セルゲイ・ナルィシキン議長と森喜朗元首相=セルゲイ・ミヘエフ/ロシア新聞
国際情勢は、本会議の幕を開けて参加者らに挨拶をしたロシア国家会議(連邦議会下院)のセルゲイ・ナルィシキン議長を含む発言者らのスピーチに反映された。ナルィシキン氏は、日本による対露制裁の導入に苦言を呈し、こう述べた。「反ロシア的攻撃は実際には一つの中心からコーディネートされており、その中心はロシアからも日本からも大洋によって隔てられている。ロシアの国会議員らはそうした措置にひどく失望した。制裁は、火に油を注ぎ、ウクライナ当局による自国民に対するアグレッシヴな政策実施のための口実となり、国の南東部では、今もきわめて緊迫した状況が続いている」。その一方、ナルィシキン氏は、制裁によってもたらされた日露関係における緊張さえも多くの分野における効率的な協力の妨げとなるべきではなく、このことを忘れずにこの協力を大切にして発展させる必要がある、という点を指摘したうえで、「ロシア人と日本人は、共に実り多い仕事ができることを証明してきた」と述べ、ビジネス、文化、人道の分野における協力が政治家らの過ちを補う一助となるよう期待を表した。
次に発言に立ったのは、露日関係発展の支持者として知られる日本の森喜朗元首相で、森氏は、自ら2020年の東京五輪の組織委員長を務め、日本は今年のソチ冬季五輪を成功させたロシアの経験を必ず活かす、と述べた。森氏は、また、東アジアに存在する安全保障分野の問題(まず第一に朝鮮問題で、日本は北朝鮮の核実験に深い懸念を抱いている)解決のための同分野における協力の必要性を指摘した。森氏は、過去の歴史から一連の鮮やかな実例を拾い上げながら日本とロシアの歴史的関係について多くのことを述べたが、森氏の考えでは、両国の関係には若干の問題(「北方領土」すなわちクリル(千島)列島の問題を含む)はこれまでに在り今も在るものの、それらは宿命的なものではなく、たとえ政治家が常にコンセンサスに至らなくともロシアと日本の国民がみごとに相互理解を見いだしている。森氏は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に敬意を表し、大統領の指導のもとでロシアがウクライナ紛争の平和的解決を達成するよう希望を表した。元首相のスピーチでは、2014年は武道の分野における協力の年と宣言され、ロシアでは「日本の秋」というフェスティヴァルが恒例となり、日本はロシア文化に大きな関心を示してそれに関するフェスティヴァルを開催している、など、両国の共同事業についても触れられた。
森氏に続いて発言したのは、原田親仁・駐露日本大使で、同大使は、参加者らに挨拶をし、フォーラムが「困難な状況」にもかかわらず開催されたことが重要である点を指摘するとともに、露日関係発展の枢要な意義を強調し、「国際的な緊張にもかかわらず両国は安定した関係を創り出す必要性を感じている」と述べた。原田氏は、対話の必要性を強調し、フォーラムはそうした対話のためのすばらしい場であるとの確信を表明し、主催者に感謝した。
次は、再びロシア側から、ロシア外務省第三アジア局長のアンドレイ・タタリノフ氏が、フォーラム参加者に対するセルゲイ・ラヴロフ外相の挨拶文を読み上げた。同外相は、「善隣、信頼、相互理解」の強化を促す重要な対話の場としてフォーラムを性格づけた。また、モスクワ政府の代表であるアントン・クリバチェフスキー氏は、都市空間の最適化の分野における協力の大きな展望について語った(同氏によれば、東京とモスクワには人口の密集や環境の問題といった共通点が多く、これらの問題の日本人による解決法は興味深い)。
日本側からは、さらに、東芝の佐々木則夫社長が、スピーチをした。佐々木氏は、ロシアと日本のビジネス協力の過去、現在、未来について語ったが、同氏によれば、両国のビジネス協力には未だ十分に拓かれていない大きなポテンシャルがあり、日本のビジネスマンたちは、とりわけ極東におけるエネルギー、医療、農業、インフラ整備といった分野におけるロシアへの投資の拡大を望んでいる。佐々木氏は、世論調査によれば日本のビジネスマンの80%がロシア市場における活動に関心を抱いている、と述べる一方、行政や法律ならびに安全といった面の一定の障壁も存在している点を指摘した。
最後に、共催する「ロシースカヤ・ガゼータ(ロシア新聞)」と「毎日新聞」の代表が、発言した。「毎日新聞」の代表は、140名を超える日本市民がこのたびモスクワへやってきたことを指摘し、ロシアのパートナーに感謝するとともに、向こう二日間に協議されるテーマの幅広さを強調した。「ロシースカヤ・ガゼータ」のパーヴェル・ネゴイツァ社長は、昨今の「容易でない状況」にあっては交流そのものが大きな価値を有しており、メディアという場こそ政治化されない協力を開始するためのすばらしい可能性である、という点を強調した。
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