1840年の記録によれば、犬たちはクリミア戦争の際に軍に登用された。この戦争はロシア史上最長の紛争で、60年以上も続いた。犬たちは一流の警護兵として、また敵の接近を主人たちに知らせる偵察兵として活用された。
有名なロシア軍司令官スコベレフ将軍は、1890年代の中央アジアの軍事作戦で犬を登用した。犬たちは弾薬輸送、郵便配達、防御線警邏といった任務に当たった。
犬たちは日露戦争(1904-05)の際に活発に登用された。医療犬カロは、37人の将校と兵士の命を救ったことでその名を歴史に残している。第一次世界大戦中、犬たちは工作兵としても訓練された。
20世紀初め、犬たちはロシア警察に加わった。これは、ドイツで働く犬たちを見て感銘を受けたワシリー・レベデフという内務省の役人のおかげだ。1908年、特別な組織が立ち上げられ、犬たちをロシア全国で登用することを促した。
1909年、最初の警察犬養成学校がサンクトペテルブルグに誕生した。有名な卒業犬に、窃盗犯やテロリストの追跡で実力を発揮したトレフというドーベルマンがいる。
テロリストの追跡で実力を発揮したトレフというドーベルマン
共有ソ連では、1920年代から警察犬と軍用犬の育成の伝統を復活させた。1930年代には、ジャーマン・シェパードがソビエト民警の主な警察犬となった。
第二次世界大戦中には約6万頭の犬が徴兵された。およそ70万人の負傷兵が忠実な犬たちによって戦場から救い出された。また犬たちは、何百万もの地雷を見つけ、また敵の戦車を爆弾で破壊したとも言われている。ジュリバルスという伝説的な犬は、7000発の地雷と砲弾を掘り出した。この犬は、戦場で負傷したものの無事生還し、1945年6月にモスクワで行われた戦勝パレードでは兵士の腕に抱えられて登場した。
戦車のクルーとジュリバルス。
エマヌイル・エフゼリヒン撮影/TASS戦後はますます多くの犬がロシア警察とロシア軍に登用されている。警察のほとんどすべての部隊に、少なくとも一頭の犬がいる。
北極で活動するロシア軍部隊では、犬たちは橇を引く役目も担っている。
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