1.「インフルエンザに罹ったペトロフ家」キリル・セレブレンニコフ監督
この2年間でキリル・セレブレンニコフ監督の名前は、映画や演劇のプロジェクトについてではなく、国際的な反響があった「セディマヤ・ストゥディア」の刑事事件で言及されていた。このような背景が中で、映画「夏」がカンヌ国際映画祭のパルムドール候補になり、ロシアの映画賞「ニカ」賞を受賞したことは陰に隠れてしまった。
しかし、2019年半ばにセレブレンニコフ監督は自宅軟禁から解放され、彼の刑事訴追は中止された。彼は精力的にすぐに新しいプロジェクトにとりかかった。この映画「インフルエンザに罹ったペトロフ家」は、アレクセイ・サリニコフのベストセラー「インザインフルエンザに罹ったペトロフ家とその周辺」を映画化したものだ。サルニコフのこの小説のモダニズム的な構造は、ジェームズ・ジョイスとジョン・アップダイクの作品を思い起こさせる。この小説の舞台は、エカテリンブルグのペトロフ家に起こった発熱の事件の説明に焦点を当てているが、実際には、すべてがもちろん、より複雑なものになっている。この小説にはハデスとペルセポネの神話への隠喩があり、他にも知性が求められる場面がある。
ある評論家が適切に述べたように、サルニコフの小説は、芸術的価値のある文化的に高度なたわごとだ。セレブレンニコフと共にかつて二本の長編映画を作った、イリヤ・スチュワートがこの映画のプロデューサーを務めた。この映画の主要な女性の役を、有名な女優チュルパン・ハマトヴァが演じている。
2.「ノーバディ」イリヤ・ナイシュレル監督
ナイシュレル監督は、2015年にアクション映画「ハードコア」(現代のモスクワで行われる「一人称視点のシューティングゲーム」ジャンルのテレビゲームを連想させる映画)がトロントで開かれた映画祭でセンセーションを巻き起こすし、40か国で公開されたことで有名になった。「ハードコア」は大ヒットにはならなかったものの、監督にとっては大きな扉を開いた。1億ドル相当のプロジェクトのために、大規模なハリウッドスタジオが彼を雇う用意があるという噂もあった。
ナイシュレルはすべての提案を拒否し、誰もが驚いたのは、次に彼のことを耳にしたのは、ロシアのバンド「レニングラード」の曲「Voyage」のビデオクリップを撮影した12017年のことだった。そして、これは明らかに彼の才能のファンが期待していたキャリアの継続ではなかった。そして、「ハードコア」から4年後、イリヤは二作目の長編映画を撮り始めた。
「ノーバディ」は、目立たない男性が突然マフィア狩りを始めるという内容の英語のアクションスリラーだ。ストリートギャングから女性を救出した主人公はギャングの一人を病院送りにしてしまう。この人物は強力な麻薬王の兄弟で、麻薬王は復讐に燃えている。
映画の主要な役は、シリーズ「ベター・コール・ソウル」のスターであるボブ・オデンカークが演じ、脚本は「ジョン・ウィック」を手がけたデレク・コルスタッドだ。プロデューサーは、ブラッデン・アフターグッド(シリーズ「ザ・プロフェッサー」およびアクション映画「シベリア」のプロデューサー)とケリー・マコーミック(アニメ映画「デッドプール2」およびアクション「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」のエグゼクティブプロデューサー)だ。
3.「リサレクテッド」エゴル・バラノフ監督
数年前、ディレクター兼プロデューサーのティムール・ベクマンベトフは、スクリーンライフホラーというジャンルを創始した。これは、スマートフォンの画面で起こるホラーストーリーだ。このジャンルの最初の試みである「アンフレンデッド」は世界中で6300万ドルの興行収入を記録し、2018年に公開されたスリラー「search/サーチ」は60か国で7550万ドルを獲得した。そして、これらすべて、非常に少ない予算で作られたものだ。ベクマンベトフがこの金山の開発を続けていることは驚くことではない。
彼の次のスクリーンライフホラーの監督はエゴル・バラノフで、ロシア映画で4000万ドル以上の興行収入に到達したゴーゴリ三部作を撮影して有名になった。さらに、バラノフは、ロシアのテレビ番組で初めてNetflixが放映権を購入したテレビシリーズ「ファルツァ」と「サランチャ」のディレクターでもある。
「リサレクテッド」が描くのは、近未来にカトリック教会は死者を復活させる方法を開発したという話だ。最初に行われた蘇生の一つは、自動車事故で亡くなった仮想教会の牧師、スタンリーの息子をよみがえらせたものだ。最初、スタンレーは喜んでいたが、復活した人を制御できないことにすぐに気付く。しかし、誰も彼の警告を聞かず、そして、主人公は世界的な陰謀を明らかにするために彼自身の調査を始める。
4.「アスピレーション」ミハイル・イドフ監督
映画「ユーモリスト」の監督として昨年デビューしたロシア系アメリカ人作家で脚本家のミハイル・イドフは、2020年に彼の最初の英語での映画を完成させる。「アスピレーション」はロシアとカナダの共同制作だ。ロシア側では、(ドラマ「ドヴラトフ」など)イドフのデビュー作を製作したMetrafilms社が製作を行う。
イドフによると、「アスピレーション」はダニー・ボイル、J.S.チャンダー、ジュリア・ロクテフの映画に触発された心理スリラーだ。プロットは、で起きた疑わしい自殺が起き、それによって口論が始まった、成功した男性のとある集団を中心に展開する。この映画はアイルランドですべて撮影される予定であり、すべての役は、まだ名前が明らかにされていないが、英語を話す俳優によって演じられる。
5.「カラシニコフ」コンスタンチン・ブスロフ監督
プロデューサーのセルゲイ・ボドロフ(「モンゴル」、「セブンス・サン 魔使いの弟子」など)と監督のコンスタンチン・ブスロフは、おそらく20世紀で最も有名なロシアのブランドの一つであるAK-47アサルトライフルの設計者であるミハイル・カラシニコフの伝記に取り組んでいる。
この映画では、独学で学び夢を実現させたこの設計者に降りかかった多くの困難な試練が描かれる。カラシニコフは第二次世界大戦中には戦車長であり、1941年に重傷を負い、その後前線に戻ることができなかった。彼は病院にいた間、自身が「銃後で過ごした」ことを責めることをやめなかった…。そして、メモ帳に武器の最初の図面を描いた。 29歳で、彼は世界的な名声をもたらす武器を作り上げた。
この映画の主要な役は、映画「侵略」、「ビク」、「クリスタル」で知られるロシア映画の新星、ユーリー・ボリソフが演じている。そして、映画自体は、今年の100周年を迎えたこの設計者に捧げられている。