ゲーム内のロシアはどんな景色か(写真特集)

「ゲームのくそ田舎の美学」
 モスクワ国際関係大学の卒業生が、数年にわたってソ連崩壊後のロシアが登場するゲームのスクリーンショットを集めている。なかなかのリアリティーだ。

 典型的なソ連崩壊後の景色を見ることのできるゲームはそう多くない。レーニン像、パネル工法のアパート、壁に絨毯が掛かり食卓にボルシチがある部屋、街路を走るロシア製の車。こうした要素はあまり人気がないようで、ロシアのゲーマーにとっては悔しい限りである。

  こうした背景もあってか、クラスノダールの14歳の中学生が『マインクラフト』(Minecraft)で2年間(!)毎日自分の街のバーチャルなコピーを作り続けたというニュースが今年の夏にインターネットで大きな話題を呼んだ。ロシアの「セッティング」が不足しているなら、自分で補わなければならない。モスクワ国際関係大学の卒業生であるダニイル・プルグロ氏は、ソーシャルネットワークで「ゲームのくそ田舎の美学」という公開ページを設け、そこにいくつかのゲームとその加工版から切り取ったスクリーンショットを集めている。典型的なロシアの風景でなければならないというのが条件だ。

  なぜ人々がゲームにロシア的なデコレーションを求めているのかという質問に、ダニイル氏はこう答える。「パネル工法のアパートやダーチャと不可分のロシアの住環境で育つ人々は、その住環境に慣れる。だがゲームでは、ソビエト空間の『セッティング』は長らく人気がなかった。欧米の開発者らが作ったゲームに、私たちが生まれ育った『セッティング』を見つけることはとても難しい。」 それゆえ、ロシアのゲーマーは自分で景色を作れる『マインクラフト』や、『カウンターストライク1.6』(Counter-Strike 1.6)および『グランド・セフト・オート』(Grand Theft Auto)のマップで、馴染みの現実世界を再現し始めているのだと彼は考えている。

  コミュニティー内で公開されたスクリーンショットの下には、しばしば「綺麗だ」とか「見事だ」とか「理想的だ」とかいうコメントが書き込まれている。そこに写っているのはゲームに登場する何の変哲もないタイヤ交換屋やタバコ屋、クレーン、電線だ。ゲーム内のロケーションが実際のロシアの街の一角に似ていれば似ているほど、歓喜の声は大きくなる。

  ダニイル氏は『シティーズスカイラインズ』(Cities:Skylines)をプレーし始めてからスクリーンショットを集めるようになった。「そこにはゲーム加工者たちがいる。その一人、transport-games.ruのアレックスというニックネームの人物が、独立国家共同体風の建造物を数多く作っていた。その始まりがこのスクリーンショットだ。」

  ロシアの街外れを「作る」のに最もよく用いられるものが2つある。それがロシアの自動車産業と、「パネリカ」と呼ばれる特徴的なパネル工法のアパートだ。「もちろんパネリカがなければ何も始まらない。広告板や子供広場もなくてはだめだ」とダニイル氏は言う。

  彼がロシアの街外れの製作によく用いる要素は、ダーチャと電車だ。「電車の旅はトランスに似ている。もちろんラッシュアワーでなければの話だが。」

 今年3月、インターネットにロシア人が開発したシミュレーションゲーム『It’s Winter』が登場した。ここではすべてのゲーマーが、目玉焼きを作り、ラジオをつけ、ごみを捨てられる。これは、田舎に住む典型的なロシア人の実生活を恐ろしいほどリアルに再現したシミュレーション・ゲームである。ロシア人にとっては、「セッティング」が自分のアパートの部屋と中庭にそっくりであれば十分であることが分かった。

  「おそらく、アメリカ人がダーチャの魅力を理解できないのと同様に、私は一階建てのアメリカの家の魅力を理解できない」とダニイル氏は言う。「ロシア人にとって、これは重要なことだったのだ。」

 ダニイル氏のお気に入りの街外れは、『アルマ2』(ARMA 2)に登場する架空の東欧スラヴ国家「チェルナルーシ」だ。「私はこのゲームで馴染みの村々を探して時間を過ごすのが好きだった」と彼は言う。また、長距離トラックの運転手の気分を味わえるゲーム『ユーロ・トラック・シミュレーター2』(Euro Truck Simulator 2)も気に入っているという。「トラックを運転するのはなぜだがとても愉快だ。このゲームでは、ファンが『ロシアの空間』という素晴らしいバージョンを作った。そこを走るのは最高の気分だ。」

  ダニイル氏はたくさんゲームをし、ミニチュア製作やダンジョンズ&ドラゴンズといったロールプレイングゲームに没頭し、最近はポケモンのカードゲームに没頭し始め、そしてモスクワ国際関係大学の大学院に進学しようと考えている。「私は世界政治や世界情勢を追うのが好きだ。現在は過去よりもずっと楽しいところだと本気で思っている。実は私は、私たちの文化を広める方法を見つけたいと常々考えていた。外国の人が、ロシア人は想像以上に良い人間だと思ってくれるように」と彼は話す。

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