中国の“補助的パートナー”を脱するために

朴槿恵大統領は、プーチン大統領の訪問に先立ち、興味深い一連の経済構想を発表した。その主たるものは、東アジア太平洋共同体の創設である。この構想では、中国、ロシア、韓国の同盟の創設が重要な役割を担っているが、北朝鮮なしにこれは不可能だ。=AFP/East News撮影

朴槿恵大統領は、プーチン大統領の訪問に先立ち、興味深い一連の経済構想を発表した。その主たるものは、東アジア太平洋共同体の創設である。この構想では、中国、ロシア、韓国の同盟の創設が重要な役割を担っているが、北朝鮮なしにこれは不可能だ。=AFP/East News撮影

ロシアにはアジア太平洋(AP)地域に対する野心的な課題がある。中国との戦略的協調関係を保ちながら、他の国々との関係を構築するというものだ。プーチン大統領によるベトナムと韓国の訪問は、この地域におけるロシアの立ち位置に大きな影響を及ぼすかもしれない。

 ウラジーミル・プーチン大統領は、12日にベトナム、13日に韓国を訪問した。AP地域のロシア外交の専門家はこれに先立ち、円卓会議を行った。

 

APとロシアの関係は双方にプラス

 東アジアの国々との協力関係の構築は、人口が少なく、雇用に問題を抱える、ロシア極東地域の発展につながる可能性があるため、この地域におけるロシアの立場を強化することには、戦略的意義がある。

 APにとっても、ロシアという新たな地域の担い手の出現は、好影響をおよぼす可能性がある。既存のAPの対話モデルは、中国対ベトナムおよび日本の領土問題の解決、また朝鮮半島の安定化をもたらしていないが、この地域で新たな取り組みが生まれるかもしれない。ロシアはさらに、アジア地域において唯一の非アジアのパートナーである。

 ロシア科学アカデミー東洋学研究所朝鮮・モンゴル部のアレクサンドル・ヴォロンツォフ部長は、プーチンの今回の歴訪は珍しいケースだという。「中国に隣接する2ヶ国を訪問する。これはAPにおけるロシアの多極的外交を示すもの。中国はロシアの重要な戦略的パートナーであり、今後もそうあり続けるが、ロシアには他にも協力関係を結びたい国がある」

 

あちらを立てればこちらが立たず?

 ロシア国立高等経済学院・東洋学部のアレクセイ・マスロフ部長も同じ意見だ。「ロシアは外交関係を多様化させなければならない。中国はこの地域におけるロシアのもっとも重要なパートナーだが、唯一のパートナーではないことに言及しておく必要がある」。ロシアは中国の原料輸出元であり、これによって中国は国際舞台で自国の決定を正当化できる、という意見が広がっているという。中国の”補助的なパートナー”のイメージを払しょくし、アジアにおいて中国の合意は得つつも、完全に独立した政策を持つ国であることを示すという難題が、ロシアの前に立ちはだかっている。だがマスロフ部長は、ロシアがベトナム、北朝鮮、韓国、日本との関係を発展させることで、中国のライバルになってしまうことも指摘。

 

南北朝鮮との関係 

 ヴォロンツォフ部長は、ロシアと南北朝鮮との関係にも注目。韓国はロシアの重要な経済的パートナーであり、APへの進出の”トランポリン”と見なすこともできるという。しかしながら北朝鮮との関係をないがしろにしてはならない。北朝鮮との経済関係は存在しないという意見もあるが、ロシアは羅津港までの54キロメートルの鉄道建設と、その埠頭の刷新を完了したばかり。これは朝鮮半島全体を通る鉄道建設プロジェクトの試験部分だ。これ以外にガスパイプラインと電力網の設置という大がかりな計画が2つある。ヴォロンツォフ部長は、これらのプロジェクトが北朝鮮と韓国の歩み寄りという、壮大な地政学的課題の解決に向けられていると強調する。

 朴槿恵(パククネ)大統領は、プーチン大統領の訪問に先立ち、興味深い一連の経済構想を発表した。その主たるものは、東アジア太平洋共同体の創設である。この構想では、中国、ロシア、韓国の同盟の創設が重要な役割を担っているが、北朝鮮なしにこれは不可能だ。「これはAPでロシアが新たな経済プレイヤーになるという、まったく新しい状況を生みだすかもしれない」とヴォロンツォフ部長。ロシアの立場強化の原動力となるのが、経済と運輸の分野におけるインフラのプロジェクトなのである。

 

ベトナムとはソ連時代から交流

 モスクワ大学付属アジア・アフリカ諸国大学・東南アジア・アジア太平洋現代問題研究センターのオクサナ・ノヴァコワ所長は、ロシアとベトナムとの関係について、政治的協力だけでなく、軍事協力も重要だと話す。「ロシアは武器販売においてこの地域で第1位、世界で第3位。アメリカは基本的に、ベトナムには武器を売らない」。二国間にはソ連時代から続く信頼関係がある。ロシアはベトナムの知的エリート層の構築に積極的に関与した。したがって関係発展の基盤は整っているのである。

 ロシアはAPにおいて、貿易と投資だけでなく、人材育成の人道支援プロジェクトを通じて交流を図っていることに専門家は注目する。ロシア・ベトナム大学のプロジェクトは進められてすでに2年が経過。同時に60校以上が参加する、上海協力機構大学のプロジェクトも進んでいる。「これはアジア最大の教育プロジェクト」とマスロフ部長。

 ロシアは政治的意思と専門研究があれば、この地域でもっとも重要なプレイヤーになる可能性があるという点で、専門家の意見は一致した。