アメリカで犬のための高級ケーキ・ショップを開いたロシア人女性を紹介しよう

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 オーリャ・ローゼンブラットは、ペットにヘルシーな食べ物を食べさせたいと考えた。そこにロシアの心を込めて。

 美味しくて鏡のようにピカピカしたコーティングが施されたケーキを一目見たとき、これが人の食べるものではなく、犬用で、しかも肉と野菜だけで作られているとはとても信じることが出来ないだろう。このケーキが売られているのは、サンフランシスコにある「ミーシカ」というカフェ。「ミーシカ」は、ロシアの食料品禁輸の影響でアメリカに移り住んだモスクワ出身のオーリャ・ローゼンブラットが開いた。

愛に基づいたビジネス

 「これまでずっと、自分でビジネスをやってきました」、「大学(法律と広報の研究をした)を卒業したあと、小さな物流会社を作り、それを7年間経営していました」とオーリャは言う。オリガの会社は、果物や野菜をヨーロッパから輸入していたのだが、2014年にロシアがヨーロッパの食品を禁輸してからはうまく行かなくなった。

 「貯金があったので、休暇を取って、旅行を始めたんです」とオーリャは言う。「31か国を旅しました。そして2015年にニューヨークに行って、まったく話せなかった英語(学校ではドイツ語しか学ばなかったので)を勉強することにしたんです」。

 アメリカでは、ニューヨークだけでなく、いろいろな都市にも訪れたという。そして、カリフォルニアのホテルのロビーで、ネブラスカ州(彼女によれば「アメリカのシベリア」)出身の将来の夫、ローゼンブラット氏に出会う。「彼は大きくて静かなクマに似ていました。そして彼が近づいて来たのは、わたしが彼にそう話した後でした」。「彼はロシア語でクマは何というのかと尋ねたので、わたしは「ミーシカ」と答えたんです」と彼女は回想する。そして時が過ぎて、それがわたしたちの合言葉になったのです。だから2018年にケーキ店を開いたとき、店の名前を決めるのに時間はかかりませんでした」。

犬用のデラックスケーキ?!

 ミーシカで売られているケーキの値段は12ドル(およそ1,300円)から65ドル(7,000円)。カリフォルニアにあるドッグ・カフェの2倍以上の値段だ。しかし、客はそんな値段を見ても驚きはしない。オーリャ曰く、使っているのはオーガニック肉だけで、防腐剤は入っておらず、そのため高くなるのである。ベースは、牛肉、七面鳥、鳥、ラムのパテで、なめらかなコーティングには野菜ジュースを使う。レシピは彼女が自ら考案したそうだ。「7か月もの間、毎日、自宅のキッチンでつやを出すためのコーティングの研究をしたんです」とオーリャは言う。「赤いコーティングはビーツから、緑はほうれん草、白はココナッツミルクから作ります。いろいろな種類の野菜ジュースを混ぜれば新しい色を作ることもできます。そして、大事なのは時間です。10秒長く煮すぎてしまっただけで、真っ赤にならず、ボルシチのような色になってしまうんです」。

 犬にとっても食事は楽しみで、犬にも人間のように味覚があると彼女は信じている。だから犬の食事にも気を使うべきなのだと。13歳になる彼女のヨークシャーテリア(犬としては高齢!)はまだまだ元気で若々しい。「それは、自分で作った食べものしか与えていないからです。わたしは誰にもわたしたちのケーキを買ってとは言いません。しかし、犬にも、自分自身のことを気をかけるのと同じようにしてあげてほしいと伝えています」。

 オーリャは自分のカフェを高級ドッグ・ブティックだとしている。デザートやドッグフードだけでなく、衣服やアクセサリーのコーナーや、イベント・ラウンジまで提供している。ペット用の衣服はすべてロシア製だ。オリガは母国の小企業をサポートしているのである。「わたしたちロシア人の中には、工芸品作りの血が流れているのです」と、オリガは言う。 このブティックで売られている洋服の値段は、人間の服と同じくらいだ。「服の中には、イタリア製で1メートルあたり200ドル(およそ22,000円)のツイードを使っているものもあります。それに、製作費や輸送費などがプラスされるんです。ジャケットは100ドル(およそ11,000円)以上になるものもあります。たしかに犬用としては高いかもしれません。しかしすべてが手作りなのです」。

 土曜日には、犬の飼い主のミーティングが行われている。集まるのは、25歳くらいから45歳くらいの人たちだ。 「この新しいビジネスをサンフランシスコで開いたけれど、ニューヨークでもロサンゼルスでも同じようなものを始めたいと考えています。いま、似たような考えを持っている人を探しているところです」とオーリャは語る。

 今は、母親(プロの料理人)と親しいロシア人の友人、オフィスマネージャーが1人、それに調理を手伝ってくれる料理人がもう1人いて、これでチームを組んでいる。「ここではロシア式のサービスを提供しています。お客さんがネコを連れてきても、同じようにケーキを出しますし、誰もが歓迎されます」。

「みんなここでは移民」

 オーリャはずっと料理が好きで、犬が好きで、怠けるのが嫌いだった。「店を開いたときは、永住権を持っていませんでした。英語もあまりできませんでしたし(ビジネス用語は今でも難しい)、ビジネスを始めるのに膨大な書類を集める必要もありました。食品を扱うためのライセンスを取るためには検査を7つもパスしなくてはならないのです。でもすべてをたった2か月終わらせました」。

 「わたしは外見はロシア人ですが、ここで差別を受けたことはありません」と彼女は語る。世界中の人には他人を助ける気持ちがあるとも付け加える。「しかも、アメリカは移民の国。誰にもあちこちから来た親類がいるし、ロシア人の隣人がいる人も多いんです」。

 訛りのある英語を話していると、誰もが、彼女が新参者であることに気づく。「しかし、ここで何かをやっていることを知ると、必ず敬意を払ってくれます。社会福祉のお世話になっているのではなく、事業にチャレンジしているからです。そのことはわたしにとても力を与えるのです」。

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