ロシアの名作アニメ映画10選

ソユーズムリトフィルム
 子供の頃に見るアニメは、心の中で特別な位置を占めるものだ。それは旧ソ連で育った人々にとっても同じだ。これら10本の名作ロシア・アニメを見れば、ロシア人は懐かしくなる。それぞれが独特で、一目でそれと分かるだけでなく、決して忘れられない印象を見る者に与える。

1.  チェブラーシカ

 チェブラーシカは間違いなくロシアの最も有名なアニメ・キャラクターだ。世界中で知られたチェブラーシカだが、特に日本でカルト的な人気を誇る。愛らしいクマのようでありながら異常に大きな耳を持つチェブラーシカは、ロシアの最も可愛らしいアニメ・キャラクターだ。

 チェブラーシカの物語は、彼がオレンジの箱の中で眠ったままモスクワに運ばれてくるところから始まる。間もなくゲーナという親切なワニと親友になり、孤独な人のために家を建てたり、ピオネール(ソ連版ボーイスカウト)を助けたり、モスクワの林や小川を清掃したりと、2人で一緒にいろいろな経験をしていく。

2.  ブレーメンの音楽隊

 『ブレーメンの音楽隊』は、グリム兄弟の同名童話に基づく胸躍る音楽アニメだ。中世ドイツを放浪する音楽隊の突飛な冒険物語だ。彼らはあなたが思うような音楽隊ではない。皆動物――猫と犬、雄鶏、ロバ――なのだ。おまけに、彼らのキャッチーなスタイルは、中世のグループからは想像できないほどロックンロールだ。 

3.  霧につつまれたハリネズミ

 アニメの巨匠ユーリー・ノルシュテインが生んだ『霧につつまれたハリネズミ』は、世界の映画史において真の成功を収めた。2003年に日本で開かれたラピュタアニメーションフェスティバルでは、世界中の140人の投票で1位になった。また、『霧につつまれたハリネズミ』の国際的な評価の高さを表す別の例として、同作は2009年の『ファミリー・ガイ』のエピソード「私たちに似たスパイ」の中でパロディー化されている。 

 この不朽の名作は、何百万人という観客を魅了し、現在でもロシアの多くのインターネット・ミームのネタになっている。あらすじは、ハリネズミが親友の子グマに会いに行く途中で道に迷うというものだ。深い霧の中、彼は道を外れてしまい、自分自身の恐怖を含め、数多くの謎めいた動物と出会う。最終的に彼は友人のところにたどり着き、星を眺めながら一緒に茶をすする。

4.  ヴィンニー=プーフ 

 英国人作家A・A・ミルンの作品に基づくロシア版ウィニー・ザ・プー、『ヴィンニー=プーフ』は、世界のほとんどの人が知るディズニー版とは全く異なっている。

 米国版も、ロシア版も、森に住むハチミツ好きのクマを描いているが、両者には驚くべき違いがたくさんある。米国のヴィニーは親しみやすくふわふわとしたクマだが、ロシアのヴィンニーは悪賢く、どこか熱狂的な性格をしている。ロシア版3部作の第1話では、彼は風船でハチの巣まで浮上し、ハチを欺くために雲のふりをする。また、彼は常にテンポの速い荒唐無稽な歌を口ずさみながら画面の中を歩き回る。ともあれ、ロシア版ヴィンニーは一見の価値のある愉快なキャラクターだ。

5.  男の子とカルルソン

 『ヴィンニー=プーフ』と同じく、『男の子とカルルソン』はロシアのアニメーターらが外国生まれのキャラクターに心躍る新たなイメージを吹き込んだ一例だ。『男の子とカルルソン』はスウェーデン人作家アストリッド・リンドグレーン(『長くつ下のピッピ』を生んだことで最もよく知られる)の物語のロシア版リメイクである。このアニメでは、男の子は犬を飼うことを切望する孤独な子供だ。犬の仲間を得られない彼は、代わりにカルルソンを作り出す。飛ぶことのできる、いたずら好きの想像上の友人だ。彼らは共にあらゆる災難に陥り、もちろんそのことで男の子は叱られる。

