ロイター通信
ガゼータ・ルは、こう伝えている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ当局に対して国の南東部における紛争の平和的解決を呼びかけ、ノヴォロシア(ドネツィクとルハーンシクの両人民共和国の統合体)の「国家性」を認める必要性を指摘した。
この定式は、かなり広い解釈の幅を残したものの、一部のメディアは、ロシアは承認されていないこれらの共和国の独立の承認を主張していると性急に報じた。ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、ウクライナ当局はノヴォロシアの民兵らを紛争当事者と認めて彼らとの交渉に入らねばならない、ということのみが問題となっていた点を指摘したうえで、「ウクライナだけが、ノヴォロシアと折り合いをつけノヴォロシアの利益を考慮することができ、このような形でのみ、政治的解決は達成されうる」と述べ、ロシアがウクライナ紛争の当事者ではない点を改めて強調した。
プーチン氏は、最近、公式の声明で「ノヴォロシア」という用語を使用しはじめており、将来のウクライナにおいてロシアがノヴォロシアをルハーンシクとドネツィクの両州としてではなく特別の行政的ステータスをそなえた個別の地域としてとらえることも考えられるが、ウクライナ当局は、ノヴォロシアを政治プロセスのまっとうな参加者とはみなしていない。
コメルサント紙は、こう伝えている。ロシアとウクライナは、和解の姿勢を示し、ウクライナは、自国に越境した10人のロシアの空挺部隊員を、ロシアは、やはり自国に越境した63人のウクライナの軍人を、それぞれ返還した。その際、先にウクライナ政府軍を退却させていた民兵らの攻撃は停止された。「ドネツィク(ドネツク)人民共和国」のリーダーであるアレクサンドル・ザハルチェンコ氏は、ドンバス(ドネツ炭田)第二の都市マリウーポリの襲撃は当面予定されていない、と声明した。
コメルサント紙は、こうも伝えている。ウクライナのNATO加盟を可能にするウクライナの非ブロック的ステータスの撤廃に関する法案がウクライナの国会に提出された。ロシアの専門家らは、この措置をウクライナ当局によって進められている政策の結果とみなしている。外交防衛政策会議のフョードル・ルキヤノフ議長は、「新政権は、当初よりEUおよびNATOとの統合を支持する姿勢をとっていた」と述べた。
一方、ウクライナは、同国のNATO加盟を妨げる問題を抱えている。すなわち、ウクライナ軍は、NATOの標準に合致しておらず、ウクライナは、深刻な経済状態にあり、国内では、武力紛争が生じている。そのため、NATOの支援は、おそらくウクライナへの物的もしくは軍事技術的なものにとどまる。西側との関係強化を図るウクライナの政策の別の重要な選択肢は、「NATOの枠外での米国の同盟国」のステータスの獲得である。
ロシースカヤ・ガゼータ(ロシア新聞)は、こう伝えている。元ウクライナ首相のユーリヤ・ティモシェンコ氏は、ウクライナのNATO加盟の急先鋒に立っており、同氏は、先週、そうした措置の必要性を主張した。その週は、長いこと沈黙を守っていたティモシェンコ氏の国内政治の舞台への復帰がとくに印象的であったが、同氏は、ヴェルホヴナ・ラーダ(最高会議)の選挙を目前にして「もっとも戦闘的なウクライナの政治家」となるものと思われる。ティモシェンコ氏は、戒厳の導入および「ウクライナへの具体的な軍事支援に関する全世界の政府および人民に対する呼びかけ」を主張している。
しかし、同氏が率いる全ウクライナ連合「祖国」は弱体化しており、アルセニー・ヤツェニュク首相を含むウクライナの多くの有力な政治家が離党した。分裂の原因は、ティモシェンコ氏を後方へ追いやって自ら政党名簿の筆頭として選挙に挑もうとするヤツェニュク氏の試みにあるものとみられるが、ティモシェンコ氏は、そうしたシナリオを断固拒絶し、自ら連合「祖国」の名簿のトップに君臨する意向である。こうした状況は、来る選挙におけるティモシェンコ氏の政党の見通しに影を落としかねない。
独立新聞は、こう伝えている。EUでは幹部の顔触れが変わるが、ウクライナは、「相対的に親ウクライナの政治家」とみなされる次期欧州理事会議長のポーランドのドナルド・トゥスク首相にとくべつの期待を寄せている。一方、EUの外交安全保障問題担当上級代表に選ばれたイタリアのフェデリカ・モゲリーニ外相は、「これまでウクライナにとくに好意を寄せておらず」、「相対的に親ロシアの」政治家とみなされており、このことは、EU内でのウクライナ南東部における紛争に関する姿勢の控え目さおよび意見のバランスの維持について物語っている。それゆえ、ウクライナは、外部の支援を当てにすることはできず、自ら領土保全を求めて闘わねばならないだろう。
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