上月豊久大使にインタビュー:医療面での協力は「8項目の協力プラン」の一つ

Mikhail Tereshchenko/TASS
 上月豊久・駐ロシア日本国特命全権大使がロシア通信のインタビューに応じ、新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的に流行する中、露日関係がどのような分野で発展しているか、日本大使館がどんな活動を行っているかなどについて語った。ロシア・ビヨンドが上月大使の発言を要約してお伝えする。

 上月豊久・駐ロシア日本国特命全権大使がロシア通信のインタビューに応じ、新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的に流行する中、露日関係がどのような分野で発展しているか、日本大使館がどんな活動を行っているかなどについて語った。ロシア・ビヨンドが上月大使の発言を要約してお伝えする。 

新型コロナウイルス対策における露日間の協力について

 「日本は、この分野でロシアとの協力関係を深めたいと望んでいる。…こうした状況のさなか、5月7日に安倍首相は、プーチン大統領と電話会談を行った。両首脳は、『8項目の協力プラン』の枠内で、新型コロナウイルス対策の面で協力が進んでいることを歓迎し、緊密な協力を継続することで同意した。

 …この方面での協力の具体的なプロジェクトとして次のものを挙げることができる。…まず、新型コロナウイルスの迅速な検査システムの開発だ。これは、日露合弁企業『エヴォテク・ミライ・ゲノミクス(Evotek-Mirai Genomiks)』が開発したもので、日本で発明された迅速検出法『SmartAmp』に基づいている。この検査システムは画期的で、サンプルから抽出されたRNAにより、新型コロナウイルスを30分未満で検出できると期待されている。

 5月6日、このプロジェクトについて露日両国が合意した。すなわち、2017年に『8項目の協力プラン』により創設された『露日投資基金』(RJIF)を通じて、プロジェクトに投資する。この基金は、国際協力銀行(Japan Bank for International Cooperation; JBIC)とロシア直接投資基金(RDIF)とが設立したもの。

 …このほか、『8項目の協力プラン』の枠内で、医療分野で進められているプロジェクトとしては、携帯型感染症診断システムの開発と実用化がある。この露日協力プロジェクトを推進しているのは3つの組織。まず、日本の基礎科学総合研究所である理化学研究所(理研)だ。そして、理研が創設したベンチャー企業『ダナフォーム』。ロシア側からは、カザン大学が創設したベンチャー企業『エイドス医療』が参加している」

 

露日関係への新型コロナウイルスの影響について

 「新型コロナウイルスの感染拡大は、幅広い分野で活発に発展している露日間の交流と協力にも影響を及ぼす。こうした状況にあって在ロシア日本大使館は、外出制限の一助になればということで、ソーシャルネットワークを利用して、情報発信を強化した。私自身も、ロシア文化フェスティバル『ロシアの季節』に関する動画の中で、自粛を呼びかけている。…今後も、ソーシャルネットワーク上にコンテンツを載せ、ロシアの方々が日本文化を楽しみつつ、自宅で快適に過ごせるようにしていきたい」

 

ロシア在住の日本人への支援

 「在外公館の重要な機能の一つは、自国民を助けること。昨年10月時点での情報によると、2715人の日本人がロシアに長期滞在している。ロシアに短期滞在している方々への支援も含め、日本国民の保護は我々の最優先事項だ。

 その一例が、ロシアに滞在している日本人を母国に帰国させること。ロシア政府、とくにロシア外務省も、外国に滞在するロシア人に対し、同様の活動を行っている。4月10日、モスクワから東京へ、日本滞在中のロシアを帰国させる航空機が送られたが、我々は、ロシア政府の支援を得て、この機を捉え、帰国を希望した58名の日本人を帰還させることができた。

 さらに、4月19日にウラジオストクから、4月21日にユジノサハリンスクから、それぞれ日本人が東京に戻った。5月11日と13日には、JAL便でやはり日本人がモスクワから帰国する予定。この機会を利用して、私はロシア政府とロシア外務省に、援助への感謝の意を表したい。

 また日本大使館は、ロシアにおける新型コロナウイルスをめぐる状況と対策に関する情報を日々収集し、ロシア在住の日本人に必要な情報を随時提供している。日本人はまた、大使館に連絡して個別に相談することも可能だ」

 

2021年の東京オリンピック 

 「安倍首相は、新型コロナウイルスに対する人類の勝利の証として、東京オリンピックを完全な形で開催する決意を表明した。在ロシア日本大使館としても、来たる大会を成功裏に開催するために全力を尽くす所存だ」

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