日立建機の新工場が稼働間近

トヴェリ州への工場建設を決定したのは、2008年の世界金融危機よりも前。だが、建設が始まったのは2011年に入ってからのことだ =タス通信撮影

トヴェリ州への工場建設を決定したのは、2008年の世界金融危機よりも前。だが、建設が始まったのは2011年に入ってからのことだ =タス通信撮影

建設機械で世界3位の「日立建機株式会社」は今秋、ロシアで中型油圧ショベルの生産を始める。これによって、2009年に明け渡した露市場トップ(ショベル分野)の座を取り戻せるかもしれない。

日立建機初の露現地工場 

 この新工場は日立建機のロシア最初の会社で、日立グループの中では最北の工場となる。稼働開始は10月の予定。工場が建設されている工業団地「ロスロヴォ」は、首都モスクワと第2の都市サンクトペテルブルクをつなぐ道路の途中に位置するトヴェリ州の、州都トヴェリ市近郊にある。モスクワ市からの距離は約170キロメートル。物流や人的資源の観点から、立地の良さがこの地域の魅力となっている。

 

今年10月稼動の予定 

 新工場は10月、20~40トン級ショベルの生産を開始する。ロシアでもっとも需要が多いのがこのクラスのショベルだと、日立建機ユーラシア販売会社の石井壮之介社長がロシアNOWに説明した。当面は年間150~200台の生産を目指すが、最大2000台の中型油圧ショベルの生産能力がある。

 トヴェリ州への工場建設を決定したのは、2008年の世界金融危機よりも前。だが、建設地の選定に2年を要したため、建設が始まったのは2011年に入ってからのことだ。外国の競合会社はすでに、ロシアに工場を建設している。一番最初にロシア市場に参入したのはアメリカの「キャタピラー」で、1997 年にレニングラード州に工場を建設した。日本の「小松製作所」もヤロスラブリ市に工場を建設し、2010年から油圧ショベルを生産開始、また現在はフォー クリフトや鉱山機械も生産している。

 

「決め手は地元行政の真剣な対応」 

 日立建機が最終的にトヴェリ州を選んだ理由は、このプロジェクトに対する地元の行政や知事の対応だったという。「皆さんがとても真剣で、責任感があると感じた。それ以外にも物流の便利さや人材などの要因もあるが、やはり行政の協力なしには進まない。これが決め手となった」と石井社長は話した。

 

露市場のトップは小松、2位はヒュンダイ 

 日立建機は2006年から2008年まで、ロシアのショベル分野で最上位に位置していたが、2009年に4ポイント下落した。その後3位に戻ったものの、ロシアにある外国メーカーでトップに立っているのは小松だ。また、韓国の「ヒュンダイ」は、金融危機以前は3位だったが、2009年からは2位となっている。韓国の会社は現在、ロシア市場でのシェアを拡大している。ロシアの調査会社「IDマーケティング」のデータによると、2012年第4四半期にロシ アに納入されたホイール式ショベルの53%以上が韓国製品で、もっとも人気のメーカー(32.45%)はヒュンダイだった。

 

外国製ショベルの割合は90% 

 ロシアにも地元メーカーはあるが、ここ10年の生産は不安定である。2000年から2006年に生産されたショベルは4000台を割り込み、2007年 に6265台、2008年に5506台まで増加したが、その後2009年に1391台まで落ち込んだ。その後再び増加したが、安定したとは言えない。ロシアにはショベルの大・中生産企業が10社あり、その中で上位に立つのは公開株式会社「トヴェルスコイ・エクスカヴァトル」だ。それでもロシアの会社はどんどんシェアを失っており、販売市場における外国製ショベルの割合は90%を超えている。

 

10人以上のロシア人社員が日本で研修 

 日立建機のトヴェリ工場が生産するショベルは、住宅やエネルギー施設の建設に使用されると石井社長は話す。現地生産化は当面、それほど大規模に行わず、 金属構造部品、アーム、バケットの生産を整えるという。高い技術や品質管理が求められる主要な部分(油圧系統、電子制御装置、エンジン)は、初期段階では日本から輸入する。

 「ロシアと日本の間には厳しい局面や難しい問題があるが、全体的に両国は協力関係発展のための非常に重要な接点を見出した。近い将来、ロシアにおける日系企業の活動環境は非常に良くなると信じている」と石井社長。

 日立建機は現在、従業員教育を行っている。教育プログラムにもとづいて、すでに10人以上が日本に送られた。ロシア人研修生は日本から帰国すると、他の従業員を教育する重要な専門家になる。