AP通信撮影
「ガゼータ・ル」は、ウクライナ最高会議が16日、東部に「特別な地位」を付与することなどが盛り込まれた法案を検討すると伝えている。
法案には、「ルハンシクとドネツィクの事象の参加者」すなわち義勇軍の免責も含まれている。主導したのはウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領。内容には疑問点も多く、義勇軍および最高会議の議員の双方が不満を示す可能性もある。
「地方自治の特別手順」は、ルハンシクとドネツィクの社会・経済的支援、ロシア語の使用権、ロシアの地域との「強化、深化された」関係、「独自の警察隊」の管理権を保証している。
「特別な地位」が具体的にどの領域に与えられるのかは不明。義勇軍はルハンシク州とドネツィク州全体であることを希望しているが、ウクライナ政府は「反テロ作戦」地域に限ると話している。それはとても小さな領域である。
「ヴズグリャド」紙は、ルハンシクとドネツィクの独立支持派がウクライナ政権を信用しておらず、譲歩する用意がないと書いている。
ロシアの政治学者セルゲイ・マルコフ氏は、ウクライナ東部社会の意見がわかれていると考える。具体的にはロシアへの編入を支持している人、ウクライナとの邦連を支持している人、「沿ドニエストル案」(モルドバの親ロシア地域で、独立は国際的に未承認。軍事衝突は凍結中)を支持している人など。
「ロシースカヤ・ガゼータ(ロシア新聞)」は、10月26日に実施されるウクライナ最高会議の総選挙を分析している。
ウクライナ東部の紛争を平和的に解決すべきと考える人々が集まる「平和党」からは、議員が出ない可能性がある。また東部で支持者の多い「地域党」も、内戦状態にある東部の多くの住人が投票できない状況を理由に、選挙には参戦しない。
議席を獲得できそうなのはタカ派だ。そこに属するのはユリヤ・ティモシェンコ元首相の「ティモシェンコ連合」、アルセニー・ヤツェニュク首相の「人民戦線党」、オレフ・リャシコ氏の「急進党」。どの政党も勝利するまで「反テロ作戦」を継続することに賛成しており、親ロシア派の義勇軍に歩み寄る考えはない。
アナトリー・フリツェンコ元ウクライナ国防相は、東部が選挙戦に参加しないため、この選挙は国の分裂を合法化するものだと話した。
「独立新聞」は、総選挙後のウクライナ最高会議で中心的な役割を果たすのは、ポロシェンコ大統領の「ペトロ・ポロシェンコ・ブロック」とヤツェニュク首相の「人民戦線党」の連立党ではないかと書いている。
ウクライナの政治学者ウラジーミル・フェセンコ氏はこう話す。「大統領のチームと首相のチームの間には厳しい敵対関係がない。ヨーロッパ的に、選挙には個別に参加することで合意したが、その後連立党を創設することにした」
連立党はウクライナ政府のバランスを保つ主要な要素だという。「ポロシェンコ大統領はすべての外交路線を引き受けたため、ヤツェニュク首相は経済問題に優先的に移行した」とフェセンコ氏。
東部の内戦と国の厳しい経済状況を背景に、ポロシェンコ大統領とヤツェニュク首相は話が合うようだ。ポロシェンコ大統領の政敵になりつつあるのは、東部の問題で厳しい立場をとっているティモシェンコ元首相。ティモシェンコ元首相は「反テロ作戦」の再開を支持し、歩み寄りに断固反対している。
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