ミハイル・ヴォスクレセーンスキイ撮影/ロシア通信
「ドネツィク(ドネツク)人民共和国」の代表らによれば、民兵らは、土曜日の早朝、包囲された町から首尾よく脱出し、隣接するクラマトルスクさらにドネツィクへと退散したが、彼らの声明によれば、封鎖された町からの退却は、「軍隊の集結および上首尾なドネツィク防衛のために必要な戦術的作戦」だったという。
人口11万の都市の二月間に及ぶ封鎖の過程で、ウクライナの軍人らは、食糧の補給路を断ち、電気と水道の供給を停止した。ロシアの新聞「コメルサント」がスラヴャンスクの住民らの話として伝えるところでは、国家親衛隊は、同市において、潜在的な破壊分子や民兵に協力的な人物を特定するための「浄化」を実施した。
ドネツィク争奪戦の展望は?
ウクライナの政治学者ドミトリー・ポナマルチューク氏は、ウクライナ当局が民兵の主要拠点の一つを掌握した後に戦闘行動を停止する可能性は小さいとみて、こう述べる。
「大統領の側近には強硬路線を支持する影響力のある人々が存在することを忘れてはなりません。たとえポロシェンコ氏が妥協や譲歩や中庸の路線を欲しても、彼らが黙っていないでしょう、とくに今は…」
同氏は、砲撃や空爆によるドネツィクの包囲は、人道的破局を招き、多数の民間人の犠牲をもたらすことになるため、抵抗の拠点を奪う戦いは、スラヴャンスクと同様のシナリオに沿って、すなわち、ライフラインの切断や食糧供給の停止や民間人の避難を伴う包囲という形で実施される、と指摘する。
また、軍事専門家のヴィクトル・リトフキン氏は、ウクライナの軍人らによるクラマトルスクの奪取は、抵抗勢力を支援することによって町が国家親衛隊の迫撃砲に晒されることを住民が拒否したおかげで成功したとし、こう語った。
「ドネツィクでも同様の状況が生じる可能性があり、人々は、抵抗勢力への支援を拒み、町をウクライナ軍に無条件に明け渡すかもしれません。いずれにせよ、抵抗勢力が兵員と兵器で上回る政府軍に太刀打ちできないことは明らかです」
ウクライナ版ハサヴユルト和平協定か?
同氏は、ウクライナ当局は行くところまで行くつもりであり、流血を停止するにはフランスとドイツとロシアからの政治的圧力を強めるしかないとして、こう述べる。
「1996年のロシア連邦とチェチェン共和国の間のハサヴユルト和平協定と似たようなウクライナの当局と人民共和国の間の和平協定が調印されることも考えられます。あの協定により、ロシアの軍隊はチェチェンから撤退し、チェチェンは独自の大統領と国境と軍隊を有する事実上の独立国となり、その協定は、第一次チェチェン戦争に終止符を打ちました」
交渉の新たな段階は、すでに何度か延期されており、スラヴャンスク制圧に関する報道の後、ウクライナに関するコンタクト・グループは、危機の平和的解決のための具体的措置を速やかに講じ、協議の新たなラウンドをできるだけ早期に開催する必要がある、との声明を発表した。
ロシアとの国境地帯の状況
ロシアの税関職員らが伝えるところでは、「ルハーンシク(ルガンスク)人民共和国」からは、ときどき銃声や砲声が聞こえ、迫撃砲弾がロシア領内に着弾している。たとえば、ロストフ州の検問所「ノヴォシャフチンスク」では、先週金曜日の午前中に数発の砲弾が炸裂し、二週間ほど前にはすでに同様の砲撃でロシア人の税関職員が負傷している。
目撃者らによれば、迫撃砲弾の一つは、自動車道路に着弾して直径50センチの穴を開けたものの、幸い、通行中の車両はなく、犠牲者は出なかったという。
先に、ウクライナ国内における武力衝突により、いくつかのロシアの検問所が閉鎖され、たとえば、国境警備局は、「ドネツィク」、「ヴェショーロ・ヴォズネセンカ」、「クイブィシェヴォ」といった検問所の活動を停止している。
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