ソ連時代のクッキー作りには、果物や野菜の実物そっくりのクッキーを作ることに大きな情熱が注がれていたように思う。それはおそらく、当時、限られた種類のお菓子しか店に並んでいなかったからだろう。そしてこうした驚くべき自家製焼き菓子は、特に何より子どもを喜ばせるために考案されたのではないだろうか。
これまですでに「桃」や「キノコ」を焼いたので、今回は「リンゴ」を作ってみることにしよう。作り方はほぼ同じ。出来るだけ実物に似せた形にして、色を付け、シンプルなショートクラストを焼く。このレシピでもっとも面白いところは、色を付けるところだ。多くの場合、食べ物に緑の色を付けるのにはジェル状食紅や抹茶が使われるが、ここでは天然のほうれん草のピュレーを使う。正直言って、わたしがこのタイプのレシピが好きなのは、食紅でなくほうれん草を使うなど天然の材料にこだわるからではなくて、料理の腕をあげ、新たなお菓子作りの経験を得ることが出来るからである。
このお菓子は子どもと一緒に焼くと良い。アマニやカボチャの種を飾り付けに使い、リンゴの「果梗」をチョウジでつくると本物そっくりになる。このお菓子は作るのも楽しく、そしてもちろん味も最高なのである。
材料:
- ほうれん草 70g
- 小麦粉 230g
- 卵黄 2個分
- バター 100g
- 砂糖 70g (+ ディップ用)
- 冷やしたレモン汁 大さじ1
- レモンの皮 小さじ1
- ベーキングパウダー 小さじ1
- 塩ひとつまみ
- + クローブ、アマニまたはかぼちゃの種(装飾用)
作り方:
1. ほうれん草は熱湯に入れ、1~2分茹でる。
2. 水を切り、少し冷ましたら、しっかり絞る。
3. 擂り粉木でつぶし、ピュレー状にする。この作業は少し時間がかかるが、擂り粉木でつぶしたあと、ザルで濾すとさらになめらかになる。
4. 緑色が出来上がったら、次はクッキー生地を作る。ボウルに卵黄と砂糖を入れ、ふわっと薄黄色になるまで泡立てる。
5. 柔らかくしたバター、塩、レモン汁、レモンの皮を加えて混ぜる。
6. 小麦粉とベーキングパウダーを一緒にふるい、加えて混ぜる。ポロポロとしたパイ生地ができる。
7. 生地の1/4を取り出し、ほうれん草のピュレーを加える。
8. ムラのない緑色になるまでこねたら、冷蔵庫に入れて休ませる。
9. 多い方の生地は、パサパサしすぎているようなら、冷水大さじ1~2を加え、なめらかになるまでこね、きれいなシリンダー型に整える。
10. ベーキングペーパーを敷いた天板の上に、シリンダーの大きさに合うよう緑色の生地を薄く広げる。
11. ほうれん草の生地で、シリンダーを均等に覆う。端がわからないようにすること。
12. シリンダー型の生地全体に砂糖をふりかけ、ラップで覆って、冷蔵庫に入れ、40~60分休ませる。
13. 鋭いナイフを使って、シリンダー型を厚さ1㌢ずつカットする。
14. 丸く切り抜いた生地をリンゴのようにカットし、タネとクローブで飾る。アマニを使うのも良いが、かぼちゃの種を半分にカットするとより本物のように見える。
15. 「リンゴ」ができたら、ベーキングペーパーを敷いた天板に並べ、190℃のオーブンで20~25分焼く。
16. 完全にさませば出来上がり。プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)