ウクライナ情勢8/29報道

ロイター通信撮影

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ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は28日、「ロシア軍がウクライナ領内に侵入した」との緊急声明を発表し、急きょトルコ訪問を取りやめた。この件についての報道が中心となっている。

 「コメルサント」紙は、ポロシェンコ大統領が西側を動かそうとしていると書いている。

 ポロシェンコ大統領は28日、ウクライナ領内にロシア軍が「事実上投入されている」との声明を発表した。ウクライナ政府は直接的な軍事支援も含め、西側に期待している。ただウクライナでは結局、戒厳令は発令されなかった。

 ウクライナの専門家は、ポロシェンコ大統領の声明が、同国南東部での敗北で非難されることを回避するための手段、またドネツィク州およびルハンシク州の戒厳令発令を呼びかけたユーリヤ・ティモシェンコ氏を含む、政敵の圧力を弱めるための手段だと考えている。キエフの政治学者ドミトリー・ジャンギロフ氏は今回の件を、最高会議総選挙前の政治家の愛国競争と呼んだ。

 ドネツィク人民共和国のアレクサンドル・ザハルチェンコ首相は、義勇軍の反撃を「都市部から敵を追い出すことを目的とした人道・軍事作戦」だと説明した。

 

 「ヴズグリャド」紙は、ロシア軍侵入に関するウクライナ政府の発表を分析している。

 ウクライナの民族主義者はロシア軍を不可抗力として、万が一南東部で敗北しても正当化することが可能だ。しかしながら、5つの理由から、ウクライナにロシア軍はいないとの結論にいたることができる。

 ロシア軍が大規模に投入された場合、戦闘はまったく異なったものとなっているはずだ。ウクライナ領内では戦車と支援下部組織の長い列が移動しているはずで、それを隠すことは不可能であろう。ロシア下院(国家会議)国防委員会のフランツ・クリンツェヴィチ副委員長は、ロシアが実際にウクライナ領内に侵入しているなら、「ロシア軍はすでにキエフまで迫っているはずだ。これは虚勢ではなく、客観的な現実」と述べた。ロシアが南東部で作戦を実施したのであれば、ロシア軍はその最新兵器、強力な戦闘機および大砲の砲撃で簡単に認識されるという。

 

 「ガゼータ・ル」は、ウラジーミル・プーチン大統領が義勇軍に対し、ウクライナ軍のために人道回廊を開放するよう呼びかけたと伝えている。

 プーチン大統領は29日、ウクライナ南東部の義勇軍の軍事的成功に反応し、義勇軍の指導者に「無意味な被害者を出さないために、包囲されたウクライナ軍兵士のために人道回廊を開放し、戦闘地域から滞りなく脱出させ、家族、母親、妻、子どもに再会させ、軍事作戦で負傷した兵士に応急処置を施す」よう呼びかけた。

 プーチン大統領の声明は、ウクライナと南東部の未承認人民共和国の対立におけるロシアの正式な立場が、以前と同じであることを示している。ロシアは対立当事者ではなく、平和的解決を求め、大規模な人道支援を行う用意があるという立場だ。

 この時、プーチン大統領も、クレムリンの他の関係者も、ロシア軍が侵入したというポロシェンコ大統領の声明には一切反応を示さなかった。専門家は、ウクライナ政府が侵入に関する現実的な証拠を示さなかったため、反応のしようがなかったのではないかと考えている。

 政治学者のアレクセイ・マカルキン氏は、ロシアとウクライナの関係の緊張はベラルーシの首都ミンスクでの首脳会談後に始まったと考える。会談ではいかなる成果もなかったため、ウクライナ軍の攻撃や義勇軍の反撃を含む、新たな論拠を探すきっかけになったという。「協議とパワー・ゲームはわけるべきだと考えられている。だが実際には、協議で成果を出すために、しばしばパワー・ゲームに走りがちだ」とマカルキン氏。