アレクセイ・ウリュカエフ経済発展相=タス通信撮影
―ロシアは、いわゆる「東方シフト」路線を堅持しているのでしょうか?経済的観点から、ロシアとアジアの貿易の発展に向けて、何がなされたのでしょうか?
目下、私たちは、ロシアの貿易全体に占めるアジア太平洋地域諸国との貿易の割合を50%に至らせることを戦略的目標に掲げています。現在、その比率は、年間およそ1~1,5%増大しています。2012年、ロシアと同地域との貿易は、記録的な額に達し、中国とは875億ドル、日本とは310億ドル、韓国とは250億ドルでした。
ロシアからアジア諸国への輸出の中心は、石油、石油製品、天然ガス、石炭、鉄鉱石で、これらが、輸出全体の65%を占めています。昨年、輸出に占めるハイテク製品と投資の割合は、それぞれ2,4パーセントと5,6%に減少しました。
ロシアは、今後も燃料エネルギー製品の輸出を増やす意向ですが、それと同時に、高い付加価値を有する製品の輸出を念頭に置き、ロシア国内での原料加工への投資の誘致にも力を入れます。
ロシアは、また、鉄金属の一部の圧延材、基礎的な化学製品、動力設備をはじめとする機械製品、軍用および軍民両用の製品を輸出できます。中長期的な見通しでは、まずは「スホーイ・スーパージェット」、さらには「イルクート・MS-21」といった機種で、アジア太平洋地域諸国の中距離旅客機市場に参入できるでしょう。
―昨年、ロシアの日本経済への投資の額は減少し、日本のロシア経済への投資額は大幅に増加しましたが、こうしたアンバランスが生じた原因は何でしょう?両国の投資協力を最適なものにするためにどのような措置が講じられているのでしょうか?
去年一年間で、ロシア経済には、日本からの投資が108億ドル(このうち直接投資は12億ドル)蓄えられましたが、これは、2011年の指標(102億ドル)を5,8%上回る数字です。
ロシア経済への日本の投資は、着実に増えており、今年上半期の額は、ほぼ5億ドルでした。投資の増加は、日本が参加するさまざまな準備段階の大型プロジェクトに起因しています。
たとえば、「ウラジオストク-LNG(液化天然ガス)」工場の建設(ロシアの公開株式会社「ガスプロム」と日本のコンソーシアム「極東ロシアガス事業調査株式会社」)、極東におけるコジェネレーション設備網の発展(公開株式会社「東部エネルギーシステム」と「双日」および「川崎重工」)、自動車部門の露日合弁企業である有限会社「ソラーズ・ブッサン」の設立(公開株式会社「ソラーズ」と「三井物産」)および有限会社「マツダ・ソラーズ・モーター・マニュファクチャリング・ルス」(公開株式会社「ソラーズ」と「マツダ」)のウラジオストクにおける設立、トヴェリ州における掘削機械工場の建設などです。
去年一年間の日本経済へのロシアの投資の額は、8300万ドルでしたが、日本へのロシアの投資がこのように低調だった原因は、日本円の高いレートにあり、こうしたなか、日本における投資業務の収益は、大幅に減少しました。この時期に特徴的だったのは、日本からのいわゆる「資本流出」でしたが、日銀による一連の通貨介入の後、円相場は安定し、日本市場においてロシアにとってより好ましい投資環境が整いつつあります。
―日本における原子力発電所の再稼働によってガスの需要が減る可能性がありますが、これまでと同様、日本をロシア産ガスの販売市場の一つとみなすべきでしょうか?ロシアの日本向け輸出において原料に取って代われる確かなものがあるとすれば、それは何でしょうか?
福島原発事故後、日本国内におけるLNG(液化天然ガス)に対する需要は、30%増大し、2010会計年度には7100万トンでしたが、2012年会計年度には8800万トンとなりました。また、輸入原油の価格と連動する輸入LNGの価格も急騰しました。こうしたことから、2011年、日本は、31年ぶりに8兆2千億円の貿易赤字を記録しました。
日本エネルギー経済研究所は、2013会計年度には9つの原発が再稼働しても日本におけるLNGの需要はさらに1,2%増えて8900万トンになる、と予想しています。「ガスプロム」の評価によれば、仮に天然ガスに対する日本の需要が緩やかに増大しても、LNGの需要と供給の開きは、2020年には年間400万トンとなり、2025年には年間2800万トンに増大します。
エネルギー資源に対する需要に影響をおよぼす他の要因も考慮すべきでしょう。そうした要因の一つと考えられるのは、日本国内の工業生産の増加で、これも、国内のエネルギー需要を高めます。
このように、ロシアにとって日本は魅力的な市場であり続けており、この分野における協力は、エネルギー資源の供給源の多様化を目指す日本にとっても極めて重要です。「ガスプロム」をはじめとするロシアのエネルギー企業には、日本政府の長期プランに見合った競争力のあるガスの価格を日本のユーザーに提示する用意があります。ですから、エネルギー経済分野における共同プロジェクトの実現は、両国の協力の戦略的方向の一つとなっているのです。
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