比マイナス1%をマークしたという。ロシア連邦国家統計局のデータによると、今年上半期の小売成長率は可比価格で前年の3.9%から2.7%までさがった。2014年の実績は、2009年以来最低の伸びになると、クリャギン氏。
これを背景に、延滞債務が増えている。中央銀行の3日の発表によると、11月1日の時点で延滞90日以上の市民および非居住法人への貸付の割合は7.9%に達した。同様の指標が示されたのは2011年2月1日。延滞債務の増加は、給与の支払い遅れ、収入減、失業など、国民の経済状態の悪化に関連している。債務の大部分はルーブル建て。ヨーロッパの格付け会社「フィッチ」によると、9月末の時点でロシア国内の銀行融資の17%が外貨建てで、そのほとんどが法人の債務である。
世論調査の結果
ルーブル安、不満の高まりにもかかわらず、国民はルーブル預金をそのままにしている。「全ロシア世論研究センター」の調査によると、ロシアで為替レートを確認している人は全体の65%、ルーブルの価値下落に対する懸念を表明した人は53%。ここ2ヶ月でルーブルを外貨に交換した人はわずか7%だった。
ロシアの世論調査機関「レバダ・センター」のデータによると、回答者の80%が物価上昇と生活水準の低下を感じている。経済悪化の主な原因として、原油安をあげた人は45%、西側による対ロシア経済制裁をあげた人は33%、ロシアへのクリミア編入をあげた人は30%。
ロシアの調査会社「ロミル」の調査では、節約をして、一部食品を我慢している回答者が8%から20%に増えた。主婦の3人に1人は、家庭の予算を食品と必要なものにあてている。
ロシアの投資会社「VTBキャピタル」の予測では、予算に占める食費の割合が31%から40%に増えるという。
ロシアの投資会社「ルス・インヴェスト」分析部のドミトリー・ベデンコフ部長はこう話す。「通貨の信用は投資プロセスの重要な部分。経済を安定化し、再生産の正常なサイクルと市場メカニズムの活動を確保する」
ロシア連邦観光局によると、ドル高と対ロシア制裁によって、国内旅行をする人の数は、すでに30%増えている。
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