ロシア語のネイティブのように応答してみよう:よくある挨拶と受け答え

Leonid Gaiday/Mosfilm, 1973
 あなたがロシア語で何か挨拶したときに、ロシア語のネイティブはどう応答するだろうか?そのパターンは数多くあり、しばしば予測不可能となる。それと同じく、ネイティブがあなたの挨拶に対してどんな挨拶や質問を返してくるかも、実にいろいろだ。もし、その背景となる規則、文法を知らなければ、ロシア語が不可解な省略に満ちているように感じるのは当然だろう。

 ロシア語を話すときに、なるべく礼儀正しくしようとしてかえって迷子にならないように、ちょっとしたガイダンスをしてみよう。

1. Как дела? - Хорошо! А у тебя?/А твои?

カーク・ジェラー?-ハラショー!ア・ウ・テビャー?/ア・トゥヴァイー?

調子はどうだい?-快調だよ!君は?

 英語の “How are you” に相当する最も簡単で一般的な表現は “Как дела”だろう。こうロシア人に聞かれたときに、あなたが “хорошо” (good)、“отлично” (great)、あるいは “замечательно” (wonderful)さえもうまく発音できたとしてみよう。でも、その後に、“And you?” に当たる簡潔な表現をどう追加したらいいか、よく分からないかもしれない。

 “дела”は「全般的な状況」、「仕事」、「事業」、「事件」などを意味するから、“Как дела” は文字通りに訳すと「仕事の方はどうですか?」、「調子はどうだい?」といった意味になる(英語なら、 “how [are] things/deals”)。しかし、それが誰の「仕事」、「状況」なのかは明示されていないのだ。

 もっとも、ロシア人はふつう、「君の、あなたの」という意味の “у тебя” を省略して “Как У ТЕБЯ дела” (「君、調子はどうだい」、「あなたの仕事はどう?」)の意味で使う。

 だから、より丁寧かつ正確に言いたいときは、同じく「у+名詞または代名詞の生格(英語の所有格に相当)」を追加して “Как дела у сестры/мамы/брата…” (あなたの姉妹/お母さん/兄弟の調子はどうですか?)と言えばいい。

 もう一つの言い方は、 “Как ТВОИ дела” (「君、調子はどうだい」、「あなたの仕事はどう?」)。この場合は、所有代名詞の “твои” (君の、あなたの)が使われているが、たいていは省略される。

 というわけだから、ロシア語で “And you?” に相当するような形で聞き返す場合には、 “А у тебя” または “A твои?’ と聞けばいい。相手が目上なら、 “А у вас?” または “А ваши?” だ。これで、相手が言いたいことを確かめることにもなる。

 接続詞の “А” は、この文脈では “and” を意味し、このように聞き返すときには最もふさわしい。

2. Где ты работаешь? - Дома. А ты? 

グジェ・トゥイ・ラボータエシ?-ドーマ。ア・トゥイ?

君はどこで働いているの?-家でだよ。君は?

 主語が主格である疑問文に対してはすべて、こうした応答になる。例えば、“Где ты работаешь/где вы работаете”(君はどこで働いているの?/あなたはどこで働いていますか?)では、前者の ты (単数形/「君、お前」の意味で、親しい相手や目下の人に非公式な場合に用いる)と、後者の вы (複数形/目上の人に対して、またはフォーマルな場合に用いる)は、主格の代名詞だ。なぜなら、これらの代名詞は、文における文法上の主体であるから。

 だから、このタイプの疑問文に対しては、すべて同様の応答になる。

 Где вы живёте? - В Москве, А вы? (あなたはどこに住んでいますか? - モスクワです。あなたは?)

 Ты любишь Санкт Петербург? - Очень! А ты? (あなたはサンクトペテルブルクが好きですか? - ええ、とても!あなたは?)

 

3. С Новым Годом! - И тебя!/Тебя тоже!  

ス・ノーヴィム・ゴーダム!-イ・テビャー!/テビャー・トージェ!

明けましておめでとう!-おめでとう! 

 このように、祝日などで誰かにお祝いを言うには、祝日をいわゆる「造格」(手段、方法などを表す)にして、祝う相手を対格(目的格に相当し、動作の対象などを表す)にしなければならない。

 例えば、 “С Новым Годом” (新年明けましておめでとう)とか “C Днём Рождения'' (お誕生日おめでとう)では、祝日を表す名詞が、前置詞 “c”  (with)+造格となる。

 “С Новым Годом” (新年明けましておめでとう)は、 “Я поздравляю тебя с Новым Годом” (私はあなたに新年をお祝いを申し上げる)というセンテンスから来ているが、もちろん、ロシア人は時間を節約するために、大半の単語を省略する。

 だから、あなたがお祝いされて、相手にもお祝いを言いたいときは、 “И тебя” (代名詞は単数形/「君、お前」)または “И вас” (代名詞は複数形/あなた)と言えばいい。“И” は「~も」の意味を加えるから、「あなたにもお祝いを申します」の意味になる。

 あるいは、やはり代名詞の「対格」に “тоже” (too/as well)を付けて “Тебя тоже/Вас тоже” と言う。意味は同じだ。

 

4. Хороших выходных! - И тебе/Тебе тоже!

ハローシフ・ヴィハドヌィフ!-イ・テビェー!/テビェー・トージェ!

良い週末を!-君もね!

 あなたが誰かに、「あなたに~がありますように」と何かを望むときは、「あなた」を「与格」にする(そうすると、「あなたに」、「あなたへ」のような意味になる)。

 誰かがあなたに “Хороших выходных” (良い週末を)と言ったら、それは “Я желаю тебе хороших выходных” (私はあなたに良い週末を祈る→良い週末をお過ごしください)という意味だ。“хороших выходных” (良い週末)は、生格(所有格)で、“тебе” (あなた)は与格。なぜなら、ここでは「あなた」は、受け手、与えられる人だからだ。

 “Удачи!” (成功を祈る!〈英語のGood luck!〉)も同じことだ。

 だから、“удачи”(成功)や “хороших выходных''(良い週末)を、相手にも祈って、「君もね!」と言うときには、“Тебе тоже” (英語のfor you too)または “И тебе”(英語のfor you as well)と言えばいい。

 こういったわずかな差異はあまりに特殊に思えるかもしれない。しかし、ロシア語で会話をするときには不可欠になる。これらの、一見特殊な用法をうまく使いこなすには、相手が用いている代名詞(またはそこに隠れている代名詞)に、いつも注意することだ。それが必要な応答をするうえで鍵になる。相手と同じ質問を繰り返してもいいが、それもちょっと芸がない。 

 Всего доброго!(幸運を祈る!All the best!)

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