アポカリプスと終末後の世界を扱ったロシアの素晴らしい映画6本

カルチャー
エカテリーナ・シネリシチコワ
 主要な映画監督が制作した作品を紹介しよう。

1.『ワールドエンド』(2019)、イェゴル・バラノフ

 理由はわからないが、地球上の大部分で信号が反応しなくなり、各地との通信が途絶えた。その頃、衛星軌道にいた宇宙飛行士は東ヨーロッパにある小さな点に気付く。地球上様々な場所で、軍隊が見つけたのは凄惨な衝突の痕跡と死体の山だけだった。

 『前哨基地』は世界戦争を扱った映画だ。ロシア軍が主人公となっている。彼らは起こってしまったアポカリプスの原因に対処しながら、ロシア軍の軍事力を示す。「『ブレードランナー』と『ブラックホーク・ダウン』が出会った。アクションシーンはロシアだけで撮影された」と、この映画の監督イェゴル・バラノフは語っている。スケールの大きいこの大ヒット作は、カリフォルニア州サンノゼで開催されたシネクエストフェスティバルで最終選考まで残り、世界25か国で公開されている。

2.『引力』(2017)、フョードル・ボンダルチュク 

 『メッセージ』と『第9地区』のロシア版であるこの映画は、エイリアンの侵略とそれによる全人類に対する脅威を描いた。宇宙人を乗せた飛行物体が突然、モスクワの住宅街であるチェルタノヴォに墜落した。人々はパニックに陥り、軍隊も同様に少なくない被害を受けた(これは彼らの仕業だ。NATOとの終わらない衝突が始まってしまう)。そして、チェルタノヴォに住む若いカップルが、何が起こるかわからない「ファーストコンタクト」を試みる。

 この『引力』は、ヤングアダルト作品としては最初のロシア映画だ。ロシアの映画評論家アントン・ドーリンは、「『トワイライト~初恋~』、『ハンガー・ゲーム』、『メイズ・ランナー』と同じような作品だ」と記した。このジャンルに興味があるなら、この映画は間違いなくぴったりだ。そうでない場合、「ロシアが題材」となった人気のあるハリウッド映画を見るのが良いだろう。ちなみに、大げさな愛国的な話はない。

 2019年、この映画の続編『侵略』が公開された。新しいエイリアンの脅威が迫り、モスクワは水浸しになってしまう。

3.『インヴォリューション』 (2014)、パヴェル・フヴァレエフ

 人類の発達が止まり、動物的な本能が私たちにとって最も重要になった場合、どうなってしまうのだろうか?攻撃性、子孫の保護、抑えられない性的意欲。これら全てが制御不能になり、世界で厳しい自然淘汰が始まる。

 『インヴォリューション』は、ダーウィンの理論に基づくディストピアを描いたフィクションだ。監督のフヴァレエフはドイツと共同でこの映画を制作した。「私たちは、ハリウッドのメインストリームを模倣することなく、アートハウス的な方法で映画を作ろうとした」とこの監督は語った。このアプローチによってオリジナリティが付け加えられた。それは、特殊効果を最小限に抑え、狂った世界を背景にして心理的なドラマに重点を置いたことだ。

4.『Bite the Dust/バイツァ・ダスト』(2013)、タイシャ・イグメンツェバ

 ありふれたとあるロシアの村の住民は、テレビで世界があと1日で終わることを知り、この極端な状況下でできることをし始める。

 2013年に公開されたこのコメディー映画は映画評論家に注目され、カンヌ映画祭に出品された。「私は、世界中の誰もが理解できるような国境を越えた物語を作ろうとしました」とこの監督は話した。結局のところ、アポカリプスの前に望むことはみな同じだ。

5.『フィンランド式残酷ショッピング・ツアー』(2012)、ミハイル・ブラシンスキー 

 この映画は、母親と一緒にフィンランドへ2日間のツアーに行った10代の若者の携帯電話で撮影された動画のようになっている。彼らが住むサンクトペテルブルクからフィンランドへ簡単に行くことができる。隣のヨーロッパに買い物に行くことはすでに地元の伝統となっている。この疑似ドキュメンタリーは、観光バス内で始まり、フィンランド国境ハイパーマーケットでのショッピングで終わる。そこで、映画の主なプロットが展開される。この息子と母親は、他の観光客とともにショッピングセンターに閉じ込められてしまう。そして彼らを標的とした狩りが始まるのだ。

 全く古典的ではないゾンビ・アポカリプスを描いたこの映画は、様々な映画祭で「ユーモアとジャンルの大胆さ」を高く評価された。たぐいまれなリアリズムで構成されたこの映画を見るべきだ。この映画は面白いが、怖い。

6.『死者の手紙』(1986)、コンスタンチン・ロプシャンスキー

 これは、アメリカの軍事基地で起こった核爆発を描いたソビエトのカタストロフ映画だ。周囲には、焼け焦げた地、放射線に汚染された廃墟、地下室やタンクには生き残ろうとしている人々がいる。主人公の科学者ラーセンは、この惨事が起こってしまった理由と核爆発の後にどう生きるかという重要な問題への答えを探す。

 この『手紙』はチェルノブイリで爆発があった年に公開された(これは偶然だった)。そしてこの映画はソビエトの聴衆に衝撃を与えたのだ。アンドレイ・タルコフスキーの信奉者であるこの監督は、しかしながら、「核の冬」の恐怖ではなく、人に関する形而上学に焦点を当てた映画を作った。

「ロシア・ビヨンド」がLineで登場!是非ご購読ください!