米露関係が最小限に縮小

ロイター通信撮影

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アメリカのバラク・オバマ大統領は、ウクライナの主権、完全性、民主主義、経済的安定を支援する法律に署名を行った。専門家は、アメリカが新たな経済制裁を近い将来発表することはないが、アメリカ政府とロシア政府の二国間協力はほぼなくなると考えている。ロシアがホワイトハウスに関係回復を迫ることはないと、クレムリンは伝えている。

 ウクライナ情勢をめぐるアメリカ政府の行動に対し、ロシアは極めて否定的な反応を示している。ロシアのセルゲイ・リャプコフ外務次官はこう述べた。「アメリカ政府は自国の誤ったやり方にとらわれたままとなり、ウクライナやクリミアで起こっていることや、ウクライナ情勢の打開策について、現実とは無関係なイメージに支配されている。すでに発動された経済制裁や、新しい法律の枠組みの中で発動され得る経済制裁が、アメリカ政府の期待する効果をもたらすことはないし、もたらし得ない」

 

本格的な経済制裁は? 

 オバマ大統領は新しい法律に署名を行う前、ロシアへの次なる圧力として、経済制限に移行する権利を留保した。だがロシアの専門家は、アメリカ政府が近い将来、この選択肢を適用することはないと考える。「(ロシア経済の主要な分野に対する)4番目の制裁パッケージは、ロシアがウクライナ東部で活動を続けた場合の報復とされている。今のところ、ロシアがこれ以上進むようには見えない」と、外交・防衛政策会議のフョードル・ルキヤノフ議長は話す。アメリカは新たな経済制裁を発動する代わりに、「可能な限りの場所で」ロシアとの協力活動を徐々になくしていくという。

 実際には、両国の間にほぼ何も残っていない。クリミアの住民投票の実施が明らかになった時、アメリカ政府はすぐさまロシアとの軍事協力停止、および経済分野での一連の行き詰っていた合意の凍結について発表。クリミアがロシアの一部になると、今度は不法麻薬流通防止に関する協力と、核の平和利用の分野における一連のプロジェクトの協力を停止した。これ以外にも、NASAが国際宇宙ステーション関連を除き、ロシアとの接触をすべてやめることを発表した。二国間関係にもっとも打撃を与えたのが、米露大統領委員会の作業への参加を、アメリカが拒否すると発表したことである。

 

大統領委員会が犠牲に

 米露大統領委員会は、米露関係の「ペレザグルースカ(リロード)」がピークだった2009年7月、オバマ大統領がロシアを訪問した際に創設された。委員会には、原子力エネルギー、軍縮、テロ防止、経済貿易、農業・医療などの作業部会が約20部会あった。アメリカはその後、非営利団体分野のロシアの動きに対抗して、市民社会の作業部会から抜けたが、昨年6月には国際情報安全分野での協力の作業部会が新たに増えていた。委員会の作業には双方の国家機関60機関以上が関与。500回以上の会合や交流が行われた。

 だがアメリカの専門家は、ロシアとの二国間関係自体にそれほど大きな価値はなかったと話す。ジョージタウン大学ユーラシア・ロシア・東ヨーロッパ研究センターのアンジェラ・ステント所長はこう話す。「ロシア政府は間接的ではあったものの、中東の政治的大変動をアフガニスタンやイランに波及させないという、アメリカのより広い外交の目的において重要だった」。マイケル・マクフォール元ロシア駐在アメリカ大使も、同様の話をしていた。

 

ペスコフ大統領報道官「残念だが実害はない」 

 ロシアとの二国間協力をやめることで、オバマ大統領は弱腰を非難されずに済むし、対ロシアの厳しい経済制裁によって生じる、世界経済の大きなリスクを回避することができる。

 ロシア連邦外務省のアレクサンドル・ルカシェビッチ報道官は、アメリカ政府の大統領委員会の作業停止決定についてコメントしながら、委員会が「ロシアとアメリカの利益を考えて、ロシアとアメリカの省庁、経済界、市民社会の直接的な対話メカニズムとして創設された」ことを再び説明。「アメリカはクリミアとウクライナの情勢が思い通りにならないことに感情的に反応し、結果について考えずに、『悪ければ悪いほど良い』の原則にしたがって動いているようだ」と述べた。

 ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、困惑しながらこう述べた。「これらの行動(アメリカによる委員会への参加停止)は残念であるだけで、他には何ももたらさない。さまざまな専門的問題における二国間関係のチャンネルを、ロシアはほぼ失う」。ロシア側から委員会の作業の再開をアメリカに呼びかける可能性はあるかとの問いには、「無理強いはよくない」と答えた。

 

元記事(露語)