有名なロシアの亡命作家、セルゲイ・ドヴラートフ(1941~1990)に関する伝記映画である。1971年のレニングラード(現サンクトペテルブルク)の数日間に焦点を当てている。ゲルマン監督によると、この時期を選んだのは、ドヴラートフと詩人ヨシフ・ブロツキー(後に亡命しノーベル文学賞を受賞)の二人が、当時まだソ連を去っていなかったためだという。映画では二人の親密な関係が描かれている。彼らは執筆を禁じられ、亡命を余儀なくされた。
ドヴラートフを演じるのは、セルビアの俳優、ミラン・マリッチ(作家にそっくりだ)。ゲルマンは、ヴェネツィア映画祭で銀獅子賞を獲得するなど数々の受賞歴がある。だから、良い映画になる条件はそろっている。
ルスタム・ハムダモフ監督は、幾人かのイタリア映画の大家――数々の名作のシナリオを書いた脚本家トニーノ・グエッラ、監督のミケランジェロ・アントニオーニ、ルキノ・ヴィスコンティなど――と接しているので、その作品がヨーロッパ的な才気にあふれていることは驚くには当たらない。
とくにミケランジェロ・アントニオーニの映画は、ロシア映画の手法に影響を与えてきた。彼は、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館で上映される唯一の、現存する映画監督だ。
「底のない袋」は来年、ロッテルダム国際映画祭で発表される予定。芥川龍之介の小説『藪の中』にもとづいている。やはりこの作品に拠って黒澤明が、あの有名な「羅生門」(1950)を製作している。
ハムダモフは映画監督でもあり画家でもある。彼の映画は、ジョルジオ・モランディの静物画などの傑作と触れ合っている。モランディの象徴的なガラスの瓶が、「底のない袋」で生命を吹き込まれることになる。
ハムダモフ監督はまた、舞台を原作の日本から、アレクサンドル2世治下の帝政ロシアに移した。映画撮影は、サンクトペテルブルクのネヴァ川のほとりにある美しい、放棄された宮殿で行われた。
ロシアの現代作家、セルゲイ・ミナーエフが、自身の長編小説『魂なき21世紀 セルフィー』にもとづき、シナリオを書いた。この映画は、カンヌ国際映画祭の公式セレクションの一部門「ある視点」で紹介されている。
ミナ―エフは、現代社会における消費万能主義と腐敗に関する、スキャンダラスな小説で知られており、映画の方も同様に衝撃的だと期待されている。
映画の主人公は、成功した、才気あるシニカルな作家ウラジーミル・ボグダーノフ。ある日彼は、ドッペルゲンガーに遭遇し、仕事も妻も愛人もすべて奪われる…。
ミナーエフのスタイルは、フランス作家フレデリック・ベグベデの有名な小説『¥999』と比較できよう。
フョードル・ドストエフスキーの作品は、時代を超えている。こういう古典を再現するのは決して容易なわざではないが、ロマン・ドローニン監督は敢えてそれをやった。これは、360度動画フォーマットとなる。
有名なドイツの俳優、ティル・シュヴァイガーが主役、つまり苦悩するロジオン・ラスコーリニコフを演じる)。
『罪と罰』の映画化は25回以上なされているから、何か新しいやり方で物語を再現するのは大きな試練となるが、ドローニン監督は何とかやれると思っている。
「インヴォリューション」は、若手映画監督パーヴェル・フヴァレエフによる露独合作。彼は最初DJとして注目され、これ以外にすでに2本の映画「ランダム」と「III」を製作。後者は2015年に、アメリカ、オーストラリア、ロシアなどの20以上の映画祭で上映され、いくつかの賞を獲得している。そのなかには、第9回バイロンベイ国際映画祭での最優秀映画賞も含まれる。
批評家たちは、「インヴォリューション」が前作のように優れた作品であることを期待している。この映画は、未来が舞台で、ダーウィンの進化論が逆転して、人類の崩壊を招き、最終的には人類と惑星を脅かすことになる…。
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