シベリアはタイガ、ツンドラ、山、湖がある果てしない大地である。そしてかなり短く、明るい夏があり、野生の動物が人間に近づいてくる。そんなシベリアで、人々は夏をどう過ごしているのだろうか?
遠くに浮かぶ美しい雲が見えるだろうか?その雲にはできれば近づかない方がよい。というのもこの雲、実は血を求める大量の蚊でできているのである。概して、もっとも勇敢な虫は街の外に住んでおり、最新の殺虫剤も蚊を寄せ付けない衣類も効果がない。蚊は服の上からでも血を吸うので、ある程度の時間が経つと、人々はこれを地域の特性と感じるようになる。
地元の人々は「最初は吸われる度にかゆくなり、腫れは4〜5センチにもなるが、2〜3日もすれば慣れてきて、かなり楽になってくる」と話す。
これはヤクーチヤで撮影された動画。家の壁に蚊の大群が、家の住人たちが戻ってくるのを待っている。
この小さな虫の群れは血を吸う羽虫である。これらの虫は実際、非常に厄介な虫で、タイガで人間を襲う。これは蚊に吸われるよりも恐ろしい。なぜなら同時に攻撃するお腹を空かせたさまざまな種類の吸血羽虫が集まっているからである。
この群れに出会ったことがある人々は、「刺されると、必ず末端神経を狙ってくるのでとても痛い。慣れるなんて無理。あるいは北の地方の夏の長さでは不十分なのかもしれない」と話している。
ブルウス氷河
anastasiagavシベリアの冬は非常に寒く、凍りつくほどである(ここには永久凍土帯があり、またオイミャコンやヴェルホヤンスクのような地球でもっとも寒い場所があり、風の墓地もある)。しかし、夏はというと、ソチと同じくらい暑くなることもある。とくにシベリア南部(クラスノヤルスク、アバカン、ケメロヴォ)では暑い日が数週間続くこともある。一方、シベリアの中央部や北部では天気が変わりやすい。急激に温度が上がり、雪が解ける暇もないこともある。
ヤクーチヤには温度が上がっても解けない氷河があり(もっとも有名なのがブルウス)、そこでは日焼けを楽しむこともできる。そのような場所は公式に観光客のための休暇の場所となっている。もっともこれはビーチチェアの並んだ砂浜ではなく、熱い太陽に照らされた雪の上である。
広大なシベリア南部では夏は3ヶ月続き、非常に暑い日もよくある。そこで穀物やその他の植物を育てることもできる。しかしシベリア北部の夏はとても短く(1ヶ月のこともあれば文字通り2日しかないこともある)、天候は非常に変わりやすい。日中は30℃まで上がったかと思うと(そして皆、ビーチに行く)、夜には10℃まで下がる。そこで地元の人々は夏の一瞬一瞬を楽しみ、暖かい服を必ず持って出る。
あるモスクワっ子は、ヤマルへの旅について、「6月1日にモスクワから到着したときには、ジャケットを着て、ハイヒールを履いていたが、飛行機から降りたち、懐かしい場所に視線を向け、胸いっぱいシベリアの空気を吸い込むと、顔に雪片が落ちてきた」と書いている。「手の指はすぐに凍えてしまい、顔も凍ってしまった。外に3時間ほど立っていると、雪はもう溶け、鳥がさえずり、車を運転している間に手も温まってきた。止まって、足をもみほぐさなければと思う。ジャケットを脱ぎ、外に出て、満足した気分でいると、突然「ジジジジジ」と羽音が聞こえたかと思うと、刺されているのを感じる。どこが刺されたのかなんて分からない。なぜなら本当にあちこち刺されるから。3秒の間に、10リットルの血と5キロの肉が消えた気がした」。
夏になると、日が長くなり夜が短くなることは誰でも知っている。しかし問題はどれくらい短くなるのかということである。居住地が北にあればあるほど、夏の日は長くなる。緯度60度以上になる場所では白夜になり、太陽は数時間しか沈まず、薄暗い状態が続き、夜にはならないのである。極圏では、夏中、24時間、極夜となる。
シベリアの問題の一つは、川が多く、橋が少ないことである。シベリアの河床は複雑で、頑丈な自動車用の橋を建設することができない。そこで向こう岸にある隣町に行くのにも迂回しなければならないということになる(その距離は100キロメートルになることも)。たとえば、片方の岸に空港があり、別の岸にサレハルドやヤクーツクといった鉄道駅がある。冬の間は氷上の渡って行くことができるが、夏は多くのフェリーボートが運行している。
タイガやツンドラに囲まれたシベリアの都市では野生の動物の姿を見ることができる。北方のトナカイがトマト畑を荒らしたり、ホッキョクギツネが釣りの獲物を掠め取ったりしても、何も言えない。
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