ウクライナに展開する兵力に関しては、プーチン大統領が決定する=ロイター通信撮影
とはいえ、軍事力行使の承認は、近い将来にそれが行われることを意味しないという。インタファクス通信が露外務省の声明にもとづき伝えた。「大統領が得た承認は、それが速やかに実現されることを意味しない」。グリゴリー・カラシン外務次官は、記者団に対しこう述べた。
ワレンチン・マトヴィエンコ上院議長は、クリミアに住むロシア系住民の生命が脅かされており、ロシアはこれを傍観することはできない、と述べた。
上院での審議のなかで、ユーリー・ヴォロビヨフ上院副議長は、オバマ米大統領が「ロシアの政策のつけは高くつく」と述べたことについて、「一線を越えて、ロシア国民を侮辱した」などと発言した。
さらに、上院は、外交委員会に対して、米国のロシア大使召還に関する声明の準備を委ねた。
クリミア共和国からの援助要請
これに先立ち、同日、ロシア下院(国家会議)は、プーチン大統領に対し、クリミア情勢安定化のために対策を講じ、専横と暴力からクリミア住民を守るべくあらゆる可能性を追求するよう求める決議を採択していた。
下院の「CIS・ユーラシア統合・ロシア系住民問題に関する委員会」のレオニード・スルツキー委員長は、クリミアに限定的な兵力を派遣し、キエフの「憲法違反体制」による挑発行為に対抗して、黒海艦隊基地とロシア系住民の安全を守ることが可能だと述べていた。
またその前に、セルゲイ・アクショーノフ・クリミア自治共和国首相は、プーチン大統領に対し、「クリミア自治共和国内の平和と安定のため、援助を差し伸べる」よう求めていた。
「国際社会の非難浴びるのは必至」
外交評論家でフョードル・ルキヤノフ氏(「世界政治におけるロシア」誌編集長)は、ロシアNOWのインタビューに答え、今回の軍事力行使の承認は、「現状維持」のために必要となったとの見方を示した。
「ロシアの部隊は、同地での国民投票に妨害がなされないように、昨日、一昨日あたりにクリミアに現れていた。ロシアは、キエフの政権を正当なものとみなしておらず、ロシアやクリミア住民に対し、何か指図するような権利はないと考えている」。ルキヤノフ氏はこう説明した。
同氏はまた、今日の上院の決議は、実質的に、オバマ米大統領の警告に対する返答である点を強調した。「上院の審議で、オバマ大統領の警告について言及されたということは、この対立が自動的に国際的なレベルに移行したということだ」。ルキヤノフ氏はこう述べたあと、ロシアとしては少なくとも、国際社会の非難と「侵略的政策」に対する批判を浴び、イメージが傷つくのは避けられないと指摘した。
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