プーチン大統領は非常事態を自ら収拾する。=ロシア通信撮影
プーチン大統領は氾濫警告・処理活動の調整に関する特別政府委員会の設置を目指し、特別会議をハバロフスクで召集すると発表している。さらに被災地のユダヤ自治州の地域を視察し、アムール州のブラゴヴェシチェンスクを訪問し、ウラジオストクでも会議を行うと、クレムリンの広報室の関係者が伝えている。
政府丸ごと極東へ
ウラジーミル・プチコフ非常事態相率いる、政府非常事態常設委員会の大臣数人も、27日にハバロフスク入りした。地元のアムールメディア通信によると、 イーゴリ・シュワロフ第1副首相も訪れる予定。さらにプーチン大統領が設置した政府新委員会にも、政府関係者が加わるという。
プーチン大統領はすでに苦言を述べ始めている。新たな水資源供給システムを設置する必要性を訴え、違反建築物が損害を受けている場合は、違反を認識していたその建設業者や組織に賠償責任を問うと断言した。
ヴィクトル・イシャエフ極東連邦管区大統領全権代表も、地元政府を批判し、土砂堤防の建設を加速するよう求めた。さらに災害後初となる人事異動もあった。ドミトリー・メドベージェフ首相は、ユーリー・オノプリエンコ極東発展省次官を解任した。
「地元政府の努力は足りない」
被災地支援はひどい状況で、地元政府の努力は足りないと、プーチン大統領率いる全ロシア人民戦線の活動家は話した。
全ロシア人民戦線中央本部の一員である、アレクサンドル・ワシリエフ下院(国家会議)の議員はこう話す。
「運輸省には集められた人道支援の無償輸送を要 請している。また農業省には、地元の農家への補償を渋っている保険会社への働きかけを依頼している。被災地の農家には種子も必要だ」。
全ロシア人民戦線執 行委員会のアンドレイ・ボチャロフ委員長は、極東から戻った後、国内中央部の農家に支援を要請した。物資があっても輸送料が非常に高額なため、運輸省の協 力は欠かせない。
「住民を安心させることが視察の目的」
プーチン大統領は非常事態を自ら収拾する。2010年に山火事が発生した際には、消火活動を行うためにリャザン州に飛んだ。ロシア南部のクルィムスク市で昨夏、水害が発生した際には、何度も自ら足を運んでいる。どちらの際にも地元政府や大臣を批判していた。
当初はメドベージェフ首相が被災地に乗り込み、状況の改善を図ると伝えられていたが、プーチン大統領が再び出発した。
ナタリヤ・チマコワ首相報道官によると、政府は今回の水害が発生した時から、継続的に状況を監視し、生命の確保に関する問題を解決し、必要な支援を行い、資金を投入し、首相を中心とした会議を行い、さらに新しい会議も計画しているという。
政治学者のアレクセイ・マカルキン氏によると、非常事態を収束、管理し、役人を叱責し、状況を動かせるのは、国の最高指導者であって、さらにプーチン大統領が決定を行うことを誰もが知っているため、メドベージェフ首相が現地に行っても住民を納得、安心させることはイメージ的に難しいという。大統領のアピールだけでなく、住民を安心させることが視察の目的なのだ。
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