キノコ採り愛好家に聞く採取のコツ

キノコ採り、イヴァノヴォ州

キノコ採り、イヴァノヴォ州

ウラジーミル・スミルノフ/TASS
 キノコ、カゴ、長靴の写真が、画像投稿サイト「インスタグラム」でチラホラお目見えしていることに気づいているだろうか。キノコのシーズンが到来したことが、これで感じ取れる。カフェで秋を迎える、市場で売っているキノコを買う、雨音を聞きながらテレビの連続ドラマをひたすら見ることに飽きたら、採取者の仲間入りも可能だ。カリーニングラード州のヴァシリー・ステパノフさんが、「新入り」のために、間違いのないキノコ採りについて語る。

「夏用スニーカーで行っちゃダメ」

 正しい装備品があれば、キノコ採りはすでに半分成功している。そろっていないと、途中で文明社会に帰りたいという気持ちが、キノコという目標を求める気持ちより強くなってしまう。理想的な装備品は、軽い上着、野球帽、ズボン、防水靴(通気メッシュなしのもの、長靴が良い)、カゴまたはバケツ、キノコを切るためのナイフ、飲料水、長い棒。

 「すべてが軽いことが大切。何キロも歩かなくてはいけないため、厚着していると汗をかいてしまう。野球帽は、クモ、虫、木から落ちてくるいろいろな屑が、頭につかないようにするため。ただ、ダニの防止にはならない。どこにでも侵入してくるから。長靴は重要。うっかりヘビを踏んでしまった時の防護になる。棒は、キノコのまわりの葉をかきわけるために必要。何があるかわからないのに、手で探れないから」

キノコ採取者は大体、朝7~8時頃森に入り、他の人よりも先に採る。

 地元の人は、良い場所を知っているため、尋ねた方が良い。カリーニングラード州では、たとえば、ポレッスク市(行政中心地カリーニングラード市の東北東60キロ)よりも、クルシュー砂州(カリーニングラード市の北46キロ)やそこへ行くまでの森の方が良い。キノコ採取者は大体、朝7~8時頃森に入り、他の人よりも先に採る。

 

目印を立てる

 団体で行って、自分自身が苔で方向を見定めることができるのならば心配はないが、車を駐車した場所をしっかりと覚えておくことが大切である。オフラインのナビゲーターを使おう。

 「一度だけ、車を停めた場所を覚えていなかったことがあった。友だちにすすめられて、森を熟知していると評判の地元の森番に案内してもらった。小さな子ども連れの三家族で行って、バケツ二つ分ずつキノコを集めたところで、私の妻がスズメバチの巣を踏んでしまった。スズメバチが地中に生息する場合もあるということに警戒せずに。それですぐに帰らなくてはいけなくなり、森番の案内にしたがって歩いたものの、15分たってもどこにも出ることができない。そこで歩く方向を変えた。雨が降ってきて、暗くなってきた。携帯も、GPSナビゲーターもなく、疲れた子どもを肩に担いで両手にバケツを持ち、スズメバチに刺された妻を引き連れて、森の中を何時間も歩いた。せっかく集めたキノコを捨てるわけにもいかない。私のスニーカーも破けて、裸足で歩いている状態。ふと道に出ることができたから、走っている車をつかまえて乗せてもらった。最寄りの集落まで15キロ、別の集落までは35キロで、その先にはポーランドとの国境があることがわかった」   

オフラインのGPSナビゲーターを使うことが大切である。

  

偽キノコに気をつける

 ほぼすべての食用キノコに、そっくりな毒キノコというものが存在する。「偽」キノコは、食用キノコが生息しないような場所に生息するが、見た目はそっくりである。食用キンチャクヤマイグチはすぐに青くなり、切ると「インクに入れたように」なる。だが偽キンチャクヤマイグチは桃色の色合いを残す。

 「彼女(現在の妻)と知り合ったばかりの頃に、彼女の両親と一緒にキノコ採りに行った。食事をとるために休憩している時、私だけちょっと歩いて、葉の落ちたエゾマツ林に入った。すると、アンズタケが目に入ったから、すぐに採って、彼女の母のカゴに入れた。それを見た彼女の母に、これ食べたら死んじゃうわ、と言われた。偽アンズタケがあるとは知らなかったし、多くの人が知らない。食用アンズタケの色は鮮やかで、裏返すと、傘のヒダが洞窟の鍾乳石のようにぶら下がる。そもそも、アンズタケはエゾマツ林を嫌うということを、忘れてはいけない」

アンズタケ

 致命的な間違いをしないために、相性を覚えておくことが大切。ふつうは、エゾマツ林はヌメリイグチ、白キノコはオークと日当たりの良いところが好きで、キンチャクヤマイグチはハコヤナギの下、アミタケは乾燥した白樺の下に生育する。

 「わからないなら、キノコを採らないのが一番。キノコの小さな片を切り取って、舌の上にのせることもできる。偽キノコの場合は、苦い味がしてヒリヒリする。この時、ツバを飲み込んじゃダメ」

野生の動物に遭遇したら

 森では、どんな野生動物に出会っても、すぐに反対方向に行った方が良い。違いは速度。ステパノフさんによれば、イノシシやヘラジカからは次のように逃げる。

 「イノシシから逃げる時は、走るのではなく、そーっと去る。メスは狂暴な可能性があり、人間がマッチを折るように、簡単に人の脛骨を噛む。目を見て、反応を待ってはいけない」

森では、どんな野生動物に出会っても、すぐに反対方向に行った方が良い。

 「ヘラジカの30~40メートル以内に近づいてはダメ。若い2メートルほどのヘラジカに一度遭遇したことがあるが、鼻息を荒くして、私の方へと向かってきた。すごく恐ろしかった。後ろ向きで、早歩きで逃げないといけない」

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