AP通信
ドゥシャンベでのSCOサミットは、歴史的なものになると思われており、一連の著名な政治学者は、同機構が新加盟国を受け入れると予想していたが、組織の拡大は見送られ、ウクライナ情勢が中心テーマとなった。
SCOの宣言では、SCO加盟国は事実上ロシアを支持してウクライナにおける交渉の継続に賛成した、と述べられており、加盟六ヶ国は、ミンスクで調印された停戦協定を歓迎してロシアの大統領の和平案の実現を主張した。
ユーリー・ウシャコフ・ロシア大統領補佐官がロシアのメディアに語ったところでは、機構の拡大は印中および印パ間の一定の不和やイランに対する制裁に関連した懸念により今のところ時期尚早であり、これらの要因は同機構を弱体化させうる。
しかし、拡大のことは忘れられておらず、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によれば、タジキスタンからSCO議長国のバトンを引き継いだロシアは、来年は同機構の拡大が現実味を帯びてくるものとみている。
ユーリー・ウシャコフ大統領補佐官は、その際、組織拡大のための好ましい状況はロシアがSCOの議長国を務めているあいだに生起しうる点を強調した。同補佐官によれば、2015年7月のウファでのサミットではインドとパキスタンが正式な加盟国のステータスを得る可能性があり、これがその期間の主な成果となり、タジキスタンでは首脳らが「SCO加盟国のステータス取得のための義務に関する規範的な覚書」および「SCO加盟国のステータスの付与の規則」を定めた。
プーチン氏は、地域の安全保障におけるSCOの役割の強化、多国間の大型経済プロジェクトの始動、文化および人道面の関係の深化、焦眉の地域およびグローバルな問題への共通のアプローチの作成を、ロシアが議長国を務める期間のその他の優先事項として挙げるとともに、来年のサミットまでに2025年までのSCOの発展の戦略がまとめられる、と述べた。
専門家の評価が分かれるサミットの成果
中央アジアおよび中東の専門家であるアレクサンドル・クニャーゼフ氏は、今回のSCOサミットをコメントして次のように述べた。
「同機構は、発足以来これまで、発展における特別のダイナミズムを示してこなかった。中国は経済的に優位にあり、ロシアは大きな政治的影響力を有し、ウズベキスタンとカザフスタンは比較的高い自主性を具え、キルギスとタジキスタンは日和見的な立場をとる、という加盟国の複雑な構成が、有効な決定の採択を妨げている。SCOにおける決定がコンセンサスの産物であるがゆえに、新加盟国の受け入れといった問題が年々先送りされている。ドゥシャンベでは、新加盟国の受け入れを規定する文書が刷新されたものの、候補国のなかでもっとも加盟に近いとみられるイランは、撤廃されない制裁ゆえに今回もSCOに加盟しなかった。ウファでのサミットにおけるインドとパキスタンの加盟の可能性に関する宣言も、懐疑的に思える。インドは、年を追うごとに外交面で米国および西側のブロックにますます接近しつつあり、パキスタンは、影響力をめぐる米国と中国のあいだの争いの舞台と化しつつある。
モンゴルとは興味深い展開が起こりうる。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平国家主席のウランバートル訪問やサミットにおける三者会談の過程では、モンゴルを経由する露中間のパイプラインの建設に関する問題のほか、モンゴルの発展の戦略的ベクトルに関連した共通の側面も協議されたものと思われる。
ウズベキスタンのイスラム・カリモフ大統領とイランのハサン・ロウハーニー大統領の会談も、かねてからの両国関係のスタグネーションおよびここ数ヶ月間に見られる関係の活発化を考慮すると、ひじょうに興味深い。ドゥシャンベでのサミットの直前にカザフスタンのヌネスルタン・ナザルバエフ大統領が首都アスタナにハサン・ロウハーニー大統領を迎えたことを考慮すれば、カザフスタンとウズベキスタンという中央アジアの両主要国がイランに対する『制裁の小休止』を自国のために利用しようとしていることがうかがえる」
ロシアの政治学者アレクセイ・マルトィノフ氏は、ロシアNOWへのインタヴューでこう述べた。
「重要なのは、SCOサミットが予定通り開催されて地域間協力の組織としてのSCOが実際に活動していることを証明したことだ。ドゥシャンベでのサミットにおけるもっとも重要な話し合いとなったのは、SCO加盟国の経済の脱ドル化の問題の協議であるが、ロシアおよび中国がこのトレンドを積極的に支持しているなかにあってこれはごく現実的であり、それがSCOの有効なフォーマットという事実そのものと同様に米国をいらつかせることは間違いない。ドゥシャンベでのサミットの別の注目すべき点となったのは、ウクライナ情勢に対する一致した評価であり、ロシアが単独で西側と対峙しているわけではないことが明らかとなった」
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