ロシアで最も成功している零細企業は、繊維製品の生産者、自動車修理、耐久消費財の販売などだ。=アルチョーム・ジテーネフ撮影/ロシア通信
事業を4分類 ミクロと小中大
ロシアはサービス産業が発展する見込みは十分ある。ロシアの零細ビジネスはほとんどこの分野に集中していて、比較的少ない資本で大きな収益を上げられる。
ロシアのビジネスはミクロ、小規模・中規模・大規模の4通りに分類される。利益が6000万ルーブル(約1億8000万円、1ルーブル=約3円)以下、または従業員が15人以下の企業がミクロビジネスに、利益が4億ルーブル(約12億円)以下または従業員が100人以下が小規模ビジネスとなる。
国は零細ビジネス(ミクロと小規模)に優遇税制などの保護政策をとっている。しかし、銀行から融資を受け、官僚主義や汚職などに対応するのは、国家と結びついている大企業に比べるとはるかに難しい。ロシアで零細ビジネス従事者は人口の約10%で、欧米、中国よりずっと少ない。
零細ビジネスの内訳
露連邦統計局によれば、昨年度に零細ビジネスの分野で最多は小売業と自動車修理業で全体の約3分の1を占めた。次いで、不動産、建設が30%超、加工業(繊維業、金属製品、電気製品製造など)約15%、農業、ホテル業、飲食店、交通、輸送、通信約5%と続く。
ロシアではイノベーション、ハイテク分野の企業家が不足している。「小売り、物流、アフターサービスなどでも企業家が必要だ」と「実業ロシア」のレイリフ理事は言う。
収益に地域格差
各自治体の試算では、個人事業主の収益はモスクワがほぼあらゆる業界で他の地域をしのいでいる。
例えば、店舗面積50平方メートル以下の飲食店の場合、モスクワでは年収約300万ルーブル(約900万円)だが、ヤマロ・ネネツ自治管区で155万ルーブル(約465万円)、ベルゴロド州5万ルーブル(約15万円)にすぎない。
稼ぐためロシアを目指す
求人サイト「ザネットワーク」は世界35カ国で2009~2010年に実施した6万6000件のアンケートを分析して、こう指摘した。「外国人たちは何よりも稼ぐためにロシアを訪れ、かなりの成果を上げている」。リスクより将来性を買う外国人は少なくないのだ。
役立つ情報有限責任会社と個人企業の違い ①登録の手続き 個人事業者になるためには、居住している自治体の税務当局に書類を提出する。手続きが終わった後で、手数料800㍔(約2400円)を払う。証明書を受領し、銀行口座を開設して終わりだ。有限責任会社の登録には、1万㍔(約3万円)以上の資本金と定款が必要だ。個人事業主の登録は、一人だけのためのものなので、パートナーとビジネスを始めるためには有限責任会社を登録しなければならない。 ②責任 何らかの違反を犯したり、クレームがあったりした場合、個人事業主は自分の資産だけで対応しなければならない。有限責任会社は資本に含まれている一定の割合しか責任の対象にならない。 ③課税 個人事業主の法人税は6%。有限責任会社は収入が4500万㍔(約1億3500万円)以下の場合のみ、優遇税制の対象となり、6000万㍔(約1億8000万円)以上の場合は、全額支払わねばならない。有限責任会社は収入が6000万㍔を超えると、優遇税制の対象から外される。外国人が個人事業主として登録できるのは、就労許可を得た後で、ロシア国内で働く権利を有していなければならない。
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ファブリオ・マルケトリ氏
イタリア系アメリカ人、設計事務所「TGarbo」の所有者
「ロシアのビジネスマンにとっては、高級時計をして高級車に乗るといった見てくれが大事なんです。その半面、時間にはルーズですね。イタリアでは、地位が高くなるほど、時間に正確になりますが、ロシアでは逆です。ある時、私はビル所有者にリフォームを頼まれましたが、彼がいつも遅刻を繰り返すので断りました。形式主義についていえば、顧客はどんなプロジェクトでも500は下らない署名を集めねばなりません」
オラフ・クヌス氏
オランダ人、ジャーナリスト、作家
「モスクワは全然怖い街じゃありません。治安の面でも私は安心しています。ロシア人は無愛想で、閉鎖的な感じがしますが、最初のうちだけです。親しくなると、その変貌ぶりに驚かされます。もし、ロシア人が『お前は友達だ』と言ってくれれば、いつでもオープンマインドで、援助を惜しみません。もちろん、不愉快なこともあります。それでも今のところは、ロシアで働く方がずっと面白いですよ」
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