史上最高額のオリンピック

=ロイター通信撮影

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ソチ五輪の準備に、なぜ510億ドルもかかってしまったのだろうか。その内訳やいかに。

 2014年ソチ冬季五輪は史上最高額のオリンピックになる。8年の準備期間で実に510億ドル以上(約5兆1000億円)もの費用がかかるのだ。ちなみ に2008年北京夏季五輪は約450億ドル(約4兆5000億円)、2010年ロンドン夏季五輪は約300億ドル(約3兆円)だった。中国と同様、ロシアでは主な費用が街のインフラの刷新に費やされており、70億ドル(約7000億円)ほどがスタジアムや練習場といったオリンピック施設に使われているのみだ。

 

交通

 政府が一番お金をかけたのは交通インフラで、その額は209億ドル(約2兆900億円)にのぼる。ソチのアナトリー・パホモフ市長は、これで街の渋滞問 題が解決されると期待する。ソチは156~162キロメートルの海岸に沿って伸びているが、主要な幹線道路がクロルトヌイ大通り(保養地大通り)一本しか ないことが渋滞の原因だという。「ソ連時代はモスクワでも渋滞がなかっただろうが、ソチにはあった」。

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 2014年までに260キロメートルの自動車道が建設され、交通能力は1.8~2.5倍に拡大し、移動スピードも25%アップする。

 交通問題の解決は、自動車道だけでなく、鉄道インフラの整備も兼ねて図ろうとしている。鉄道はモスクワの地下鉄のような街の交通手段になると、パホモフ市長は自信をのぞかせる。「30ヶ所の鉄道のプラットフォームを建設し、電車はほぼすべての人口集積地に止まる」。

 

最大の鉄道プロジェクト 

 もっとも大きな鉄道プロジェクトは、国際空港付近のアドレルから五輪施設の一つであるスキー・リゾート「アリピカ・セルビス」が位置するクラスナヤ・ポ リャナまでの自動車道と鉄道の混合道で、独占企業代表の情報によると、建設予算は66億ドル(約6600億円)になるという。これはオリンピックのプロ ジェクトの中でもっとも高額だが、当初は4車線の自動車道と2本の鉄道を敷く計画だったため、これよりも高かった。

 2009年に計画が縮小され、2車線の 自動車道と、すれ違い用の特別な場所のある1本の鉄道になった。鉄道の輸送能力は1時間8500人だ。オリンピック開催期間は10分おきに電車が走る。

 民間投資家の中でソチの交通インフラにもっとも多く投じたのは、金融・産業ホールディング「バゼル」で、空港に60億ルーブル(約180億円)以上を投 じて、新しいターミナルを建設している。2012年6月の時点で空港の受け入れ能力は1時間1600人だったが、2014年の完工後には3800人まで拡 大する。

 

通信とエネルギー

 通信インフラは「メガフォン」と「ロステレコム」が構築している。両社ともにソチ五輪のスポンサーで、それぞれスポンサー・パッケージに1億3000万 ドル(約130億円)を投じた。ロステレコムは固定通信、メガフォンは移動通信を整備している。ロステレコムの広報によると、同社は300キロメートル以 上の光ファイバー・ケーブルを設置し、33ヶ所の五輪施設に電気通信サービスを行うという。これは、例えばスタジアムにおける結果評価、点数、計時などの 特別なシステム用の、有線および無線インターネット、IP電話、割り当て回路の話だ。五輪開催中は携帯電話の通信会社がメガフォン1社に絞られる。

 国際オリンピック委員会がソチで五輪を開催すると決定した際、ソチでは電力が不足していた。発電量100メガワットに対し、電力消費量が400メガワッ トだったのだ。不足分は現在、他の地域から送電して補っているが、五輪までに1424メガワットの発電が可能な施設を整備する。

 

オリンピック後

 これらのインフラは五輪終了後どうなるのだろうか。ドミトリー・コザク副首相は2月、終了後の使用プログラムを承認した。公共・技術インフラほぼすべて と街の道路のほとんどが、ソチ市の所有になる。同市役所によれば、市の予算の年間支出額を20億ルーブル(約60億円)増やすことになるという。

 

ヴェドモスチ紙の記事(露語)を参照

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