ロシアの自家製ペルメニ、ヴィネグレット・サラダ、パイ、漬物など=Getty Images
ロシア人は昼食と夕食の時間については柔軟である。家族や個人でさまざまだ。レストランはさまざまな種類の食べ物を何時でも提供する。
来客を待つ場合でも、ロシア人は時間に対して柔軟である。誰かが夕食に遅れてきたら、一人で食べることも可能。
到着時間だけでなく、料理の提供の順番も自由である。ディナーの構成は通常、スープ、サラダ、肉料理または魚料理、またご飯、ジャガイモ、パスタなどのサイド料理、そして最後にデザートであるが、厳しくはない。この中のどれかを抜いたり、順番を変えたりすることもできる。
「私のロシア人の親戚が、メイン・コースとデザートを食べた後に、しょっぱい食べ物を食べ始めた時は、とても驚いた。ノンストップの食事だ」と、イタリア人男性のニノさんは、新年のロシアのディナーで目の当たりにしたことを思い出す。
ニノさんが特に混乱したのは、コースの順番が家庭ごとに違うということ。「コトレタ(ロシア風ハンバーグ)」を「毛皮のコートの下のニシン」の前に食べるのか、後に食べるのか、わからないという。
ロシアの食事で知っていなければいけない大切なこと、それは「すべてのルールを忘れるべし」である。
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とはいえ、重要な暗黙のルールがある。多くの母親が子どもたちに「乾きで食べちゃだめ(そのまま食べちゃだめ)」と言う。これは食べている時に、何かを飲めということである。水分で食べ物を流すことは消化を助けるだろう、という考え方である。メイン・コースに熱い紅茶がついてきても驚かないように。スープもそうである。たとえば、オープンサンドを食べる時などにふるまわれたりする。
ルール3、肉とパンは生き残りに必要
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とても大切なのは、昼食または夕食の時に肉があること。ロシア人は通常、毎日肉を食べる。ロシアではベジタリアンが増えているものの、中年層以上のベジタリアンは少ない。
「肉は毎日の食事に含まれるべき。1日でも肉がなかったら生きていけない」と、ユーラさんは言う。ユーラさんはドイツ人の妻がこれに驚いたり、イタリア人の同僚がレタスとトマトのランチで満足したりしていることを理解できない。ロシアの冬は長くて寒いため、生き延びるにはカロリーが必要なのである。パンがすべての料理についてくるのもそのためだ。ロシアのおばあちゃんは子ども時代の空腹を忘れられないようで、「パンはすべての頭」と言うし、スイカだってパンと一緒に食べてしまう。
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冬を乗り越え、免疫系を守るには、何を食べたらいいのだろうか。「生タマネギとニンニクを夕食と昼食に食べることへの強いこだわりがある。ロシア人はこれで風邪を引きにくくなると言う。試したことはないし、風邪を引いたこともない」と、西シベリアで働いて4ヶ月になるドイツ・オランダ人のアレックスさんは言う。実際、生タマネギはロシアのサラダの一般的な材料で、パンにつぶした生ニンニクをのせて食べる伝統もある。
ルール5、何にでもディル
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ロシア料理に使われる香辛料は、コショウ、ローリエ、ディルと限られている。グルメ好きのニノさんは、ロシア料理に玉ねぎとコショウがたくさん使われていることに驚いた。
「ペリメニ(ロシア風水餃子)とコトレタの味が同じ。ロシア料理の多くには、味の異なるニュアンスを強調するために、もっと香辛料を使える。全般的に、どれもマヨネーズの味が支配的」とニノさん。
アメリカ人のララさんは、ロシア滞在中、ディルにイライラした。「何にでもディルを入れる。食堂に入るとディルの匂いしかしない」
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「食べている時は聾唖(聞かざる言わざる)」(食事に集中せよ、の意)という、ロシアの母親が子どもに言う有名な慣用句がある。これは、しゃべりながら食べるとつっかえてしまうよ、という安全を考えたアドバイス。
ロシア人が食べている時に社交的に見えない理由はこれかもしれない。子ども時代に学んだルールだ。「ロシア人はどちらかというと栄養摂取のために食べているように見える。フランスやポルトガルと比べると、食事は社交ではない」と、ロシアに4ヶ月暮らしたことのあるクレアさんは話す。なごやかにしたいと思うなら、ウォッカや紅茶をテーブルに持ってこよう。
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ロシアのウォッカの伝統やもてなしについての記事をたくさん読んでいるかもしれないが、ロシアの主な飲み物は、ウォッカではなく、紅茶である。通常はクッキーやケーキと一緒にふるまわれる。紅茶を飲む時は、真の社交の時。食事を終えて、人々がリラックスして、会話を始める時。ロシア人の家に行くと、すぐに紅茶をすすめられる。一杯飲み終えると、すぐにまた注がれる。これはもてなしのジェスチャー。ニットの靴下を贈るように、外が寒い時、中が暖まると感じてほしいのだ。
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ディナーでは、客が一番重要な人物である。受け入れ側は客を喜ばせようといつもがんばる。
「客のもてなしにすごく集中するから、居辛かった。レストランに行って、食べないホストにサービスされているような感じ」と、ニノさんはロシアのディナーで感じたことを話す。
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