ビクトル・ヴァセリン/ロシア新聞撮影
ベリャコフ氏の意見によれば、年金の積立部分の凍結は経済に損失を与えるため、「政府がしでかした愚挙に対し」、すべての人に謝罪したという。
年金の積立部分の資金凍結に向けての手続きは、2013年に始まった。政府は、これらの資金を管理組織に移管することを決定し、この機関に年金の支払を委ねることとした。
その代わり政府は、特別な基準を新たに設け、将来、年金の受給額を決めるに際して考慮するとしている。
一方、ロシア財務省は、年金の積立部分の資金凍結を来年度も行うことで、GDP(国内総生産)の伸び率が鈍化したり、融資の利子が2~3パーセント上昇したりするほか、長期的には年金の増額につながらない可能性もあるなど、マクロ経済に深刻な悪影響が出かねないと指摘している。
「この決定は、事実上、経済活動にこの資金を使わないということだから、2015年だけの話ではなくなる。我々は国民の皆さんに、凍結は2014年だけだと約束していた。すべての人に、我々が愚挙をしでかしたこと、また約束を守らなかったことに対し、私は許しを請いたい」。ベリャコフ氏はこのように自身のフェイスブックのページに書いた。
メドベージェフ首相のナタリア・チマコワ報道官は、これに対し、フェイスブックに次のように書き込んだ。「セルゲイ、政府は連帯責任を負っています。そんなに恥ずかしいなら、どう行動すべきか、あなたは知っているでしょう?もしどうにか我慢できるなら――あなたは自分としてできることは全部やって、そのうえで政府決定が採択された訳だけど――あとは執行しなければいけません」
しかし、このコメントはその後、夜に、ベリャコフ氏のページから削除された。また同氏は後で、自分は個人的意見を述べたにすぎないと強調した。
公務員法によると
ロシア政府のホームページの説明によると、ベリャコフ氏は、「公務員法の規定に違反」したかどで職務を解かれた。
「公務員の職にある者は、マスコミを含め公の場で、国家機関およびその指導者に対し(より上位の国家機関、および自身が一時的に職務を代行している機関の決定を含め)、もし、それが職務の内容に含まれていない場合は、何らかの発言、判断、評価を下すことを禁じられる」
「セルゲイ・ベリャコフの解任は、2004年6月27日に採択された『ロシア連邦公務員法』(№79-F3)の第一部第10条に違反したかどで決定された」。ロシア政府のホームページではこう説明されている。
発言の自由か引き締めか
「国の決定を批判して役人が首になるのは、政府が採択した法令に連帯責任を負っている国ではよくあること。一方政党内閣制をとる国でも、個々の役人の批判は、辞職につながることがあり得る」。モスクワ国際関係大学の欧州法の首席専門家であるニコライ・トロピン氏はこう説明する。
また同氏は、アレクセイ・クドリン財務省(当時)が、当時のメドベージェフ大統領との意見の相違を公言し解任されたことに言及した。その時の解任に際しての説明はこうだった。「彼が、政府と矛盾する意見を公言した以上、政府内に彼の居場所はない」
「ロシアでは歴史的に、もし賛成できないなら辞表を出すだけ、というシステムになっている。こういうルールは基本的に皆弁えているので、この手のアピール、言動は滅多にない」とトロピン氏は言う。
注記
・セルゲイ・ベリャコフ氏のフェイスブックのページ
・ロシア政府のホームページの 説明
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