もっとも有名なロシアのドラマ・シリーズ10選

『背徳』

Vadim Perelman / KinoTrest, 2015
 世界でスーパーヒットしたロシアのシリーズ物――ロシアマフィアや殺人マニアから現代の英雄まで。

1.『国境。タイガのロマンス』(2000年)

 物語は、1970年代、極東の中国との国境にある小さな守備隊でのこと。美しい看護師は若き中尉を愛しているが、彼女には高圧的で冷酷な夫がおり、どうやっても妻を自由に出かけさせてくれない。

 沼沢地の中で繰り広げられるこの恋愛ドラマは、主役を演じたレナータ・リトヴィノワの最初のヒット作となり、バンド「リュベー」の曲や、蟻にまみれたセックスシーン、波乱に富んだプロット、激しい結末が記憶に刻まれた。アレクサンドル・ミッタのミニシリーズは、ロシアのテレビでもっとも人気のある番組のひとつとなっている。

2.『ブリガーダ』(2002年)

 駆け出しの麻薬密売人、狡猾なKGBエージェント、マフィアのゆすり屋、買収される政治家たち、ギャングの妻となっていくバイオリンを持った脆い少女たち。『ブリガーダ』は――2000年代のテレビ界における主要なカリスマとなった。このドラマは、モスクワの4人の若者たちの話で、彼らは生きのびるために、裏社会で自分たちのグループを作らねばならないと決意したのだった。

 制作者らは、『ゴッドファーザー』や『スカーフェイス』にインスパイアされたことを認めているが、それだけじゃなく、実際の裏社会の大物の影響も受けており、彼らにアドバイスを求めたという。もしかしたら、そのせいでこのギャング物のサーガは、犯罪世界をめぐるロマンティックな(そのせいでかなり危険な)神話となりえたのかもしれない。このドラマは文字通り人生を壊した。熱狂的なファンたちに、ギャングの一員であることはかっこいいと信じさせてしまったのだ。そのせいで、『ブリガーダ』は、称賛と同じだけ激しく批判もされた。このシリーズは、例えばこちらこちらで英語字幕付きで見ることができる。

3.『タイガ。サバイバルコース』(2002年)

 このシリーズは――『ロスト』のロシア版で、2年前に出たこのオリジナル版に手を加えている。すべては、前人未踏のタイガ(密林)の真ん中で飛行機事故が起きたことから始まる。実際には、このことがおなじみのプロットへの謎かけとなっている――最初に死ぬのは誰か、発狂するのは誰か、熊に食べられるのは誰か、そして最終的に、助かるのは誰か。

4.『解体』(2007年)

 このドラマは戦後のオデッサで繰り広げられる。スターリンとジューコフ元帥が、犯罪が横行する街に秩序を取り戻すよう求める。街を掌握しようと目論む、隙なく武装したギャングたちを追跡するのは刑事犯捜査課の二人の捜査員だ。

 このシリーズは、ソヴィエト映画の様式に基づいた素晴らしいもので、放映されるやいなや圧倒的な視聴率を記録した。濃密な残酷さと火花散る会話がギリギリのレベルまで極められている。シリーズ全編はYouTube上にある。

5.『幸福な人生の短期コース』(2012年)

 リクルートエージェントで働く四人の女性たちは、勤務時間中は仲良くせざるをえない。同じオフィスで仕事をしているのだから。仕事以外で彼女たちをひとつにしているものはただひとつ――全員が不幸だということ。

  『短期コース』は――オフィスの悲劇、あるいは『セックス・アンド・ザ・シティ』だと言えるが、もしもこの女性たちが全員、ロシアでも鬱状態にあるとしたらという条件つきだ。制作者いわく、このシリーズは、常に気付かれずにいることについて描いているのだそうだ。YouTubeでも見ることができる。

6.『雪どけ』(2013年)

 多くの人に、なんでも可能に思えた夢と希望の時代として記憶されている60年代の意味を問い直そうとする試みだ。だが、このドラマでは輝かしい理想がたちまちにして崩れていく。幸福な60年代という人口に膾炙した神話は、果たしてこの時期に起こったことの総括といえるのか。いかなる雪どけもなかったのではないか? 答えはこちらで探そう。

7.『甘い生活』(2014年)

 これはロシアでもっとも慎みのないドラマと言われた。ストーリーは、モスクワの中流階級のひどい私生活について、あるいは、キャッチコピーが言っているように、「反動の時代の愛についてのシリーズ」だ。もちろん、下品な言葉やヌードの人たち、礼儀を欠いたアネクドート的な状況が多々登場する。全体的には、このシリーズは、どこにでもある性的なフラストレーションをめぐる話なのだが、これを見たせいで首をつりたくなったりはしない。全編はこちら

8.『方法』(2015年)

 精神的に不安定で陰気な一匹狼の刑事――ロジオン・メルギンは、殺人マニアどもを探し出し、「正しい裁き」を下していく。この犯罪スリラーは、『デクスター 警察官は殺人鬼』にも似ているし、『トゥルー・ディテクティヴ』のシーズン1にも似ているが、ただしロシアの現実が舞台となっている。このドラマの強調すべき点は――過去20年間にロシアで実際に起きた殺人事件を基に書かれた脚本だ。各回にひとりずつ狂った殺人マニアが登場する。メルギンをアシストするのは、ブロンドの美しい女性実習生だ。そのため、不気味さに若干、性的な場面が添えられている。こちら Netflixで字幕付きで見てみよう。

9.『背徳』(2015年)

 アンドレイ・ズヴャギンツェフ監督の『裁かれるは善人のみ』のスター――エレーナ・リャドワが退屈のあまり死なない方法を模索する主役を演じている。彼女には仕事があり、小さな家があり、幼なじみだった夫に加え、愛人も二人いる(のちに、三人目も現れる、14歳年下の男性だ)。もちろん愛人たちは、旧態依然とした生活を感情を揺さぶることで紛らすために必要だ。

 『背徳』は――おそらく、制作者たちがみずからのヒロインを、罪深い女と見なしていない点で、ロシアで初めてのドラマだ。最初の頃は、自由(彼女のあらゆる関係において)を謳うフェミニズムのマニフェストのようにさえ感じられる。しかし、『背徳』は当時、それとは異なる点で非常に多くの関心をひいた。このドラマから視聴者が受けたメッセージは予定されていたものとはまったく違っていた。それは、不幸なのは仕方ないが、嘘をつけば報いを受けることになる、なによりもまず、自分自身への嘘に。全編はこちら

10.『スリーパーズ』(2017年)

 初回がロシアのチャンネル1で放映されたこのシリーズはスキャンダルとなった。8回シリーズのスパイ物の中心となっているのは――連邦保安局のロジオノフ大佐で、彼は、アメリカの諜報機関の「眠っている」エージェントたちや、「オレンジ革命」によってロシアに送り込まれたスペシャリストを暴き出そうとする。反対派のブロガーたち、人権活動家たち、政治集会、テロ、連邦保安局内の裏切りと買収――すべてそろっている。

 『スリーパーズ』の監督ユーリー・ブイコフ(『方法』も彼の撮影)は、第1回の放送後、Facebookから消え、映画業界からもほぼ引退することを宣言した。恥ずかしくなったからだ。ネット上でこのシリーズは「プロパガンダ以下」だと言われた。実のところは、それほど一義的なものではないのだが。自分で確かめてみよう

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