ロシアで愛される「ブッターブロート」いろいろ

人気ソ連映画「The Girls」のシーン、主人公がブッターブロートを食べる

人気ソ連映画「The Girls」のシーン、主人公がブッターブロートを食べる

Yuri Chulukin/ Mosfilm, 1961
 ロシアには、他のどの国では見ることができないサンドイッチがある。しかもロシアには、きわめて独特なブッターブロート文化が存在するのである。

 サンドイッチ、ハンバーガー、パニーニ、クロックムッシュ、スモーブロー・・・いずれも国を代表するパン料理で、さまざまなものをはさんだり、乗せたりして食される。ロシアにも「王様のブッターブロート」というものがある。

 ロシアでは、これを、軽食としてもお祝い料理としても、朝昼晩いつでも食べる。子どもは学校に持たされるのだが、これは「乾燥食」なので、こればかり食べていると叱られる。トッピングがのっている小さなパンの愛憎入り乱れる物語を紹介しよう。

 どうしてロシアにドイツ風の名前の食べ物があるのだろうか?この謎を解くには少々歴史を学ばなければならない。

 ロシアは小麦の巨大産地であり、多くのパンを焼くので、ロシア人はずっと「パン食」国民であった。どの料理も必ずパンと一緒に食べるので、「パンは命の糧である」という諺があるほどである。そして、昼食に大きく切ったパンを食べると、とても腹持ちが良い。

 ピョートル大帝の時代以降、多くのドイツ人がロシアにやって来て、パンに何かのせて食べる文化をもたらした。裕福なお屋敷では、薄く切ったパンとトッピングを皿に盛って出すようになった。ベークドハム、スモークサーモン、キャビアなどだ。普通、この軽食は前菜として出され、寒い外からやって来た客人に強い酒とともに供された。

ロシアにブッターブロートが登場したのはいつ?

 ブッターブロートとは「バターを塗ったパン」という意味である。19世紀後半に出版された辞書によると、ブッターブロートとは外国からロシア語に入って来た言葉で、バター、チーズ、ハムなどがのせられたパンのことだ。

 このブッターブロートはロシア史において、19世紀の終わりに大きな変化を遂げた。バターだけを塗るようになったのである。そしてこれがロシアで大きく広まるほど人気となった。

 それより以前は、ロシアにおいてはミルクをオーブンで加熱して作られる「澄ましバター」しかなく(このロシアの現象については、こちらをご参照)、それはお粥に加えたり、料理に使われただけであった。ロシア帝国の時代には普通のバターは、フィンランドから輸入されており、あまり広まってはいなかった。ロシアでようやくバターが製造されるようになったのは19世記の後半のことで、最初の工場はヴォログダにあった。

ソ連時代にも人気だったブッターブロート

 事実、この栄養があって美味しい食べ物が文化現象として大きく広まったのはソ連時代のことである。ソ連時代には主婦の負担を軽減するためにあらゆることが実行され、手間をかけずに作ることが出来るこの食べ物は朝食やお弁当、午後のお茶のお供として一般的になった。

ソ連時時代の料理本「美味しくて健康的なごちそう」に掲載された、お祝いのテーブルに出されたブッターブロート

 想像すると分かるように、工場での労働が6時に始まるとして、朝食を食べるとすればひと切れのパンとスライスチーズやハム(バターもつけず)くらいだろう。また、昼食を食べる時間がない時は、ブッターブロートは簡単でさっと食べることが出来る。最後に、とても寒い週末に、料理をする気にはならないが、お茶を飲みたいと思ったら・・・パン一切れを、郊外の畑で取れたプラム、リンゴ、クロスグリのジャムで食べるととてもおいしいのである!

 ソ連時代、パンは2種類あった。白パンと黒パンだ。白いパンは何をのせても美味しい、一般的なものだが、黒パンは通常ハム、ソーセージや魚をのせて食べられた。

 興味深いことに、ソ連ではブッターブロートにのせて食べる以外ではチーズを食べない(マカロニや他の料理に加えることはあるが)。しかし、ワイングラスをかたむけながらチーズをつまむという習慣は、ソ連時代にはなかった。チーズの種類も多くはなく、パルメザンもモッツァレラもなかった。 

 ソ連時代や現代ロシアにおいて、お正月をはじめとするお祝いの席で食べられるブッターブロートは主にパンにバターを塗ってキャビアをのせたものだ。チョウザメの燻製や塩漬けサーモンと小さなレモンをのせて食べる美味しい方法もある。

 ソ連時代以降、どこの食堂でも、劇場のビュッフェでもブッターブロートは目にすることが出来るようになった。トッピングするものも、さまざまなチーズから、燻製のソーセージやハム、高価なキャビアや魚に至るまで多様だった。劇場に出かけた夜には、このようなものを取るのがちょうど良かったのではないだろうか?

ロシア・ビヨンドが選ぶ、ブッターブロートのレシピ5選:

1. お祝いの席のブッターブロート: 白パンにバターを塗ってイクラ(キャビアがあればなお良し)をのせる。

2. ソ連時代のブッターブロート: 白パンにバターを塗ってソーセージとチーズをのせる。

3. ロシア風スモーブロー: ライ麦パンにニシンの身、タマネギの酢漬けか刻んだ青ネギをのせる。

4. ソ連の子どもが大好きだったブッターブロート: ライ麦パンに小さじ一杯の油をたらし塩をふりかける。

5. 甘いブッターブロート: 白パンにバターを塗って、おばあちゃんが作ったフルーツジャムかベリージャムもしくは蜂蜜を塗る。

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