時間がかかる。味がない。マヨネーズが多すぎる・・・。これはロシア料理について外国人がよく言うことであるが、少し詳しく見てみよう。
1917年のロシア革命以降、ソ連政府は農村から都市に移って来た多くの労働者たちに食事を与える必要があった。新たな支配者である労働者階級は共産主義国家建設に忙しく、食事を作っている時間などなかったのである。
「ソ連政府は新たな食堂システムを導入することにしたわけですが、それには効率的に食事を出すためのメニューの開発が必要とされました。簡単で、安価で、皆に好まれる料理であり、たとえば有名なオリヴィエ・サラダ(はじめは高価な材料が使われていたが)のようなものです」。ロシア・ビヨンドの読者のひとり、ユーザーネーム、コリャン・ブラタノフさんはこう話す。
「多くの料理がロシア式の調理台と、チョウザメのように、かつては豊富であったが今では高価となっている食材が使われていました。怪しげに思われていた多くの食材も一般的になって多くの料理に使われるようになってたのです(たとえばマヨネーズ-大好きでしょ!)」。アメリカに駐在しているロシア人、ヴィタリー・アクロフさんはQuoraでこんな回答を寄せてくれた。
しかし現在、ロシア料理は伝統的なレシピ(家庭料理も宮廷料理も)とソ連料理が組み合わさって、現代料理へと大胆に進化している。
「というのも、ロシアは広大な国で、食事もアメリカのように、地方によってバラエティーに富んでいるのです。今のロシア人の夫と結婚した時、ジョージア、シベリア、ウズベク、タタールの料理にトライし、「ロシア料理」の豊かさをようやく理解出来た」と話すのはルグ・ガブリロフさん。
もう一人の読者、ニック・バルロフさんは、「新鮮な野菜が手に入る季節はとても短いのです。レストランでも新鮮な材料を使わず、酢漬け、貯蔵食材、缶詰に頼っています」と指摘する。
「ロシアに2年間住んでいましたが、ヨーグルト、カッテージチーズ、それからカッテージチーズで作ったお菓子が大好きです」、「ロシアの魚は塩漬け、燻製、揚げ物、焼き魚なんでも大好き。もちろんキャビアも。でも、気に入らないのは、新鮮な果物や野菜がモスクワではほとんど手に入らないこと。レストランでもスーパーマーケットでも同じです」とティヤナ・グルシャツさんは言う。
「わたしの味蕾は辛いモーリシャス料理に慣れてしまっているので、ロシア料理の味に慣れるのには時間がかかりました。ソ連時代、6年間モスクワに留学し、今ではロシア料理を自分でも作り、それを楽しんで食べられるようになりました。好きなのはボルシチ、ブリヌィ、ピロシキ、チーズ、ストリーチヌィ・サラダ、キャビア、ソーセージ、ウォトカ、アイスクリーム、ロシアジャム、天然ジュース(コンポート)。それぞれ独特の味わいがあるので、本当に楽しんでいます」。
パラディープ・クーナスさんは、ロシア料理におけるスパイスの使い方についてこう説明している。「以前(1980年―2000年)のロシア、ソ連の食べ物は質もよく、きちんと管理されていました。しかし、当時は調理法はかなり限られていました。香辛料はほとんど使われていなかったようです。地中海沿岸や熱帯地域からのスパイスやハーブはめったに使われることはありませんでした。今は状況が大きく変わり、ロシアにはどこのスパイスもハーブも手に入れることが出来るようになりました」。
「アメリカでは、長く貯蔵されていた風味のない食べ物に慣れていました。つまり、そこに砂糖、塩、スパイスを加えて、味を変えていたのです。しかしロシアではそんなことはしません。果物は新鮮なものを果樹園から採り、野菜は庭から採ります。草を食べて育った牛や放し飼いの鶏からは自然の風味が引き出されるので、多くの調味料をかける必要はないのです」とマラエ・ベイリーさんはQuoraで言う。
「ロシアの家庭料理と屋台料理には大きな違いがあります」と語るのは、ファン・ニュエン・ハンさん。「ロシアで食べる家庭料理というのは本当に楽しむことができるものですが、屋台の食べ物にはがっかりさせられます。ロシア人が、家庭料理のレベルのロシア料理を外国に持ち込むことが出来れば、皆、感嘆するに違いありません」。
一方、ダニエル・グレンさんは、「アメリカでもロシアでもロシア料理を食べたことがあります。アメリカでは国民的心理の中にロシアに対する恐れや誤解が大きくあります。しかも、アメリカで食べることが出来るロシア料理はアメリカ人の期待し、望むレベルのものではないのです」と言う。
「海外でのロシア料理に関して言えば、ブランド変えをする必要がある」とティヤナ・グルシャツさんも同じように言う。
「ロシア料理の多くは、キノコ、ベリー類、ハーブ、ロシアの森でしか手に入らない、ベルリンやマンチェスターにはない特別な魚など、地域の新鮮な食材を使って作られているのです」とコーリャン・ブラタノフは指摘する。
「わたしがロシア料理を好きな理由は、その素朴さ、健康に良いこと、そして化学薬品が使われてないということです」と投稿しているのはウォルター・J・ジャックスさん。
また読者の一人、クイン・マーシャルさんは、「数年前、ロシアに行ったとき、ロシアの食べ物がおいしいことを知り、すごく驚き、嬉しかったです。とくに乳製品は素晴らしいです。新鮮なハーブに濃厚なサワークリームか飴色になるまでじっくり炒めた玉ねぎを合わせたペリメニ。サーロもそうです。それにオクローシカも大好きです。熱いボルシチや冷製ボルシチも驚くほどおいしいし、シベリアのチェダーナッツでお茶を飲むのも大好きです。西側の人たちはロシア料理は重くて、味気がないと思っているかもしれない。もしかしたら、過去はそうであったかもしれませんが、わたしが滞在したときには、おいしくない食事を経験したことは一度もありませんでした」と話している。
「サーロ、カスピ海ローチ、オクローシカなどは外国からやって来た人にとっては、奇妙なものも、あるいはとても脂っこいものもある。しかし、6年も住んでいると、モスクワ国立大学の学生食堂で食べたボウル一杯のボルシチと黒パンやリャージェンカ、ペリメニが忘れられなくなるのです」とイサベル・ブロンデットさんは言う。
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