タス撮影
ロスネフチ、VEB、ノバテクなど
アメリカ政府は16日、ロシアに対する新たな経済制裁を発動した。ロスネフチやVEB以外に、独立系天然ガス生産・販売会社「ノバテク」と国営ガス会社ガスプロム傘下の「ガスプロムバンク」も制裁対象企業となっている。制裁対象企業は、アメリカの金融機関から中長期的(3ヶ月以上)に資金を調達できなくなる。ただし、これらの企業の資産は凍結されず、アメリカの企業による提携活動も禁じられていない。
「ロシアの法人に対するアメリカの新たな制裁は、これまでの2回の制裁とは異なり、実感性がある。国が関係している大手、体系構成企業(分野重要企業)がリストに入った」と、ロシアの投資会社「UFS」のマクロ経済アナリストであるワシリー・ウハルスキー氏は話す。
米金融機関からの中長期的な融資を禁止
制裁対象企業のうち、アメリカ経済とのつながりがより深いのはロスネフチ。「ロスネフチには金融備蓄(非常用の蓄え)が200億ドル(約2兆円)あるが、これほどの大きな企業としては少額。そのため難しい状況になり、まず株価と資金コストに影響してくるだろう」と、ロシア経済・国家行政アカデミー国家経済規制講座のヴェニアミン・ヴチャノフ助教授は話す。
ロシアの投資分析会社「インヴェストカフェ」のアナリスト、グリゴリー・ビルク氏は、エクソンモービルがロスネフチとの共同事業で新たな追加的融資を行えなくなり、またその株式を拡大したり、新しい子会社の株式を取得したりできなくなると考える。ノバテクが受ける直接的な影響とは、アメリカ企業がノバテクやその「ヤマルLNG」プロジェクトに融資できなくなることである。モスクワ証券取引所では、ロスネフチの株価が5.4%、ノバテクの株価が8.87%下落した。RTS指数は4.7%の下落。
銀行分野への影響とは
制裁がより大きく影響しそうなのは銀行分野。「VEBが公開市場から調達している資金は約60%、残りの40%は国家資金」とウハルスキー氏。うち欧米の市場からの調達は80%に達し、20%は中国などの国になる。この時、アメリカの資金は10年以上の主要な長期的資金である。
これ以外に、制裁は起債を通じた調達の可能性にも直接的に影響する。「VEBの外債は債券の10~12%、ガスプロムバンクは7%。制裁は営業の安定性には影響しないが、すべてのロシアの金融機関にとって不明瞭な状況をつくる」と、ロシア経済・国家行政アカデミー金融システム分析センターのアレクサンドル・アブラモフ上級研究員は話す。ユーロ債市場に参入するためには、ロシア最大の銀行「ズベルバンク」が、投資覚書のカントリー・リスクに関する章を書きなおさなければいけなくなるという。一方、ガスプロムバンクは、ロシアの債券発行人のユーロ債発行を支援する、主な引受人である。「そのため、制裁はVEBやガスプロムバンクとは無関係な機関の、他のプロジェクトにも影響する」とアブラモフ上級研究員。
ロシアの反応
欧州理事会はヨーロッパ投資銀行とヨーロッパ復興開発銀行に、ロシアとの新たな業務についての契約を結ばないよう指示した。
ロシア政府は今のところ、状況を先鋭化させようとはしていない。プーチン大統領は新興5ヶ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会議の後、ロシアに対する経済制裁がアメリカの企業に悪影響を及ぼすと述べた。「アメリカ政府の措置は、アメリカの国益に反すると考える。大手企業はロシアで活動することを望んでいるが、制限にぶつかれば、世界の他のエネルギー会社と比較した競争力を失う」
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