6.  プロストクヴァシノ 

 『プロストクヴァシノ』は、「フョードルおじさん」というあだ名の少年の物語だ。彼はプロストクヴァシノ村でネコとイヌと暮らすため、家から逃げ出す。この有名なアニメの話は、今でも日常会話に出てくる。あるロシアの有名乳製品ブランドは、このアニメに因んで「プロストクヴァシノ」と名付けられている。 

 『男の子とカルルソン』の男の子と同じく、フョードルおじさんは家でペットを飼うことを切望している。しかし、両親はそれを許さない。どちらの作品でも、親の権力に対する抵抗が、彼らの良き理解者の暮らす空想の世界を作り出す。

7.  犬が住んでいました

 自分の家族に忠実に奉仕した老犬が、番犬の役目を果たさなかった廉で家から蹴り出される。林で一人沈んでいたイヌは、かつて敵だったオオカミに遭遇する。2人は、イヌのかつての飼い主の信用を取り戻すため、彼らの幼い子供を誘拐する計画を練る。計画は成功し、間もなくイヌは幸せに家族のもとに帰る。

 ストーリーが可愛らしいだけでなく、『犬が住んでいました』はウクライナの村の文化を美しく描き出している。豪華な風景描写、よく再現された伝統衣装、胸を躍らせる民謡に溢れたこの映画は、きっとあなたのお気に入りのアニメになるだろう。

8.  アリの冒険 

 『アリの冒険』は、『犬が住んでいました』を生み出したエドゥアルド・ナザロフの豪華な短編映画だ。このアニメを見れば、森に溢れる虫たちの生き生きとした世界に引き込まれる。 

 一匹の若いアリが、夕日を眺めるために木の上に登ろうとする。突然突風が吹き、彼は自分の蟻塚から遠く離れたところまで飛ばされる。ひどい怪我を負い、日が沈むまでに自分で帰ることができなくなった彼の命運は尽きたように思われる。だが、それぞれ独特の個性を持つ数々の虫たちが、親切に彼を家まで送り届ける。

9.  話の話

 『話の話』は、伝説的アニメーター、ユーリー・ノルシュテインのもう一つの名作だ。『霧につつまれたハリネズミ』と同じく、このノルシュテイン作品は史上最高のアニメの一つと考えられている。 

 『話の話』は、実体験に基づいた一連のスケッチを通して、子供時代の記憶の性質と、過去に対する私たちの見方を実験的に描いている。最も心が動かされるのは、第二次世界大戦で戦場に向かった多くの男たちが帰ってこない場面だ。有名な戦前のタンゴ『太陽に灼かれて』が流れる間、ばらばらの映像によって、男たちが一人ひとりダンスフロアから消え、二度と戻ってこないことが表される。

10.  去年の雪が降った 

 『去年の雪が降った』は、ロシア全国で毎年大晦日に放送される豪華なストップモーション映画だ。ある怠惰な夫とその厳格な妻の物語である。妻は森から新年のクリスマスツリーを取ってくるよう指示する。しかし、何度も何度も彼は手ぶらで帰ってくる。彼がようやく木を持ち帰った時には、季節はすでに春だった。 

 ぶつぶつ言う愚かな夫とがみがみ言う妻の物語の根底にあるのは、同情と赦しのメッセージだ。確かに夫はこの課題に関しては役立たずだ。しかし、彼が繰り返し挑戦するのは、妻に身を捧げている証拠でもある。夫は何事もやり遂げられない、妻はそれが許せない、実は木を取ってくることはさほど重要な課題ではない――こうした要素の中に、ある考えが浮かぶ。つまり、『去年の雪が降っている』は見る者に、不完全な愛というものがあり得ることを示しているのである。

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