2013年はロシアのモータースポーツにとって、史上もっとも成功した年だっただろう=タス通信撮影
ダカールの勝利で開幕
1年の始まりは1月開催のダカール・ラリー。2012年に結果を出せなかったロシアは、カミオン部門で勝利の栄冠を手にした。トップ選手のウラジーミル・チャギンとフィルダウス・カビロフが「カマズ」から抜けた後のレースであるため、この勝利は特に意義深い。エドアルド・ニコラエフが1位、アイラト・マルデエフが2位、アンドレイ・カルギノフが3位と、「カマズ」は圧倒的な強さを見せた。
サーキットでもSMPレーシングで勝利
サーキットでも結果を残すことができた。「SMPレーシング」は2013年、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズのGTCクラスで、個人でも団体でも優勝 した。個人のチャンピオンはロシアのキリル・ラドィギンとヴィクトル・シャイタル、そしてイタリアのファビオ・バビーニ。ラドィギンとシャイタルは、由緒 あるブランパン耐久シリーズでも、2位と3位についている。
「Gドライブ・レーシング」は、FIA世界耐久選手権で活躍。ロマン・ルシノフはマイク・コンウェイ、ジョン・マーティンと組んだ。LMP2クラスで優勝し、総合で3位になった。
初の本格派F1ドライバー
19歳のダニイル・クヴャト=ロシア通信撮影
19歳のダニイル・クヴャトは来シーズン、F1の「スクーデリア・トロ・ロッソ」のドライバーになる。この世界でもっともステータスの高い競争には、す でにロシア人が参加しているものの、強力なスポンサーの支持を受けてではなく、スクールを経由するという伝統的な方法で参加するのは初めて。
スクーデリア・トロ・ロッソはレッドブルの”馬小屋”で、4度世界チャンピオンを経験しているセバスチャン・ベッテルが所属していたチームである。クヴャトはレッド・ブルのスクールで学んでいた時、指導者のヘルムート・マルコに認められ、レーサーになることをすすめられた。
ロシア自動車連盟のイーゴリ・エルミリン顧問はこう話す。「マルコはクヴャトのスポーツの指標のみを見ていたが、レッドブルの幹部はロシアが重要かつ大きなマーケットであることや、ソチで2014年にグランプリが行われることも視野に入れていたようだ」
アメリカにも進出
「シュミット・ピーターソン・モータースポーツ」のドライバーになる、ミハイル・アレシン氏=ヴィタリー・ベロウソフ/ロシア通信撮影
2014年のF1では、2人のロシア人を見ることができるかもしれない。ただ、その可能性は必ずしも高くない。もう一人の若手レーサーであるセルゲイ・シロトキンが、ザウバーのドライバーになるという情報が今夏流れていたものの、今のところ話は進んでいないようだ。資金問題がネックとなっており、ザウバーが約束した分がまだ入っていない。シロトキンはフォーミュラ・ルノー3.5でSMPレーシングに入る可能性もあるため、手持ちぶさたにはならなそうだ。
ヨーロッパはそこそこ慣れた場であるが、アメリカへの参戦も手にした。それは来シーズン、インディカー・シリーズで「シュミット・ピーターソン・モータースポーツ」のドライバーになる、ミハイル・アレシンのことだ。
「驚きの年だった」
「2013年はロシアのモータースポーツにとって驚きの年だった」とエルミリン顧問。その一例として、レースサーキットをあげる。「5年前と比べると、大きく前進したと言える。トラックのヨーロッパ選手権が行われているスモレンスク・リングはもう4年になるし、ニジニ・ノヴゴロド、カザン、クラスノヤルスク、サンクトペテルブルク郊外にもコースがある。あと、さまざまなシリーズのカーレースやバイクレースが定期的に行われているモスクワ・レースウェイ。 そして2014年にF1世界選手権のロシア・グランプリが行われる、ソチのサーキット」。
「今後のロシアのモータースポーツも、それなりに良好な発展を見せると思う。サーキットができて、道がひらけ、若者が活躍して、見方も変わってくる。ロシアのモータースポーツの人気は今のところ、期待には遠く及ばないが、レースに多くの人を呼び込むことで、状況を変えられるのではないか」とエルミリン顧問は話す。
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