フード・スタートアップ4件

写真提供: icedsoul photography .:teymur madjderey / flickr.com

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健康的なファーストフード、選べる食事メニュー、料理用セットの提供、料理のSNS。ロシアの新興企業が食習慣改善を促す。

健康的なファーストフード

 モスクワのレストラン「デリカテッセン(Delicatessen)」は、市内のエルミタージュ庭園にサンドイッチ店「ブテルブロ (Buterbro)」を出店し、独自の”ファーストフード観”を体現した。パンを早朝に手づくりし、お客の前でサンドイッチをつくる。

 また農園からサンドイッチの具材すべてを調達し、パンの準備が整う正午に開店する。レストランの方がすでに成功しているため、開業資金の問題はなく、開店場所の調査、その 修理、設備投資などに主に資金を投じた。新鮮な具材をはさめた手づくりパンをふるまう快適なお店に仕上がったため、人気が高く、この秋にも投資を回収でき る。

 

屋台も登場 

 「デリカテッセン」は今年2月初め、モスクワ市内を移動するケータリングカー「ダルィ・プリロドィ(Dary Prirody)」も始めた。質が高く、おいしく、健康的な屋台の食べ物がモットーだ。アメリカのケータリングカー製造会社「エアストリーム」から自動車 を購入し、ドイツで本物の店に改造した。ブテルブロの主なメニューはサンドイッチだが、ダルィ・プリロドィはグリル料理、スープ、サラダだ。

 

体のことを考えた出前

 健康食の出前サービス「イージーミール(EasyMeal)」を始める前に、創業者のワジム・マルキンさんは自分自身でいくつもの実験を行った。健康食とスポーツの最適な組み合わせを研究した結果、自力で30キログラム痩せることができた。この知識と経験を無駄にしないよう、マルキンさんは顧客の要求に応じた食事を提案する、イージーミールを立ち上げた。共同創業者はユーリー・サモヒンさん。昨年夏に初めてのサービスを行った。パーソナライズされたメニュー と、必要性に応じて食事を選べるところがこのプロジェクトの特徴だ。また、提携レストランで選定された料理を発注することもできる。注文された料理は家庭やオフィスに出前される。

 

無理なく30キロ痩せた経験生かす 

 開業資金として、自己資金約150万ルーブル(約450万円)を投じた。このプロジェクトは現在ほぼ回収できており、今後の計画として、提携レストラン のネットワークを拡大し、ウェブサイトの食事療法の項目を改善、完成させ、健康食のケータリング部門を開設することを目指している。

 イージーミールとまったく同じサービスは見つからなかったが、モスクワやヨーロッパには、1週間以上にわたり、箱に入った料理の出前を頼めるサービスがある。ただし、詳細なメニューを自分でつくったり、注文を変更したりすることはできない。

 

料理を教えて会話も楽しむ

 料理ウェブサイト「フードクラブ・ル(Foodclub.ru)」は、自分の料理の経験を、料理好きな人々と共有することを目的としている。サヴェリエ フ夫妻は結婚後すぐに、ずっと健康でおいしい食事を守って行くことに決めた。妻のマリアさんは、料理を楽しくて創造的で自己実現できる活動だと考え、 つらい日課にしたくなかった。料理本のレシピはすぐにメニューが尽きてしまうし、説明もわかりにくい。

 そこで産休中でも活発に動いていたマリアさんは、詳細かつわかりやすい色彩豊かな自分の料理本を、フードクラブ・ルというプロジェクトに変えた。夫のマクシムさんは当時、ウェブサイトの制作会社を経営していたため、積極的に妻の手伝いをした。ロシアのブログ作成サイト「ライブジャーナル」を基盤に、2008 年にブログとして初め、その後完全なウェブサイトを立ち上げた。開業資金はなく、自分たちの努力だけで始めたが、すぐに利益を出し始めた。

 

現在、質の高いレシピが1500

 2010年にモバイル・アプリを作ると、フードクラブ・ルの完全なレシピを入手するために有料会員になる人が多くなり、すぐにアイフォンおよびアイパッド用アプリの TOP10に入った。また、バナー広告や提携プロジェクトからも収入を得ている。夫妻は出張イベントにも積極的に参加し、決められた台所用品を使用したスポンサーのレシピもウェブサイトに掲載している。

 フードクラブ・ルには現在、1500件のレシピが掲載され、2万人の登録会員がいる。閲覧回数は毎日約5万回あり、祝日前になるとさらに増える。ユー ザーはウェブサイトのレシピに沿って料理するだけでなく、自分のページもつくることができる。この際、新しいレシピは厳格に調整されるため、コンテンツの質の高さが維持される。ライブジャーナルのブログも続いており、今でも人気は高い。

 今後の計画として、ウェブサイトにストアを開設すること、アンドロイドのユーザー向けのアプリをつくることを目指している。

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