新年の気分を盛り上げてくれるソ連とロシアの映画10選

 ホリデーシーズンまでもうすぐということで、古き良きソ連のクラシック映画から、最近のロシアのブロックバスター映画まで、オススメの作品を一挙まとめてご紹介しよう。

1. 運命の皮肉、1975年

 「毎年、12月31日には友人たちとバーニャ(ロシア式サウナ)に行くんだよ・・・」。主人公のエヴゲーニー・ルカシンは、大晦日に、なぜか自分が住むモスクワではなく、レニングラードにいる理由について説明し始める・・・。

 ソ連時代のアパートはどれも同じようなつくりをしていたため、お酒を飲んだエヴゲーニーは、自分が別の街にいることに気づかない。新年は台無しになってしまうが、この間違いによって、彼の人生はそれまでとはまったく違った幸せなものになる・・・。

 毎年、大晦日になるとほとんどのロシア人がこの映画を観る。そして本当に素晴らしい映画というもの(この作品を含めて)は、観るたびに何か新しいことに気づかせてくれる。喜劇的なストーリーは、人生、そして運命のいたずらについて考えさせる深い映画になる。

2. カーニバル・ナイト、1956年 

 文化会館の職員たちが新年の祝賀プログラムの準備をしている。しかし、館長はそのイベントのほとんどに許可を出してくれない。館長は堅苦しくてつまらないパーティを望んでいるのだが、若者たちはただ楽しい時を過ごしたいと考えていた。若い職員たちは、館長を出しぬき、パーティを楽しいものにしようとする。

 これは、「運命の皮肉」に次いで、ソ連を代表する新年映画とされていた。のちに「運命の皮肉」を製作したエリダール・リャザノフ監督のデビュー作である。またこの「カーニバルナイト」は、駆け出しだった女優リュドミーラ・グルチェンコに大いなる名声をもたらした。

3. モロスコ 、1964年

 ナースチェンカという名の若くて美しい少女は不機嫌な継母に悩まされていた。ナースチェンカは懸命に家事をし、薪を割り、水を汲み、料理をするのだが、年老いた機嫌の悪い継母を満足させることはできない。継母は自分の娘の結婚式のことで頭がいっぱいなのだった。しかし、ナースチェンカはその計画を台無しにしてしまう。

 おとぎ話「モロスコ 」を下敷きにした映画で、シンデレラのようなストーリーの物語であるが、そこにロシアの冬が絡められている。優しい魔法使いではなく、そこに登場するのは良い行いをする人々に魔法をかけるモロスコ。彼は寒いと文句を言う人たちが嫌いなのだった。

4. 幸運の紳士たち、1971年

 幼稚園の先生が秘密の作戦に参加するよう頼まれる。彼は犯罪グループのリーダーにそっくりだったことから、警察は彼におとり捜査のため、犯人になりきって刑務所に入り、犯罪者グループとともに脱獄するよう依頼する。警察の目的は盗まれたアレクサンドル・マケドンスキーの黄金の兜を取り戻すことだった。

 優しい先生が残忍な犯罪者のように振る舞い、奮闘するが、最後は“仲間たち”を連れ出すのに成功する。公開された年には爆発的な興行収益をあげ、作品の中の名台詞は、金言となり、今でもよく耳にすることができる。

5. チャロデイ(魔法使い)、1982年

 アリョーナはソ連魔法研究所で働く魔法使い。彼女の上司はアリョーナが彼女の恋人と恋愛しているのではないかと疑い、彼女に魔法をかけ、心を冷血にしてしまう。その瞬間から、アリョーナは残酷で慈悲のない魔法使いになり、恋人を悲しませる。恋人はなんとかして魔法を解き、アリョーナを元の愛しい女性に戻そうとする。

 この映画は素晴らしい音楽コメディで、いくつもの冬のヒット曲を生み出した。また脚本は、SF作家のストルガツキー兄弟が書き、ソ連時代に存在したありとあらゆる研究所に愛する最高の風刺となっている。

6. クリスマス前夜、1961年 

 ウクライナの村出身の鍛冶屋のヴァクラはワガママ娘のオクサナに恋している。オクサナはヴァクラの忠誠心を試そうと、女帝の靴を持ってこない限り、彼とは付き合わないと言う。そしてクリスマスイブの日、奇跡が起こり、ヴァクラは悪魔にまたがり、サンクトペテルブルクに飛んでいく・・・。

 この作品は「ディカニカ近郷夜話」として知られるニコライ・ゴーゴリの小説を映画化したものである。非常に面白くて、雰囲気たっぷりの映画である。

7. Come Look at Me、2000年

 メイドとして働く女性は、病気の母親と暮らしているが、彼女は常に驚くほど心優しく、母親の心配ばかりしていた。新年を1週間後に控えたある日、母親は自分はもうすぐ天国に行くと告げ、娘の生活があまりに退屈すぎると言って嘆いた。母親は娘に彼氏がいたことがあるのかと訊く。そこで母親を悲しませまいと、娘は新年のパーティを準備し、何人かの男性に、秘密の恋人のふりをしてくれないかと頼む。

 ロシアの脚本家、ナジェジダ・プトゥシキナの現代劇「彼女が死にゆく間に」を下敷きにした作品で、その後、シナリオはロシア全土で演劇用としても使用された。

8. Sympathy Seeker、1997年

 ある若い女性教師は村で一人暮らしをしているが、まもなく結婚することになっている。母親は最近、亡くなり、父親には一度も会ったことがない。父親は、母親の短い夏の恋愛相手だったからである。彼女は父親の名前と母親と出会ったサナトリウムの場所しか知らない。そこで彼女は父親かもしれないと思う人物に手紙を出す。そして大晦日の夜、そのうちの3人が彼女を訪ねてくるのだが、果たして本当の父親は誰なのか?

 ロシアでは「カザンの孤児」というタイトルがつけられている。ロシア語では両親を失くした子どもを表現する言葉である。映画では、オレグ・タバコフ、ワレンチン・ガフト、レフ・ドゥロフといった大スターが出演している。ロシアの田舎の風景が映し出されている軽快な新年のコメディである。

9. ハッピーニューイヤー作戦、1995年

 3人の高齢の男たちが大晦日に病院で出会う。楽しいことなど期待していなかったが、病院で大晦日を祝いながら、退屈な夜を過ごしていた。しかし、そこに足を骨折した新入りがやってくる。この男性は大将で、やってくるとすぐに、病院で新年のパーティを企画するよう指示する。そして突然、何もかもが面白くなっていく。ユーモアに溢れ、1990年代のロシアの雰囲気を持った作品である。ロシア人の間で大人気を博したアレクサンドル・ロゴシキン監督のPeculiarities of National Huntの続編となるものだ。

10. ヨールキ(もみの木)、2010〜2018年

 両親を亡くしたある女の子は、ロシアの大統領が自分の父親だと信じていて、いつも皆にからかわれている。そして新年の前夜、奇跡を信じ、彼女は新年の演説の途中に、スクリーンを通じて、自分に向かって秘密のメッセージを送ってくれるのを期待していた。作品は「六次の隔たり」(Six degrees of separation)をもじって、「六次の祝祭」(Six Degrees of Celebration)とも呼ばれている。

 「ヨールキ」はプロデューサー、チムール・ベクマンベトフが作ったシリーズ作品で、すでに8作、制作されている。

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