ロイター通信
「コメルサント」紙は、ボーイング777型旅客機の国際事故原因究明委員会に、州際航空委員会(ロシアを含む旧ソ連11ヶ国の執行委員会で、本部はモスクワ)の職員が加えられたことを伝えている。
事故調査に加わることで、その客観性を管理することができ、場合によっては国際委員会の結論に、正式に異議を唱えることができる。
しかしながら、国際委員会の委員の間で意見の不一致が起こることはなさそうだ。航空機に欠陥はなく、パイロットはミスをしておらず、原因は撃墜である、ということを確認する作業だからだ。州際航空委員会の代表はロシアの専門家になる。代表が非客観的または政治的な調査であると判断した場合は、独自の見解を述べることができる。
しかしながら、ロシアの代表が委員会に招待されたことの政治的意義を、大げさにとらえるべきではないと、専門家は考える。誰が旅客機を撃墜したのか、偶発的なのかあるいは意図的なのかという問題は、国際委員会の担当外になる可能性が高いためだ。この問題を討議するのは、引き続きロシア、ウクライナとアメリカの政治家、国防省と情報機関の職員となる。これらの人々は、技術専門家とは異なり、同じ見解に落ち着くことはできないだろう。
「独立新聞」は、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領が、対ウクライナ戦争が行われていると訴え続けているものの、戒厳令を発令することを拒んでいる、と書いている。
ポロシェンコ大統領は党派やグループの代表との会談の中で、戒厳状態とは国際通貨基金(IMF)からの融資の中断と、軍事品あるいは二重用途品の輸入の禁止を意味すると説明した。
大統領周辺の関係者も、戒厳状態はウクライナ東部での最高会議選挙を許さず、ドネツィク州およびルハンシク州の住民が自分たちの選択を行えなくなると考えている。
ボーイング777型旅客機については、欧米の専門家が調査を開始したばかりであるにもかかわらず、ウクライナ政府はロシアから対空ミサイル・システムを受け取った義勇軍が撃墜したと、自信をもって話している。
ウクライナからの制裁は、ロシアの個々の人物に対して行われる可能性がある。例えば、ウクライナ内務省は最近、ロシア国防省のセルゲイ・ショイグ大臣、実業家のコンスタンチン・マロフェエフ氏に対する捜査を開始した。独立を宣言しているドネツィク人民共和国とルハンシク人民共和国に、2人が軍事・技術支援を行っている可能性があると考えているため。
分野的な制裁では、軍需産業企業、自動車・航空機建造、宇宙開発などが対象となる可能性がある。これらはデリケートなハイテク分野だ。ロシア製品のウクライナへの輸出量はそれほど多くないが、逆は多い。ウクライナの製造会社は今後、新しい販売市場を探さなくてはいけなくなる。ウクライナ政府は制裁がロシアの一部銀行にも及ぶ可能性を伝えているが、それはウクライナ保安庁が銀行の「テロへの融資」を証明した場合である。だが専門家は、これが起こるということに懐疑的だ。
「ガゼータ・ル」は、ウクライナ最高会議がウクライナ南東部の戒厳令発令に関する非公式の会議を行う可能性がある、と書いている。
軍事衝突が起こっている地域の状態を変更する背景には、最高会議の解散選挙を実施させないようにする試みが見え隠れしていると、応用政治調査センター「ペンタ」のウラジーミル・フェセンコ理事長は考える。
ウクライナの法律では、戒厳令発令の決定を行えるのは大統領1人。そのため、議員はポロシェンコ大統領に発令を強制できず、強くすすめるのみとなる。戒厳状態には、軍の必要性に応じた、市民の住宅などの私有財産の没収の可能性も含まれる。こうなると、軍事行動への支持が増すことはあるまい。
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