ロシアの不思議2「交通」

モスクワの地下鉄=

モスクワの地下鉄=

Vörös Szabolcs撮影
 ロシアには日本人の私たちが知らないことがまだまだたくさんある。そこで、日本人の私がロシアで暮らして感じた、ロシアの不思議なところ、面白いところをいくつかのテーマに分けて紹介したい。2回目の今回は、ロシアの「交通機関」に焦点を当てよう!

モスクワの地下鉄

 モスクワの地下鉄は年間利用客が最も多い地下鉄の1つだ。現在12の路線と200近くの駅があり、中心の環状線とそれを突っ切るように放射線に路線が延びている。2020年には現在の環状線の外側にもう1つ大きな環状線が建設される予定である。地下鉄は全て国営なので路線図は大変シンプルで、乗り換えも簡単である。また、ロシアの地下鉄は均一料金でどこの駅まででも乗ることができるし、違う線に乗り換えることもできるため大変便利だ。ロシアの地下鉄に時刻表はないが、2、3分おきごとにやってくるので待たされることはないし、モスクワの地下鉄内には全線無料Wi-Fiが通っているので快適だ。

Leonora Giovanazzi/flickr.com

 ただ、初めて乗るときには気をつけなくてはいけないこともある。まず、同じ駅でも路線によって名前が違うことがあることだ。たとえば4つの線が乗り入れているアルバーツカヤ駅は、他に3つの名前を持っているので乗り換えの際には注意が必要だ。そしてもう1つ。英語表記の少なさである。モスクワ地下鉄車内は現在、1路線を除いて英語放送はないし、ホームに書いてある駅の名前に英語表記はない。新しい路線の車内には電光掲示板があり次の駅が表示されるが、古い路線の車内には次の駅を知らせるものが特にないので、ボーっとしていると次の駅がどこか分からなくなってしまう。そのため、ロシア人同士でも「今、何駅ですか?」という会話を頻繁に耳にすることができる。慣れると簡単で快適だが、初めて乗るときは少し気を張って乗ったほうが良いだろう。

 

ロシアの地下鉄の不思議

 次に私が日本の地下鉄とは違うなと感じたところを紹介しよう。ロシアの地下鉄はとても深いため、日本に比べてエスカレーターのスピードが速い。来たばかりのときはエスカレーターに足を踏み出すことを怖いと感じたほどだ。広告やクラシック音楽が流れる長い長いエスカレーターの一番下には、エスカレーターを見張る担当の係がいて、「右側に立って左側は歩く人のために空けましょう!」や「走らないでください!」とマイク越しに注意する。

Chris Guy/flickr.com

 また、モスクワの駅は美術館や宮殿のように豪華な内装をしていることで有名だ。モスクワの地下鉄巡りをするだけで、ロシアの文化や歴史を十分に感じられる。「どの駅が気に入った?」「この駅はお勧めだよ!」という会話は、モスクワでしか聞けないかもしれない。

 地下鉄が発車すると、速度が速いのと窓が常に開いているために、車内はとても騒がしくなる。隣の人と話すのも一苦労なときもしばしば。新型車両はきちんと音が鳴ってからゆっくりとドアが閉まるが、古い路線の地下鉄のドアはすさまじい勢いで閉まる。ドアに一番近いところに座っていると、耳の鼓膜が破れそうになる程だ。電車やメトロの中では突然、1駅間だけの商品販売が行われたり、ミュージシャンによる演奏が始まることもある。

 最近は、安全対策のため駅の入り口やホーム、車内に警察官がいるのをよく見かける。大きな駅では、警察犬も導入されている。少し物騒だが、そのおかげで地下鉄の治安はかなり維持されているように思える。

 また、バスや電車でも共通して言えることだが、ロシア人は相当前から立ち上がって、混んでいる車内でも駅に着く前からドアの近くに通してもらって降りる準備をしているのが、個人的には印象的に映る。

 

ロシアの地上では

 地上にはバスやトラムが充実している。モスクワのバスやトラムではカードを購入し、機械にタッチすることで乗車できるが、モスクワ以外の街では車内に運賃を回収する係の人がいる。新しい乗客が乗車するたびに近付き、お金を回収していく。Yandexのメトロと交通機関アプリをダウンロードしておけば、所要時間、バスなどの現在地、あと何分で到着するかなど、全て確認することができるので便利だ。

 それ以外にマルシュルートカという乗り合いタクシーのようなものがある。ルートはバスやトラムとほぼ同じであるが、本数が多い。降りたいところに近づいたら、ここで止まってください、と運転手さんに頼んで降ろしてもらう。初めて乗るときは、運転手さんに運賃を手渡しするのも、降りたいことを告げるのも緊張するが、これも慣れてしまえば大変便利だ。

appaIoosa/flickr.com

 モスクワが抱えている交通機関の問題の1つに、朝と夕方、モスクワ郊外と中心部を移動する車による大渋滞がある。朝夕で急いでいるときはメトロの方が早く到着する。雨の日や今のような雪解けの時期、道路の溝に溜まった泥水のせいか、ロシアの自動車は外観が汚い。たまに、窓の汚れがひどすぎて外が何も見えないバスに出会うことがあるほどだ。

 モスクワ郊外に行くにはエレクトリーチカと呼ばれる中距離電車を使う。安く効率よく都市を移動したいなら、長距離寝台列車は便利だ。若い人、家族連れ、お年寄りまでみんなが利用していて、寝る場所の狭さや多少の揺れ、隣のおじさんのイビキさえ我慢できれば、楽しく旅することができる。今までに5回ほど乗ったが、特に危ないこともなく無事に旅ができた。

長距離寝台列車=PhotoXPress撮影

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