年金改革は経済にマイナス

タス通信撮影

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ロシアの年金改革は新たな段階を迎えている。政府は積立部分の資金を凍結し、それを明確な補償のメカニズムや活動の計画もないまま、対外経済活動発展銀行(ヴニェシュエコノムバンク)に一時的に管理させようとしている。国民はこの資金が勝手に使われるのではないかと警戒。また一部専門家は、政府の行動が国の投資環境を破壊し、ロシアを「国際金融センター」から遠ざけると指摘する。

迷走する年金改革 

 政府は年金分野の改革で、完全に方向性を見失っているようだ。今度は2014年に年金の積立部分を凍結し、非国家年金基金(民間年金基金)の調査が終わるまで、対外経済活動発展銀行に預けて管理させようとしている。国の年金“策動”を監視することに疲れた市民は、この資金が横取りされると考えている。政府は非国家年金基金の調査結果を待ちながら、「非国家年金基金救済措置」と銘打って市民の積立金2440億ルーブル(約7320億円)を連邦予算に計上し、連邦年金基金の赤字(40%すなわち3兆ルーブル≒9兆円)を補てんしようとしている。

 専門家は政府のこのような場当たり的な行動が、市場の流動性を奪い、数年以内に構築しようとしている「国際金融センター」を実現に持ち込めなくなると指摘している。

 

大統領が国民をなだめたが 

 ウラジーミル・プーチン大統領は10月初め、第5回年次投資フォーラム「VTBキャピタル」において、資金の保護は保証されていると国民をなだめた。政府はこの資金を没収しようとしているわけではなく、積立システムを打ち切るわけでもなく、ただ市民の資金を活用して信頼性と効率のレベルを高めようとしているだけだと説明。「我が国でだまされた積立者が再び現れるようなことにはなってほしくない」。

 だがある資産管理の専門家はこう警戒する。「政治の不明確さによって、さらに大きなマイナスが生じることになる。あらゆる長期的プロジェクトが明日見直されるかもしれない。エネルギー改革でもそうだったし、これがまれな『不幸なできごと』というわけではない。こういうシステムなんだ」。改革の不透明性がすでに投資に影響を及ぼしているため、収益が大きく減るという。

 

増税か年金減→経済成長鈍化 

 これ以外にも、政府の今の行動が、ロシアの金融危機を招きかねないと警戒する声がある。「長期的な見通しにおいて、年金が予算の負担となり、さらに年金受給者の割合が増加し、働く世代の割合が減少することを政府は知っている。今でもそうだが、さらに重い税金が課せられるようになるか、年金が減って年金生活者が貧乏になるかだ」と、ロシアの「全国格付け機関」の上級アナリストである、マクシム・ワシン氏は話す。

 政府の今の動きはすべて、市場の参加者を減らし、残った人間に追加的な金融負担および行政負担をかけ、また新たなビジネスや新たな雇用の創出、市場の競争の刺激にもならず、最終的に経済成長を鈍らせ、投資を止め、資本流出を継続させるといった悪影響をもたらすと、ワシン氏は言う。

 

外国の投資家は及び腰 

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年齢を超えた幸せ

 外国の投資家は、ロシアでの非国家年金基金の創設や義務年金の運用には、積極的に参入していない。例えば欧州復興開発銀行は最近、非国家年金基金の「ルネッサンス生活と年金」および「ヨーロッパ年金基金」の株式を売却した。まだロシアで任意年金保険を展開できる可能性は残っているが。

 連邦年金基金のアントン・ドロズドフ理事長は、赤字らしい赤字は存在しないと話す。「連邦年金基金には連邦予算からさまざまな振替が行われており、これが収入となっている。振替の一部は連邦予算の義務の履行にあてられており、我々はここではトランジット、またメカニズムでしかない。予算から資金を受け取 り、それを人々にあらゆる補助金として渡すだけだ。ただ不均衡な支出、すなわちカバーされていない義務が一部ある。この部分のみを、年金基金の赤字と見なすことができる。そしてその赤字額はとても小さく、今のところ約15%で、来年はこれが5%まで減少することを述べておきたい」。