シャラポワ選手はアメリカの雑誌「ヴォーグ」に寄稿したメッセージで、「今まで知っている唯一の人生からどのように去ればいいの?幼い少女の頃からトレーニングしてきたコートをどうやって離れればいいの?」と戸惑いを見せつつも、「わたしはテニスにさよならを言います」と現役を退くと表明した。現在32歳のシャラポワ選手、引退の理由については、怪我と年齢だと明かした。
マリア・シャラポワはシベリア生まれ。シャラポワ一家はマリアが生まれる数ヶ月前に、ベラルーシのゴメリからシベリアに移り住んだ。4歳からテニスを始め、6歳のときには、あのマルチナ・ナブラチロワ選手と対戦した。ナブラチロワ選手はモスクワで公開レッスンを行い、シャラポワの才能を最初に見抜いた。
元テニス女王の助言を受けて、シャラポワ一家は1995年にアメリカに移住、マリアはフロリダにあるニック・ボロテリー・テニスアカデミーに入学した。移住当初、一家は寮に住み、節約しながら生活を送っていた。父親のユーリー・シャラポフは英語ができなかったため、すぐには仕事を見つけることができなかった。
シャラポワ選手が参加したタグ・ホイヤーCMキャンペーンのための撮影
Getty Images11歳のとき、初めてとなるスポンサー契約をナイキと交わし、13歳のときには最初のジュニア大会に出場。2010年にはナイキと7,000万ドルで8年契約を結んだ。
シャラポワ選手と父親のユーリー・シャラポフ、セリーナ・ウィリアムズを負かした後
Getty Imagesシャラポワが世界的に知られるようになったのは2004年、17歳のとき。グランドスラムの中でももっとも権威あるウインブルドン大会で、セリーナ・ウィリアムズを下し、初優勝を果たした。以来、長年にわたり、セリーナはシャラポワにとってのライバルとなった。
2004年の全豪オープン中、チャリティ活動を行っているシャラポワ選手
Getty Images2005年、世界ランキング1位に。大企業との間でスポンサー契約を結ぶようになり、ポルシェのブランドアンバサダーにも起用された。
肩の怪我により、不調が現れるようになった2007年。「最初はサービスのときに肩に少し痛みを感じただけで、大したことはないと思っていたのですが、その痛みは次第に強くなっていったのです」とシャラポワは自伝に綴っている。そしてまもなく状況は制御不能に。医師は腱の損傷だと診断し、すぐに手術が必要だと告げた。
2007年、セリーナ・ウィリアムズに負けたあとの記者会見にて
手術とリハビリの後、シャラポワは見事に復帰し、プレーを続けた。痛みはなくならなかったが、それに慣れようとした。またスポーツに加え、チャリティ活動に取り組むようになる。国連の援助のもと、チェルノブイリ原発事故の犠牲者とその遺族を支援するための基金を設立した。
国際連合開発計画の代表がシャラポワ選手からの寄付を受け取る。シャラポワ選手がこの記者会見で国連の親善大使に任命された
Getty Imagesシャラポワ自身がブランドに。シャラポワは自身がプロデュースするスイーツとアクセサリーのブランド「シュガポワ」を立ち上げた。「(怪我で)競技から離れることになり、そのとき、テニスはもう何年もやっているのだから、何か他のことを考えないとと思うようになった」とシャラポワはロシアの新聞「ヴェードモスチ」からのインタビューの中で語っている。
このころ、スロヴェニアのバスケットボール選手、サーシャ・ブヤチッチと交際(婚約もしていたが、2012年に多忙とすれ違いのため婚約解消)。その後は、ブルガリアのテニスプレーヤーで、セリーナ・ウィリアムズの元恋人であるグリゴール・ディミトロフと付き合っていたが、2015年に破局した。
2度目の大打撃となったのは、2016年、シャラポワが禁止薬物のメルドニウムを使用したことを認めたときだった。この事件を受けて、多くの主要なスポンサーが契約を打ち切った。そしてシャラポワは15ヶ月の資格停止処分を受けた。しかし、シャラポワは時間を無駄にすることはなく、ハーバード大学のビジネススクールに通うようになった。
シャラポワ選手がロサンゼルスの記者会見にて
AFP復帰したシャラポワはWTAのツアーで優勝を果たし、コーチを変えたが、その後は思うような結果を出せないまま、2020年1月21日に行われたグランドスラムの最初の大会で敗退。これが最後の試合となった。
2020年に行われたグランドスラムの最初の大会前
引退について、シャラポワは「今、振り返ると、テニスは山のようなものだったと感じています。わたしの道は谷と回り道でいっぱいでしたが、その山頂からの景色は信じられほど素晴らしいものでした。28年の競技生活と5つのグランドスラムタイトル獲得を経て、わたしは別の山を登り、違う世界で戦う準備ができています」と語った。
ニューヨーク・コレクション中、ヴェラ・ウォンのショーを訪れるマリア・シャラポワ、2020年2月11日
Getty Images2月末、アメリカの経済誌フォーブスが発表した女性アスリートの長者番付で1位となる。過去10年で得た収入は1億9,780万ドル。またインスタグラムには婚約指輪をはめた写真が投稿された。2018年よりイギリスの企業家アレクサンドル・ギルクスと交際している。
2020年のアカデミー賞のアフターパーティーを訪れたマリア・シャラポワとアレクサンドル・ギルクス
Image Press Agency/Global Look Pressロシア・ビヨンドのニュースレター
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