農機市場に参入IHIグループ

IHIグループがロシア極東の農業分野事業に参入することになった=タス通信撮影

IHIグループがロシア極東の農業分野事業に参入することになった=タス通信撮影

自動車部品やインフラ分野でロシアビジネスに取り組んできた総合メーカー、IHI(旧名=石川島播磨重工業)グループがロシア極東の農業分野事業に参入することになった。

 11月中にアムール州の農業機械ディーラー向けに肥料散布機を出荷。来春には担当者が現地入りして、操作ノウハウや顧客対応の手法を伝授する。

 並行して新たな取引先も開拓し、ロシアの農機市場での販売拡大をねらう。

 事業主体となるのはグループで酪農機械を扱う「IHIスター」(北海道千歳市)だ。 

 ロシア向けには過去にも数度輸出した実績があるが、いずれも商社経由の間接取引で、単発の出荷にとどまっていた。本格的なロシア市場開拓としては今回が第一歩となる。

 まずは来年の農作業シーズンに照準を合わせ、トラクターに取り付けるタイプの肥料散布機を6台納入する。 

 中国・上海にある子会社の工場から、アムール州に陸送する予定だ。ロシア極東の農業には人・機械・資本のどの面でも、中国が一定の影響力を持つとされる。

 IHIスターの農機は安くはないが、性能や耐久性ですでに中国市場での評価を得ており、そのこともロシア進出の追い風になった。

 同社がアムールの取引先ディーラーと初めて接触したのは昨年5月のこと。外国市場開拓の担当者である小原信孝アグリビジネス部長が日本からの極東ビジネス視察ツアーに参加した際、訪問先企業の一つになっていた。

 このツアーでは個別に話をする時間が少なかったが、その後IHIグループ数社で極東の農業分野の市場調査をすることになり、7月にアムール州を再訪してディーラーの社長とじっくり面談した。その後もメールなどでやりとりを重ねて人間関係を築いていった。

 本格的な商談に入ったのは、今年5月に訪問してから。その2カ月後に仮契約の念書を取り付けた。

 営業に動き始めてから出荷までに1年以上。IHIスターのこれまでの取引相手国と比べるとスローペースだが、小原部長は「ロシアとの仕事は時間がかかるものだと割り切るのが大事」と話す。

 「返信が遅いなどと相手をせっつくのは逆効果。焦らずに付き合っていく方が結果につながると感じます」折しもアムール州で北海道銀行が日本の技術を取り入れたモデル農場をつくるなど、日露の農業協力には期待が集まりつつある。

 IHIスターの農機も引き合いが多く、現在、ロシア各地のディーラーと商談が進行中だ。「シベリア鉄道で運べるところはすべて商圏」ととらえている。取引先が増えれば、いずれはロシア国内に拠点を構えることになるかもしれない。

 小原氏は「スタートに限れば売り上げ数百万円の規模ですが、将来は年商10億円を超えるビジネスに育ちます」と自信を見せる。ロシア農業がこれから高度化する中で、自分たちの技術が必ず役に立つと確信するからだ。