ロン・スノーデン氏=GettyImages/Fotobank撮影
「4,5台の車が追いかけてくるのがモロ見えでした。一体誰なのか・・・空港からずっと、我々が停車すると向こうも停まるんです」と弁護士は語った。
後で、それが報道関係者だったことが判明したので、クチェリェナ氏はマスコミに特別声明を出した。「興味津々なのは分かりますが、スノーデン氏の身の安全がかかっていることをお忘れなく!」。
スノーデン・シニアのモスクワ行きに密着
実際、ロン・スノーデン氏のモスクワ行きは、スパイの追跡劇めいたところがあった。
「初め空港では、ロン氏を見つけることができませんでした」とLife News紙記者のマリーナ・ロマノワさんは振り返る。「でも突然、念入りに目立たないようななりをしている男性が目に入りました。ハンチングをかぶり、サングラスをかけてましたが、かなり猫背で、頭髪は全然くせ毛がありませんでした」。
マリーナさんによると、ロン氏は、追いかけてきそうな人を撒くために、わざと中国便の出るゲートで時間をつぶしていたが、彼女はそれに引っかからず、まんまと同じ便に乗り込んだという。
「乗客は少なく、ほとんどロシア人でした。ロン氏はやっぱり目立たないように、機内の端っこにじっと座って、暗かったのに照明もつけていませんでした。それでも、彼がリラックスしているのが分かりました。空港ですごく緊張してたんですね。離陸すると気分が楽になったようです」。こうマリーナさんは続ける。
「祖国に戻ることは永遠にない」
「私は初め、彼に世間話をしかけました。彼がげっそり痩せたのに気がつきました。『もう、息子さんがアメリカに戻ることは永遠にないことは分かっていますか?』と聞いたら、その“永遠に”という言葉が彼を苛立たせたようでした。彼はとても苦しんでいましたが、起ったことの意味はよく承知していました。『世界の人々は息子のことを誤解している』と何度も言っていましたね。彼にとっては、息子は英雄で、米国のマスコミの報道は、彼にはまったく的外れに思えるのです」とマリーナさん。
モスクワのシェレメチェヴォ空港に着陸すると、ロン氏は一番最後に機外に出た。ロビーでは、VIPホールの職員を含め、数人が待ち構えていた。ロン氏は、機内での様子に比べると、ずっと元気で、自信ありげに見えたという。その後一行は電気自動車に乗り込んだ。
ロシアとプーチン大統領に謝意を表明
ロシア入りするや、ロン氏には直ちにマスコミの注目が集まり、空港で彼は次のようなコメントを残した。ロシアとプーチン大統領、それにクチェリェナ弁護士が息子を助け、安全を配慮してくれたことに深く感謝していること、自身、しばしばロシアを訪れようと思っていること、そのためにマルチビザを取得したこと。
一方、事実上スノーデン氏の代理人となっているクチェリェナ弁護士は、米国では未だに正式に告発がなされていない点を指摘した。「現時点では、ロシアに対し、スノーデン氏の送還を求める公式の要請はまったくなされていません。正式の起訴もありません」。
さらに弁護士は続けた。「これは、法務専門家である私にとっても、まったく不可解な状況です。追跡は続いており、相当な危険にさらされているのに、すべてが法の埒外で展開しているんです。彼らは言います。『とにかく引き渡せ!』。我々は反論します。『手続きというものがあるでしょう。ロシアと米国の間には引渡しに関する協定がないんだから、だめですよ』」。
仕事のオファーは多数
クチェリェナ氏はまた、スノーデン氏がロシア以外の国に亡命申請をしている事実はないこと、ロシアで仕事を探していることなどを伝えた。
クチェリェナ氏によると、スノーデン氏は近々に高収入の職に就く可能性があり、かなり多くのオファーが来ているという。
「オファーはたくさんあり、現在検討中です。エドワードは実入りのいい仕事を見つけられると思いますよ。ITか法律関係かと、彼と話し合っているところです」。クチェリェナ氏はこう述べ、スノーデン氏は、彼の基金に入ってくる金には手をつけず、自分で働いて稼ぎたがっていると付け加えた。
*Life News紙、ロシア通信の記事を参照。
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