ロシア製の医薬品=
アントン・ヴェルグン撮影/タス通信ロシアの医薬品市場における国産品のシェアは、ここ1年半で24%から28.5%に拡大した。8日の政府輸入代替委員会の会議で、デニス・マントゥロフ産業貿易相がこれを明らかにした。輸入医薬品のシェアは8.5%縮小した。
「今のところ526品目で、輸入品が圧倒している。だが今後2年で、その半分が国産品と入れ替わるだろう」とマントゥロフ産業貿易相。
ノボシビルスク医療テクノパーク(2010年創設)のエカチェリーナ・マモノワ理事は、ロシアの消費者が外国製の医薬品を好んでいる現状を指摘する。国産品の質についてよく知らないことがその理由だ。
「質の高い製品をつくるだけでなく、効能を消費者に説明する必要がある。ロシアの多くの開発者は、革新的な製品を普及させるコストが、開発のコストよりも高いことを理解できていない」と、国際技術発展フォーラム「テフノプロム」で話した。
ウラル生物医学集積のエヴゲニー・ジュラヴリョフ代表は、市場にロシアの革新的な医薬品を投入する状況を、専門家の集約で変えることができると考える。
「市場までアイデアを到達させるという経験が、ロシアの研究者にはない。科学的な優れた成果が出ても、大学の棚で埃をかぶっている」とジュラヴリョフ代表。ウラル生物医学集積は、このような「埃っぽい棚」で、抗ウイルス薬「トリアザヴィリン」を発見したのだ。これは15種類のインフルエンザに有効で、すでに生産が始まっている。この集積には現在、30団体以上が入居しており、うち12団体が製薬メーカーだ。ジュラヴリョフ代表によると、主な革新の方向性の一つが腎臓病を患う人のための薬の開発だという。「この活動のおかげで、ウラル地方や他の地域では、外国製の透析の機器や薬剤への依存から人々を解放できた」とジュラヴリョフ代表はロシアNOWに話した。
現在、ロシア版シリコンバレー「スコルコヴォ」に、医療集積が創設されている。国の予算からすでに、150万ドル(約1億5000万円)が配分された。この医療集積には、医療研究センターの複合施設およびインフラ施設が入る。
ロシアの製薬メーカーは、国内市場でのシェア拡大を実現させた後、外国市場に進出する計画を立てている。「計画は20~30年の長期。初期は輸入代替。2018年までこの方向性で活動するつもり。その後は国際市場に進出する」とマモノワ理事。
ノボシビルスク医療テクノパークには、外傷科、神経外科、再生医療の3つの優先課題がある。「さまざまな欠損を交換するための組織工学の構造をつくることに重点を置く」とマモノワ理事。たとえば、3Dプリンターを用いた、頭蓋骨片をモデリングする技術の開発だ。「今後のさまざまな市場を検討している。今はヨーロッパとの技術交流が多い」とマモノワ理事。
ウラル生物医学集積は今年にも、世界に類似品のない抗ウイルス・抗菌被覆「デジトル」を国際市場に投入する予定。これはどのような表面にも塗ることができ、乾燥すると抗菌ポリマーの薄膜を形成する。この被覆はヒト免疫不全ウイルス(HIV)、さまざまな病原体、病原性真菌を破壊する。これは表面にすでに存在するものにも、処理後にあらわれたものにも効果がある。
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