予算支出が削減されるロシア

アントン・シルアノフ財務相=ミハイル・ジャパリゼ撮影/タス通信

アントン・シルアノフ財務相=ミハイル・ジャパリゼ撮影/タス通信

ロシアの予算は、エネルギー価格の下落などにより、収入の約20%を失っている。財務省は、予算支出を10%削減することにしたが、社会保障費や国防費といった主な予算項目は、対象から除外される。

 ロシアの予算は、2015年、エネルギー価格の下落などにより、15兆ルーブル(2302億ドル)のうち3兆ルーブル(460億ドル)を失うものと思われる。これについては、ロシアのアントン・シルアノフ財務相が、モスクワでのガイダール経済フォーラムで述べた。同相によれば、同省は、赤字幅をGDPの2~3%以内に抑えるべく支出を10%削減するが、当局の社会的義務や国家的安全といった優先事項は、対象とならない。

 

支出削減

 ガイダール・フォーラムで、中央銀行のクセニヤ・ユダーエワ副総裁は、こう語った。「石油価格の50%以上の下落は、かなり深刻な動きですが、基本的な価格の下落は、すでに一段落し、それは、外国為替レートについても同様です。経済は、この状況を認識するための時間を必要としています。ロシア経済は、新しいシステムに適応しなくてはならず、できるだけ速やかに適応の時期を通過すれば、それだけ速やかに新しい状況で経済を発展させるポテンシャルが始動します」

 ガイダール・フォーラムで、ロシアの主要な財政管理機関である会計検査院のタチヤナ・ゴリコワ議長は、予算支出の削減に異議を唱え、こう述べた。「きわめて合理的なのは、2015年第一四半期に予算修正措置を講じないことです。2014年の予算執行に関する迅速なデータによれば、あらゆる困難にもかかわらず予算は追加収入を得ています。これは、会計年度の初めに予算を執行するためのリソースであり、危機対策基金が創設されました。第一四半期は、2014年の経済発展の指標に関する客観的データを得るためにも必要です。また、削減が国家的安全の費用を削らずにすべての分野で同様に行われるということは、ありえません。あらゆる再分配は、予算の構成と相関すべきです。現在、連邦予算の構成では、社会的義務や国家的安全が支出全体の76%を占めており、支出が削減されれば、予算の構成はいっそう厳しいものとなるでしょう」

 

代替案 

 専門家らによれば、削減はいかなる場合においても必要である。投資会社UFS ICの主任アナリストであるイリヤ・バラキレフ氏は、こう語る。「財務省は、予算の執行に気を揉んでいます。こうした観点から、削減は必要であり、それは、最悪の選択肢ではありません。なぜなら、収入を増やすという代替案は、国民や企業に対する税負担の増大によってのみ達成できるものだからです。こうした状況にあっては、支出を削るほかありません。国民の福祉の維持という点からすると、北極の開発や国防分野の発注拡大のような疑問の余地のあるプロジェクトは断念するのが妥当でしょう。しかし、輸入品から国産品への切り替えという面では、国防産業が目に見える進展を遂げており、この分野における支出の増大は、ある意味でハイテク部門におけるそうした切り替えを促すものと言えます」

 投資ホールディング「フィナム」のアナリストであるアントン・ソロコ氏は、こう語る。「ロシアの国防支出は、近年、戦略的なものとなりましたが、これは、財務当局には変えることのできない政治的な決定です。しかし、この措置は、差異化されるべきであり、教育や医療への支出を減らしてはなりません。両方のアプローチを考慮すると、それらの支出の効率を高め、支出される1ルーブルの価値を高めることが、理に適っていると思われます」