7年待ち続けたこの瞬間

ロシア通信撮影

ロシア通信撮影

第22回冬季五輪がソチで行われると発表されてから7年。国中が待っていたその時が訪れた。

びっくりマークとニコちゃんマークを羅列

 ボランティアの多くに、ごほうびとして開会式の全体予行練習の観覧チケットが配られ、地球上のだれよりも早く開会式を見るチャンスが与えられた。あくまでも多くであって、全員じゃない。

 開会式当日、ボランティアの一部がフィシュト・スタジアムで開会式を見れるってうわさが流れた。売れ残った席をうめるためとかで。大きなイベントでは、 うわさは光の速さよりも速く広まる。だから自分の当番が夜じゃないボランティアのほぼ全員が、責任者を通じて参加の意思を伝えて、五輪公園に向かった。開会式を見れるという期待感から、気分が高揚して明るかった大集団も、次第に落胆していった。もちろん、ほとんどのボランティアが中に入ることなんてできな かった。

 幸運を手にしたのは、他の人よりも数時間早く行列に並んだ人だけ。この幸運な人たちは式後、恍惚の境地にあった。そのうちのひとりとなった男の子は、私が送った携帯メールの返事に、びっくりマークとニコちゃんマークを羅列するばかり。あまりの感動にまともな文章すら書けなくなったらしい。

 

面白かった外国人の反応 

 私はというと、開会式の数分前にもうフィシュトの中に入ることはできないとさとり、あたりを探して、最寄りのテレビを発見。開始に間に合うようにと、猛烈な勢いで20分走って、なんとかたどりついた。というわけで、私の五輪はいきなり激しい運動から始まってしまった。

 多くの外国人にとって、開会式の演出は理解しにくかったようだ。まわりでスチョパおじさんてだれだろうとか、トロイカってなんでそんなに重要なシンボルなんだろうとか、話しあってる声が聞こえた。そして、その疑問に対する答えがさまざまで、とてもおもしろかった。例えば、あるイギリス人は、スチョパおじ さんてロシアで愛されている童話の主人公なんだよ、なんて力説していた。実際には警察国家、そしてプーチン・ロシアのシンボルだ。

 

ある米国人「奇妙なものをたくさん見た」

 開会式の最大の見どころといえば、聖火台への点火。聖火が灯されたとたん、私がテレビを見ていたプレス・センターのロビーでは、出口に向かう人の流れが できた。ジャーナリストや関係者は仕事を中断して、外で赤々と燃えている聖火を見に行き、満面の笑みを浮かべて戻ってきた。自分の目で実際に見る聖火は、 テレビよりもずっと迫力があったようだ。

 宿舎に戻ろうとバスに乗ると、となりに座ったアメリカ人の男性が夢中になってモバイルの画面にメールを打ちこみ、モゴモゴとそれを読んでいた。「奇妙なものをたくさん見たけど、ロシア人は自分たちの謎めいた性格を少しでも理解してもらおうと努力したんだから、わかってあげないとね」

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