南オセチアでの交戦から5年

ロイター通信撮影

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2008年8月8日、グルジア軍が南オセチアに侵攻し、首都ツヒンヴァリおよびロシアの平和維持軍の拠点が集中砲火を浴びた。ほどなく、ツヒンヴァリで戦闘が始まり、多数の一般市民が犠牲となり、ロシアの平和維持軍の隊員が落命した。数時間後、ロシア軍が南オセチアに投入され、グルジア軍を同共和国から撤退させた。8月13日、南オセチアのエドゥアルド・ココイトゥイとグルジアのミヘイル・サアカシュヴィリの両大統領は、ロシアのドミトリー・メドベージェフとフランスのニコラ・サルコジの両大統領(当時)が提示した調停案を受け入れた。

グルジアの姿勢の変化

 南オセチアでの出来事から5年が経ち、グルジア指導部は、以前の非妥協的な姿勢を若干修正したものの、依然としてアブハジアと南オセチアの分離を認めようとはせず、新らたに形成されたその両国家に駐留するロシア軍を占領軍とみなしている。

 とはいえ、ビジナ・イヴァニシヴィリ首相を代表とする新与党連合「グルジアの夢」は、2008年に流血を招いた行動に対する責任の多くはグルジアのミヘイル・サアカシュヴィリ大統領にあるとしている。グルジアのパアタ・ザカレイシヴィリ再統合問題担当相は、ロシア通信に、戦争は回避できたとしてこう述べた。

 「残念ながら前政権はその紛争を回避できませんでした。ロシアはべつに南オセチアに関心があるわけではないというサインをサアカシュヴィリ大統領に前もって送っていたのですが、結局、すべてはあべこべになってしまいました。領土を手に入れたいとの欲望に目が眩んだサアカシュヴィリ氏は、一杯食わされ、罠に嵌ってしまったのです」。

 グルジアのズラブ・アバシーゼ対露関係調整担当首相特別代表は、テレビ局「ルスタヴィ-2」の番組でこう語った。

 「2008年に私たちは侵攻の犠牲となりましたが、残念なことに、そして驚いたことに、私たちの側からも誤った行動がとられ悲劇的な過ちが犯されてしまいました」。

 

ツヒンヴァリの優先事項は国際的承認

 南オセチアでは、2008年の出来事は、1989年から続いてきたグルジアからの独立を目指す闘いの最終章とみなされている。南オセチア共和国のダヴィド・サナコーエフ外相は、ロシア通信にこう述べた。

「公然たる戦闘の合間にも、グルジアの特務機関によるテロ行為が見られ、一般市民が誘拐され殺害され拷問を受け、ツヒンヴァリおよび共和国内の地区は周期的に砲撃に曝されていました」。

 ツヒンヴァリでは、2008年の交戦に対する責任はグルジア大統領ばかりでなく国際組織にもある、とみなされている。

 サナコーエフ氏は、こう語る。「紛争を武力で解決しようというグルジア当局の思惑が明らかとなった2004年以降も、国際組織、人権擁護団体、EU、欧州会議の代表たちが、南オセチアを定期的に訪れ、南オセチア共和国内では、OSCE(欧州安全保障協力機構)の使節が活動していましたが、戦闘が準備されているとの再三の警告にもかかわらず、彼らは、それに耳を貸さず、結果として、グルジアが20088月に戦争を惹き起すのに手を貸したのでした」。

 しかし、南オセチアでは、独立は人々が負った犠牲と尽力に値したとみなされている。サナコーエフ氏は、こう述べる。「それは、わが民族の大きな成果であり、独立と自由そして自ら未来を築く可能性を手に入れるための20年に亘る闘いの認知といえましょう」。

 

ロシアにはサアカシュヴィリ政権を打倒する意図はなかった

 あれから5年が経ち、ロシアは、紛争の原因は少数派民族に対する「グルジア指導部の排外的愛国主義政策」にあったとみており、20088月には南オセチアの住民を守る必要があり、他の選択肢はなかったとみなしている。

 2008年に大統領職にあったロシアのドミトリー・メドベージェフ首相は、先週末、テレビ局「ロシア・トゥデイ」へのインタビューでこう述べた。

 「それは、国家間の戦争ではなく、ましてや、ロシアとグルジアの民族間の戦争でもありません。それは、平和を強いる作戦であり、ごく局地的な目的のものでした。私たちは、相手が人々を滅ぼすのを止める程度にまで相手の武力を削がねばならなかったのです」。

 さらに、メドベージェフ首相は、ロシアには武力を用いてグルジアの政権を交代させるつもりはなかったとして、こう述べた。

 「私は、最高司令官として、トビリシに侵攻して政権を交代させサアカシュヴィリ氏を処刑するよう指示を出したことはけっしてなく、氏の個人的な運命にはまったく興味がありませんでした。私は、つねづねその運命を決めるのはグルジアの人々であると考えてきましたが、どうやらそれはすでにほぼはっきりしたといえそうです」。

 

 *元記事(露語)

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