2021年のフィギュア世界選手権金メダリスト、アンナ・シェルバコワ(写真特集)

Joosep Martinson/International Skating Union/Getty Images
 モスクワ生まれのシェルバコワは、13歳のときに足を骨折し、世界選手権の数ヶ月前に肺炎にかかったが、2021年3月、ついにスウェーデンで金メダルを獲得した。

 初めてアイスリンクに立った日のことについて、シェルバコワはスポーツ24のインタビューで次のように回想している。「アイスリンクに立つと、コーチが、『手すりを持って立ってみて』と言いました。わたしは手すりなんか持たなくても大丈夫だと思ったのですが、その瞬間倒れてしまいました。立ち上がって、うまくいかないなと思って、もう一度やってみて・・・。3回目くらいで、思っているほど簡単にはできないのだということが分かったのです」。

 アンナ・シェルバコワは、物理学者の父と地球化学者の母の一家に生まれた。両親は「スポルト・エクスプレス」のインタビューに答えた中で、3歳半の時に、妹のインナとともにフィギュアスケートを始めたが、絵画教室、音楽教室、スイミング、そしてテニスをしていたと話している。インナはまもなくスポーツに興味を持たなくなったが、アンナはスケートに夢中になっていったと話している

 母親のユリアさんは「ただ健康のためにスケートに連れて行くようになったのですが、そこがどういうところなのかよく分かっていませんでした。アーニャがエテリ・トゥトベリゼコーチ(オリンピックチャンピオンのアリーナ・ザギトワ、ユリア・リプニツカヤ、2度世界チャンピオンに輝いたエフゲニア・メドベージェワを育てた)のグループに入ったときに、ようやく状況を理解するようになりました。それで少しずつ、フィギュアスケートが娘にとってただの趣味ではない、もっと大きなものになるのかなと思い始めたのです」と話している。

 

骨折と肺炎 

 13歳のとき、最初の国際的なシーズンとなる2017年から2018年を前に、シェルバコワはトレーニング中に足を骨折した。両親はもうスケートをできなくなるのではないかと心配したという。

 これについて、父親のスタニスラフさんは、「6週間、ギプスをはめた後、足は何か形がなくなり、曲がっているように見えました。気持ちを落ち着かせ、すべて元どおりになり、足を引きずらずに歩けるようになると思うには、自然の力を強く信じなければなりませんでした。スケートリンクに再び立つことができたのは、本当の奇跡としか言いようがありません」と振り返る。

 シェルバコワはその年に復活を遂げ、2019年まで、国内外のジュニアの大会で勝利を収めた。ロシア選手権での優勝、そしてサラエヴォでのヨーロッパユースオリンピックフェスティヴァルでも金メダルを獲得した。 

 2019年から2020年にかけて、シェルバコワはシニアグループに出場し、いくつかの金メダル、銀メダルを手にし、世界記録、個人記録を打ち立てた。ISUチャレンジャーシリーズのイタリア大会では 、シニア選手で初めて4回転ルッツをミスなく降りた

 2020年秋、シェルバコワは肺炎にかかり、グランプリシリーズのモスクワ大会であるロステレコム杯に出場できなかった。 

 「症状がなかったので、トレーニングでも特に変わったことはなかったのですが、突然、体調が悪くなりました。それが1日目で、すぐにあらゆる検査を受けました。するともう一定期間、病気だったことが分かりました。それで大会を棄権することになりました」とシェルバコワは語っている

 

勝利の連続 

 しかし、病気をしていたにも関わらず、2020年12月、シェルバコワはロシア選手権で優勝を果たした。コーチのエテリ・トゥトベリゼは、棄権するよう促したが、彼女は出場すると言い張ったと話す。

 コーチは言う。「演技が終わった後、涙が溢れました。感情が抑えきれなかったのです。アーニャは不可能なことをしたのです。準備はできませんでした。病気のせいで、色々変更しなければなりませんでした。熱があり、練習もできなかったのです」 

 それから3ヶ月かけて体調を戻し、トレーニングを強化し、2021年3月26日、誕生日の2日前にシェルバコワはストックホルムの世界選手権で初めての金メダルを手にした。

 シェルバコワは、勝利を決めた後、「思ってもみなかった素晴らしいプレゼントです。予想すらしていませんでした。この日、ミスについてあれこれ考えるのではなく、喜ぶだけの日にしたいです」と述べている。 

 2021年4月、シェルバコワは、15日から18日にかけて大阪で開催される国別対抗戦に出場する。 

 今後の計画について、シェルバコワは「気分的に非常に苦しいシーズンでした。その気持ちから解き放されて、楽しく試合に出場し、自分のために穏やかな気持ちで演技したいと思っています。もちろん、全力を尽くさないということではありません」と話している

プライベートと今後の予定 

 シェルバコワは時間があると、英語のドラマを見ているのだそうだ。お気に入りの番組はシャーロック・ホームズ。また飼い犬のサンディ、メインクーンのシャイニー、そして野良猫のシーパのお世話をしている。

 飼っている動物について、シェルバコワは、「どの子も個性があります。わたしのことを信頼し、愛情を受け止め、なついてくれているのを見ると、とても嬉しい気持ちになります。どの子もとても素直で、言葉がなくても、人間よりもよく理解しあえると感じることもあります」と話す

 オリンピックについて、シェルバコワはまだ考えていないと言うが、いずれにしても、スポーツに人生の一部をかけるつもりだと話している

 「先のことは分かりませんが、長くスケートを続けたいと言う気持ちはあります。長い道のりをスムーズに進んで行くことは不可能だと思います。山あり谷ありでしょう。でも、フィギュアスケートへの愛で、すべての困難を乗り越え、その道のりにある素晴らしいことに喜びを感じていけると思っています」 。 

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